クラシックとメタルの共通点とは?ピアニストの私がBABYMETALを編曲し続ける理由
童謡楽譜わらべえでBABYMETALのピアノ編曲スコアを提供しているのですが「なぜBABYMETAL編曲楽譜を作ったのか」「なぜクラシック専門の私が、他ジャンルにあえてチャレンジし続けるのか」素直な気持ちも含めて紹介したいと思います。
編曲のきっかけは身近なレッスンだった
子供達を教えていて、童謡をよく使います。
一緒に歌ったり、一緒に弾いたり……。
でもその楽譜や伴奏譜が魅力のないものはとても多いです。
メロディーだけが伝えられているものが多いからでしょう。
曲の長さを変えなくても、もっとハーモニーを工夫したら、素敵な曲になるのに、といつも思っていました。
そこで、童謡楽譜をレベル別で編曲することを思いつきました。
いくつかの童謡を編曲して録画して出版、を少し繰り返したところで、BABYMETALの情報が入ってきました。
私はメタルは専門外なので、初めは無視していました。
しかし、夫がメタル好きで、だんだん無視できなくなってきていたところでした。
「編曲してみたら」とのすすめがあり、真剣に聴くようになりました。
うまくいったら、楽譜を出版しよう!
という話になり、プライドをかけて取り組み始めたわけです。
音楽の世界を広げてくれた
メタルとは、失礼ながら「ただうるさいだけの音楽」と思ってきた私ですが、そこからBABYMETALのファンになるまで、心の中では、ものすごい勢いで変化が起こりました。
メタルというジャンルを理解できるまで1年以上かかりましたが、BABYMETALを編曲することで、ずっとBABYMETALを聴くことになり、自分なりに理解ができるようになりました。
今では、メタルの音楽に内在するメッセージや音楽性に敬意を覚えます。
また、ジャンルの違う2つのジャンルをすることにより、エネルギーのかけ方がより強くなりました。
新ジャンルにチャレンジすることにより、ワクワク感が増しました。
クラシックを勉強してきた私にとって、真面目にメタルに取り組む自分がとても不思議で、さらにそれに熱中する私がもっと不可解でした。
「メタルは不真面目」という考えが、どこかにあったのかもしれません。
人生は不思議なものだ、と何度も思ったものでした。
クラシックとの共通点を発見した

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メタルにもクラシックにも同じような点がありました。
1つの作品を作り上げていく誇り。
完成されたものをいかに完璧に演奏するか、それをもって客にどれだけのエネルギーを届けることができるか、ということは同じでした。
テクニカルなものへの憧れ。
クラシックもメタルも同じように存在するようで、超絶技巧という時代をどちらのジャンルも通っているみたいです。
BABYMETALは特にテクニカルなようで、ギターのアドリブをピアノで弾くことは、例えるならハサミでダンボールを切るような、無謀なことです。
ピアノ曲の音の並び方と、ギター曲の音の並びは、聴いている以上に違いが大きいので、演奏し続けると、無理な運指で指を痛めそうになります。
「演奏にかけるエネルギーの強さ」
とてつもない集中力を要する2つのジャンルですから、人前での演奏に、ものすごいたくさんのエネルギーが必要です。
クラシックで語られるこの手のことは、おそらくメタル界でも通用することであり、私が今研究中の「本番に強くなる」も、クラシックに限った話ではないと思います。
クラシックへの誇りを強めてくれた
共通点の多い、クラシックとメタルですが、自分との対話という面においては、クラシックの方が断然強いと思われます。
おそらくそのことから発すると思われますが、クラシックに対する「難しい」と「わかりにくい」とか「敷居が高い」というような批判?
偏見?
のようなものが存在することは確かです。
他国では分かりませんが、やはりJ-POPが音楽界の主流と感じます。
クラシックを好んで聴いたり演奏する人は、お高くとまっている、みたいな偏見があります。
きっと、メタルを好んで聴いたり演奏する人に対する偏見もあると思います。
詳しくないので書けませんが、実際、私もありました。
しかし、その偏見に対抗するだけの誇りを持っていい、という考え方に至ることができたのもBABYMETALを編曲したおかげ、BABYMETALのおかげです。
クラシック音楽、特にバッハは、日本でいう武道と同じです。
追求する人生は、私が望んでいた人生です。
これからも貫きたいとより強く思ったわけです。
そういえば、このようなことが以前にもあったことを思い出しました。
大学受験に失敗し、浪人生になった時でした。
浪人生に対する、社会の偏見に疑問を持たなかった私が、浪人生になることで、その見方が「偏見」だったことに気づかされた時でした。
これからどうしていきたいか
私がそうだったように、音楽の世界をたくさんの人に広げてもらいたいです。
そして、私のBABYMETALピアノ編曲を通して、メタルの曲の聴き方や良さを理解してもらいたいです。
音の嵐の中にこそ、真実があることを知ってほしいです。
そして、メタルとは何か、クラシックとは何か、を多くの人に理解してもらいたいです。
クラシックとメタルに共通する、ファン層の減少に歯止めをかけたいので、その両方の要素を含んだ編曲をしていきたいというのが今後の主要なコンセプトとなります。
これは私にしかできないことだし、私が持っているものを出すのに適した形だと思います。
メタルやクラシックに興味を持ってもらって、真面目に打ち込むことの素晴らしさをわかってほしいです。
今後、BABYMETAL以外のメタルに編曲の手を伸ばすのか、まだ分かりませんが、この編曲にこれほど熱中するとは思わなかったので、できるだけ続けようと思います。