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【高齢者向け】2月の風景を詠む俳句。有名な俳人の一句を読み解いてみよう

まだまだ寒さの残る2月は、梅の花がほころび始め春の訪れを感じる季節ですね。

そんな移り変わりの風景を五七五の言葉に乗せてみませんか?

2月は節分や立春、バレンタインなど身近な行事も多く、俳句の題材にぴったりの季節です。

高齢者の方にとって、季節の言葉を紡ぐひとときは心を豊かにし、思い出を語り合うきっかけにもなるでしょう。

こちらの記事では有名な俳人が詠んだ、季節の情景が浮かんでくる俳句をご紹介します。

誰でも気軽に楽しめる俳句づくりを通じて、言葉のリズムを味わいながら、あたたかな交流のひとときを過ごしてみてはいかがでしょうか。

【高齢者向け】2月の風景を詠む俳句。有名な俳人の一句を読み解いてみよう(1〜10)

如月や 身を切る風に 身を切らせNEW!鈴木真砂女

如月や 身を切る風に 身を切らせNEW!鈴木真砂女

最近は冬でも暖かな日も多くありますよね。

ですがかつての日本は、2月の寒さが厳しく感じられることの方が多かったそうです。

吹く風も冷たく、厚着をしていても身を切るような寒さだったことでしょう。

こういった冬の体験をした高齢者の方も多いのではないでしょうか?

冬や2月の体験は、高齢者の方との会話のきっかけにもなりそうです。

そこから幼かった頃の話や、家族と過ごした頃の思い出を振り返る方もいらっしゃるかもしれませんよ。

会話をしながら、俳句を詠むことで楽しい時間が過ごせそうですね。

藤橋や 重き身を越す 孕鹿NEW!高井 几菫

藤橋や 重き身を越す 孕鹿NEW!高井 几菫

鹿は通常、夏ごろに出産をするそうですよ。

2月や3月頃の母親鹿のおなかは、赤ちゃんがいることがわかるほど、ふくらんでます。

野生の動物の世界でも、2月は寒さを感じる季節です。

母親鹿も、おなかの中の子供を守るように寒さをしのいでいることでしょう。

現代の日本では薄れつつある感覚ですが、かつては植物や動物などから、季節の移りかわりを察知していたようです。

俳句作りを通して、高齢者の方とご一緒に身近なところで四季の雰囲気を探してみるのも面白いかもしれませんね。

薄氷の 草を離るゝ 汀かなNEW!高浜虚子

薄氷の 草を離るゝ 汀かなNEW!高浜虚子

薄く張った氷が溶けて、水辺に生えている草が見えるようになるという情景をつづった俳句ですね。

薄氷というのは、冬に見られる分厚い氷ではなく、春先に見られる薄く張った氷のことです。

子供のころ、日差しですぐに溶けてしまうような薄氷を割って遊んだ記憶があるのではないでしょうか?

薄氷は昔冬の季語でしたが、明治時代以降から春の季語として使われるようになりました。

はかなく繊細な印象を受けるとともに、あたたかでやわらかい気配を感じられる一句です。

【高齢者向け】2月の風景を詠む俳句。有名な俳人の一句を読み解いてみよう(11〜20)

三日月は そるぞ寒は さえがえるNEW!小林一茶

三日月は そるぞ寒は さえがえるNEW!小林一茶

2月は暦の上では春ですが、実際にはまだまだ寒さは厳しく、雪の降る地域だって多いですよね。

この句はそんな厳しい寒さについて詠んだ句だと言われています。

季語は「さえがえる」で、春先にあたたかくなってきた……と思ったら寒さがぶり返す事を意味していますよ。

また三日月といえば細く鋭利な形……その形がより寒さを際立たせると詠っているのでしょう。

春先の三日月は、太陽の光が下からあたることで、釣り舟のような横向きの形で見られる事で知られています。

二ン月や 天神様の 梅の花NEW!小林一茶

二ン月や 天神様の 梅の花NEW!小林一茶

天神様というのは、政治家であり学問の神様としても有名な菅原道真のことですね。

さまざまな能力に長け尊敬される人物だったことから、亡くなってからも天神様として崇められています。

菅原道真は梅の花をこよなく愛した言われており、この句にも季語として梅の花が登場していますよ。

冒頭の二ン月は俗語で誤用だと言われますが、一方で小林一茶らしいという声も聞かれます。

どちらが正しいかはさておき、2月の俳句の1つとしてお楽しみいただければ幸いです。

山里は 万歳遅し 梅の花NEW!松尾芭蕉

山里は 万歳遅し 梅の花NEW!松尾芭蕉

町中から離れた山里には、年が明け梅の花が咲いた頃にようやく万歳師がやってくる……という内容の句ですね。

万歳とは、新年を祝う言葉を歌唱して家々をまわる芸能のことで、現在の漫才の元祖とも言われていますよ。

また、お気づきの方もおられるかもしれませんが、この一句には「梅の花」と「万歳」の2つの季語が使われています。

季重なりは基本的に避けるべき技法です。

しかしこの句に関しては、主題となる季語がはっきりしており、俳句の内容が損われていません。

さすが俳聖と呼ばれる松尾芭蕉ですよね。

紅梅の 紅をうるほす 雪すこしNEW!松本たかし

紅梅の 紅をうるほす 雪すこしNEW!松本たかし

紅梅の開花時期は1月〜3月頃と言われており、地域によってはまだ雪が降っているでしょう。

この句では、紅梅の鮮やかさの理由の1つは白い雪にある……と詠っていますよ。

鮮やかな紅梅の上に積もる雪を想像すると、確かに対比で紅梅はよりいっそう映えるでしょうね。

その幻想的ともいえる風景を想像できる一句です。

2月は暦の上では春となり、あたたかな気配にその訪れを心待ちにしている方もおられると思いますが、この俳句をきっかけに今しか見られない美しい情景を、ぜひともお楽しみいただければと思います。