【高齢者向け】3月の俳句。春の息吹を感じる名句
3月は、冬の名残を感じつつも、春の息吹があちこちに広がる季節ですよね。
暖かな風が吹き始めるこの時期に俳句を通じて春の訪れを感じてみませんか?
俳句は、自然や季節の移り変わりを五七五のリズムで表現する、日本ならではのすてきな文化ですよね。
思い出や風景を俳句にすることで、心が和み、会話も弾みます。
この記事では3月の俳句をご紹介しています。
春の彩りを言葉に乗せて、仲間と一緒に楽しく創作を楽しむレクリエーションを始めてみませんか?
もくじ
【高齢者向け】3月の俳句。春の息吹を感じる名句
菜の花が しあはせさうに 黄色して

一人ひとりの考えや感情や視点のものや、直感的な俳句が多い細見綾子の俳句をご紹介します。
「菜の花が しあはせさうに 黄色して」は、暖かな陽気の中で、菜の花がたくさん咲いている様子が伺えますね。
また、細見綾子の人生をみると違った解釈もできます。
細見綾子は、20代までに愛する家族と病気などの理由により、別れを経験しています。
さらに自分自身も長い期間闘病生活を送っていました。
自分とは違い、菜の花は咲き誇り幸せそうといった、対照的にも感じられる俳句になっていますよ。
三月の 甘納豆の うふふふふ

現代俳句の第一人者でも名高い、坪内稔典の俳句をご紹介します。
「三月の 甘納豆の うふふふふ」は、春の気配を感じる三月に、甘納豆を食べたときのことを詠んでいます。
「うふふふふ」から、甘納豆を食べて嬉しく笑みがこぼれる様子が伺えます。
自分の好きな食べ物を食べた瞬間は、嬉しさがこみあげてきますよね。
さらに坪内稔典は、甘納豆がお好きなのか甘納豆を題材とする俳句が、12カ月すべての月のものがあるそうです。
高齢者の方とご一緒に、甘納豆を食べながら坪内稔典の俳句の世界をみるのも、楽しいかもしれませんね。
三月の 声のかかりし あかるさよ

大正から昭和にかけて活躍した、富安風生の俳句をご紹介します。
「三月の 声のかかりし あかるさよ」は、3月の柔らかく暖かな春の気配を感じられる俳句です。
2月までは風も冷たく、雪が降る地域もあるかと思います。
まだまだ冬の名残がある2月とは違って、3月は周囲が明るく感じられる気持ちを詠んでいますよ。
確かに月が次の月にかわっただけなのに、不思議な感覚ですよね。
そう感じるのは、日本にある四季のおかげなんでしょうね。
三月や 茜さしたる 萱の山

芥川龍之介は「羅生門」などで知られる大正を代表する小説家であり、その業績がたたえられ、芥川賞として現在でもその名を残しています。
また、俳人としての活動もしており、夏目漱石に師事する他、松尾芭蕉や正岡子規の影響を強く受けていると言われています。
この句は湯河原の温泉宿に滞在している時に見た風景を読んだもので、現代語に訳すると、3月になった。
萱をこんもりと積んでいるところに日が映えて、きれいだなぁ。
という意味です。
何気ない生活の中でも春らしさを感じる、きれいだと思える心の豊かさを大切にしたいと思わせてくれますね。
夕ざくら けふも昔に 成にけり

小林一茶は松尾芭蕉、与謝蕪村と並ぶ江戸時代を代表する俳人のひとりであり、一茶調という独自の俳風を確立しました。
この句は現代語に訳すると、今目の前にある夕方の桜の美しさも、見ているそばから過去になりつつある。
今この瞬間は続かず、はかない美しさなのだという意味です。
忙しい日常の中でもふと立ち止まり、周りの景色や目の前にあるものを見つめる時間の大切さを感じさせてくれます。
そんな心のゆとりの大切さを教えてくれる句ですね。
山路来て なにやらゆかし すみれ草

松尾芭蕉は江戸時代を代表する俳人で、俳句を和歌のと肩を並べるほどの芸術にまで高めた偉人です。
芭蕉は旅をしては俳句を詠む生活を送っていました。
ある時、京都から伏見を経て大津へ向かう途中、ふと道端にすみれが咲いているのを見かけてこの句を詠んだとされています。
現代語に訳すると、山道を歩いていたら、道端にすみれの花が咲いていた。
なんだが心ひかれるなぁ、といった内容です。
派手な花ではありませんが、つつましく咲いているさまを見て、山道を歩いて疲れた気持ちも癒やされたのでかもしれませんね。