【高齢者向け】4月の俳句。盛り上がる
4月は、桜の花が満開を迎え、新たな始まりを感じさせる季節ですよね。
外に出たくなるこの時期、俳句を通じてその美しさを表現してみませんか?
俳句は、五七五で季節の変化を感じながら、自分の思いを言葉にする日本の伝統的な文化です。
特に高齢者の方にとっては、昔懐かしい春の思い出を振り返りながら、新たな発見や会話が生まれる楽しい活動になります。
4月の風物詩を感じながら、みんなで盛り上がる俳句の時間を過ごしてみましょう。
もくじ
【高齢者向け】4月の俳句。盛り上がる
葉ざくらの ひと木淋しや 堂の前
炭太祇は江戸時代中期の俳人です。
京都島原の遊郭内にて不夜庵を作り、遊女に俳諧や手習いの教授をおこない、花街の活性化に務めました。
後に盟友であった与謝蕪村と三菓社結成に参加しています。
この句で詠まれている葉桜は夏の季語であり、堂の前に咲いていた桜の木の花が散り、葉ざくらになってしまったという惜しむ思いが込められています。
しかし、かれんな花びらが落ちた後は寂しく見えても、青々とした葉の爽やかさや力強さが感じられるという側面もあります。
日本人の桜を思う気持ちはやはり特別なのかもしれませんね。
長閑さや 早き月日を 忘れたる

長閑と書いて「のどか」と読みます。
厳しい寒さが続いた冬が終わり、草の芽や花の芽がゆっくりと膨らみ始める、そんな暖かな時間を長閑に過ごす、まさに春ならではの感覚だと思います。
一日一日は仕事や勉強に追われっぱなしで長く感じるのに、人生はあっという間に過ぎてゆく。
そんな月日の早さの中に1日くらい春を楽しむ日があってもいいでしょう、と俳句が語り掛けてくるかのようです。
作者の炭太衹さんは江戸時代中期の俳人です。
あの蕪村さんとも交流があったとか。
行く春や 鳥啼き魚の 目は泪

「行く春や 鳥啼き魚の 目は泪」は、松尾芭蕉の奥の細道に収録されている俳句です。
春は、スタートの時期で新たな出会いが多いですよね。
その反面、別れも多くある季節です。
この俳句は松尾芭蕉が、東北と北陸を150日の日数をかけて旅に出ます。
後に言われる、有名な奥の細道です。
旅にでるときには、芭蕉の門弟や友人など多くの方が集まり別れを惜しんでいたそうですよ。
鳥のなき声が悲しく聞こえ、魚も目に涙をためていると詠んでいることから、芭蕉はもちろん、その場にいたみんなが芭蕉との別れを悲しんでいることがわかりますね。
うららかや 雀ひばりに 鳴き交じり

大正から昭和にかけて活躍した日野草城の俳句をご紹介します。
「うららかや 雀ひばりに 鳴き交じり」の俳句にある、ひばりは春を告げる鳥として知られています。
いつも聞いている雀の声が、ひばりのさえずりに混ざって聞こえて春を感じている様子がわかりますね。
さらに空は晴れ渡り、太陽の日差しも柔らかなことだったのでしょう。
地域によっては、鳥の声も感じづらいところも現在はあるかもしれません。
かつての日本では、自然の変化で季節の移り変わりを知れたのでしょうね。
ほろほろと 山吹散るか 滝の音

みなさんご存じ松尾芭蕉さんの句です。
学生のときには『奥の細道』を勉強し、俳句のいくつかを暗唱させられましたよね。
学校で国語や古典を習ったのが昨日のようです。
山吹は春に見られる花で黄色がイメージされます。
その花が散るというのですから春の終わりから夏が訪れる頃を思い浮かべられます。
「季節の移ろいを感じられる日本に生れて良かった」とそんなことさえ思いますよね。
滝の永遠と散る花の対比もまたこの俳句の鑑賞ポイントです。
まさをなる 空よりしだれ ざくらかな

富安風生は愛知県出身の俳人です。
俳句をはじめたのは遅く、34歳の時に福岡貯金支局の支局長として赴任した時期に吉岡禅寺洞の手引きを受けたことから始まり、温和な作風で知られています。
この句はしだれ桜の真ん中から上を見上げると、まるで空から降ってくるように桜が垂れている。
その後ろには青空が広がっており、さくらの美しさがより際立っている、という意味です。
ひらがなの中に1つだけ「空」という漢字が入っているため、より強調して感じとれますね。
桜の季節にはしだれ桜の下に入り、空を見上げて見たくなる句です。