RAG Musicギター入門
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【ギターのセルフメンテナンス】ネックのチェック、調整方法

普段、演奏しているギターを自分でメンテナンスできると、より楽器のことを理解しプレイに挑めます。

あといつでもベストなコンディションを保つことができます。

ここではネックの症状を確認する方法、調整の仕方を紹介していきます。

WARNING:ここで紹介する作業は、お持ちの楽器の状態によって多少のリスクを伴います。

作業を実行するに当たっては自己責任でお願いします。

初めてロッドを調整する方、事故が有っては困る方は作業をご遠慮ください。

ネックの反りの見方

逆反りは順反りに比べて少々厄介

順反りは弦とネックの力関係のバランスが原因となることがほとんどで大抵キレイに曲がってますが、逆反りはロッドの締め過ぎ以外は木自体が変形して生じるので、反るというよりは歪むと表現した方が合ってる気がします。

原因はいろいろですが、ひとつにネック材と指板材の収縮膨張率の違いがあります。

本来各材料はシーズニング(伐採したばかりの材から不要な水分を抜くために寝かせること)されて狂いを出してから加工されますが、環境の変化(過度の乾燥など)でネック材が縮むと指板材よりも長さが短くなり逆反りになるというものです。

どこがどのくらい縮むかは均一でないので1弦側と6弦側で反り方が違うこともあります。

こういった点で湿度管理はできるならやった方が良いです。

グッズもいろいろありますが、湿度計はあると良いです。

あまり神経質になる必要はなくて、おおむね50%前後が理想。

普段の湿度を知らずに一般の乾燥剤などをケースやサウンドホール内に入れる方が危険です。

冬期にはむしろ湿気が必要なくらいですから。

弦をスケール代わりにしたチェック法

1フレットとネックのジョイント部付近のフレットを同時に押さえて弦とフレットの隙間がどのくらいか見るのも有効です(6〜8f付近で名刺1枚程度が理想)。

この方法は最終フレットを押さえる方が多いですが、ここではロッド調整が前提なので腰折れを考慮して最終フレットは押さえません。

隙間が全くなく弦とフレットがピッタリ付いていたら逆反りしているとみなします。

写真では1フレットにカポを付けて左手で14フレットを押さえ、右手で各弦の各ポジションを叩いて隙間をみています。

別に押さえ方に決まりはありません。

僕もいつもはカポとか使わないし、右、左もいろいろです。

順番に叩いていくと音程が変わっていくのがわかる筈ですが、逆反り、もしくはフレットの高さにムラがあると音が出なかったり音程が変わらなかったりします。

上の状態を自分の視点で見た図と思ってください。

3弦7フレット上のチェック。

まだ弦は押さえていません。

弦とフレットに映った弦とにわずかながら隙間が確認できます。

この7F近辺で紙1、2枚程度入る位の開きが理想的。

同様に各弦各フレットをチェックしていきます。

弦を押さえた状態。

当然隙間は空いていません。

押さえてないのにこの状態だと、逆反りもしくは真っすぐ過ぎるということになります。

ロッドを緩めましょう。

冒頭でも言いましたがネックはほんのわずか順反りしている位が適正です。

完全に真っすぐを好む方もおられますが、それを維持するのは大変です。

逆反り寸前な訳ですから。

300mmのスケールを使用した逆反りのチェック。

腰折れを考慮するとだいたいどのギターも14フレット近辺(ジョイント部辺り)で曲がってるので、それよりハイポジションにスケールが当たらない方が良いです。

写真のようにスケールを当てて両端を上下に動かします。

フレットに傷が付かないように注意。

逆反っているとスケールがカタカタカタと動きます。

スケールがハイポジション側にピタッと接する状態でローポジション側の先端を左右に揺らすとだいたいどの辺から反りだしているかが分かります。

逆反りでは当然1フレットはスケールが浮いてる訳で、ロッドの調整がヘッド側からできるならこのままアジャストすればスケールと1フレットが当たる所まで目で追えるのでロッドの働きがよくわかります。

ただし、ギターを寝かせる枕の位置はできるだけハイポジションよりに。

ロー側だとギター自身の重さでネックが順反り気味に動くので、精度に欠けます。

調整のやり方

ネックの状態が分かったらいよいよ調整です。

作業自体はロッドを回すだけなので、少しずつ反応を見ながら回せば大丈夫。

やってはイケナイことは無理な力をかけることで、動きが固い、もしくは回した分戻ってしまう時はすぐやめましょう。

ロッドのネジが錆、汚れ、塗料などで固まっているか既に回し切っているかのどちらかで、無理に動かすとネジをつぶしたり最悪ロッドを折ってしまいます。

またロッドは効く所が決まっていて、ほとんどのモデルが5〜7フレット近辺です。

ここ以外の反りはロッドでは対応できないので、こういう場合もイジって良くなることはあまりありません。

ロッドが効かない例として別項「フレット交換」に腰折れという症状の画像がありますので参考にしてください。

STEP 1

まず初めにすることはチューニング。

反りの具合をしっかり頭に入れておきます。

そのままアジャストできるならロッドを回してみましょう。

30度以内くらいで少しずつ。

順反りならば時計方向、逆反りならば反対です。

ロッドがネックエンドにあり、そのままでは調整ができないギターはまずネックを外さなければなりません。

ボディー裏面にある4本のボルトを抜くとネックは外れます。

右の写真1〜4を参考に慎重にやりましょう。

まれに付近の塗装が欠け飛ぶことがあります。

ネック側にボディーの塗料がくっ付いて固まってしまっているためで、ほとんど不可抗力ですから多少覚悟が要ります。