1893年にカタルーニャ人の父とフランス人の母の間に生まれたフェデリコ・モンポウ。
おばからピアノの手ほどきを受け15歳で初の公開演奏を行うも、極端に内気な性格であったことから演奏家としての道を断念し、その生涯を作曲にささげた彼は、第一次世界大戦に翻ろうされながらも、94歳で亡くなるまでの長きにわたって創作活動を続けました。
本記事では、そんなモンポウの作品のなかでも重要な位置を占めるピアノ独奏曲をとりあげ、作曲の背景や演奏動画とともにご紹介していきます。
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モンジュイックの橋Federico Mompou

スペインのカタルーニャ地方に生まれ、20世紀の音楽界で活躍したフェデリコ・モンポウ。
モンポウの音楽スタイルは、フランスの印象主義やエリック・サティ、ガブリエル・フォーレからの影響を受けており、音楽的な発展を最小限に抑え、表現を非常に小さな形式に集約するのが特徴です。
彼が未来の妻にささげた『モンジュイックの橋』は、2人の最初の散歩の思い出を曲にしたもの。
バルセロナの海岸地区の音や匂い、カタルーニャ文化の要素が織り込まれ、作曲家の個人的な体験と感情を繊細に表現しています。
恋する2人の穏やかで幸せな時間を美しい音色で表現した洗練された音楽は、ゆったり過ごす夜のひとときにピッタリです。
「月の光」による幻想曲Federico Mompou

20世紀を代表するスペインの作曲家、フェデリコ・モンポウ。
バルセロナに生まれ、パリ音楽院で学んだ彼は、繊細で夢見心地のような独特の作風で知られています。
モンポウの曲には、静けさとめい想的な響きが宿り、聴く者の心に深い感銘を与えてくれるでしょう。
『「月の光」による幻想曲』をはじめとする彼のピアノ曲の数々は、まるで作曲家自身の内面世界を映し出すかのよう。
人生の喜びも悲しみも、柔らかな音の波にのせて伝えてくれる珠玉の作品です。
歌と踊り 第6番Federico Mompou

20世紀の音楽界に大きな足跡を残したスペイン人作曲家フェデリコ・モンポウ。
『歌と踊り』と題された一連のピアノ曲は、彼の代表作の一つに数えられています。
各曲に「歌」と「踊り」の各要素が盛り込まれており、前者は表情豊かなメロディが、後者はキューバやブラジルの影響を受けたリズムが印象的。
モンポウの音楽の本質は霧の向こうにあり、すべてを理解することは容易ではありませんが、作曲家の導きに身を任せれば、その魅力に触れることができるでしょう。
3つの変奏曲Federico Mompou

深い哀愁と透明感のある音色を奏でるフェデリコ・モンポウの『3つの変奏曲』。
本作は、フレデリック・ショパンの『前奏曲』をもとに作られた、3つの対照的な変奏曲からなる小品集です。
一つひとつの変奏曲が、モンポウの音楽スタイルの特徴を見事に捉えており、繊細で内省的なメロディに、モンポウが生まれ育ったバルセロナの海辺の風景や民俗文化の影響が色濃く反映されています。
穏やかな響きのなかにも、心の奥底に眠る切なさや憂いを感じさせるこの曲は、ピアニストだけでなく、音楽を愛するすべての人にオススメしたい1曲です。
ペセブレ 第1曲「踊り」Federico Mompou

カタルーニャ人の父とフランス人の母の間に生まれ、ピアノと作曲に生涯をささげた内気な音楽家、フェデリコ・モンポウ。
彼の代表作の一つである『ペセブレ』は、1914年に完成し1920年に出版された、第1曲『踊り』をはじめとする9つの小品からなる作品集です。
ピアノのために書かれたこれらの曲は、フランスの印象派やエリック・サティ、ガブリエル・フォーレからの影響を感じさせつつ、カタルーニャの民族音楽の要素も盛り込まれた、モンポウならではの音楽性を楽しめる秀作です。
風景 第2曲「湖」Federico Mompou

内気な性格から演奏家の道を諦めた、スペイン出身の作曲家フェデリコ・モンポウ。
第一次世界大戦にほんろうされるなか、彼が1947年に作曲したピアノ曲『風景』は、カタルーニャ地方の美しい自然や風景に着想を得た作品です。
なかでも第2曲は、湖の静けさと美しさを見事に描写しています。
鐘の音を模した穏やかで夢見るような旋律に、聴く者は心洗われるでしょう。
ピアノの響きに身を委ねて、自分だけの風景を思い浮かべてみるのもオススメです。
内なる印象 第5曲「悲しい鳥」Federico Mompou

内向的で物静かな性格ゆえにピアニストの道を諦めざるを得なかったモンポウですが、その芸術家魂は生涯を通じて作曲活動に注がれ続けました。
彼の音楽は繊細でいて深い感情に満ちており、特に代表作の一つであるピアノ曲集『内なる印象』はそれを象徴する名曲といえるでしょう。
悲しみを抱えながら生きる小鳥のつぶやきを思わせる切なさに満ちた第5曲『悲しい鳥』は、あまりに静かすぎてほとんど聴き取れないようなところもありますが、じっくり聴き込むほどに繊細な音色が染み入ってきます。
悲しみに寄り添いたいとき、心を落ち着かせたいときに、ぜひ聴いていただきたい1曲です。