洋楽のトリビュート・アルバムの名盤。オススメの1枚
皆さんは、トリビュート・アルバムと聞いてどのような作品を想像しますでしょうか。
一般的には偉大なアーティストやバンド、場合によっては作詞家や作曲家にフォーカスを当てて、それぞれの名曲を複数のアーティストがカバーを披露するといったものがトリビュート・アルバムと言われていますよね。
今回の記事では、複数のアーティストやバンドが参加した洋楽のトリビュート・アルバムの名盤に焦点を当てて、時代をこえたオススメの1枚を選んでみました。
トリビュート・アルバムがこういった形で紹介されることはあまりないですし、この機会にぜひお楽しみください!
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洋楽のトリビュート・アルバムの名盤。オススメの1枚(1〜10)
A Case Of YouJoni Mitchell

女性シンガーソングライターの系譜において、先駆け的な存在の1人と言えばやはりカナダ出身のジョニ・ミッチェルさんでしょう。
1968年にデビュー・アルバムをリリースして以来、幅広いジャンルを巧みに取り入れた音楽性と優れた作詞家としての才能から生まれる珠玉の名曲たちは、商業的な成功はもちろん多くのミュージシャンへ影響を与えています。
そんなジョニさんからの影響を公言する豪華なアーティストたちが集結したトリビュート・アルバム『A Tribute To Joni Mitchell』は、原曲に忠実なものから大胆にアレンジしたものまで、どれもジョニさんへの敬意が込められた見事なトリビュート作品となっているのですね。
ジャンルにとらわれない素晴らしい作品を多くリリースしていることでも知られている、名門ノンサッチ・レコードが主導しているということで、トリビュート・アルバムと言えども作品の全体的な質の高さは折り紙付きですよ。
個人的には、多くのアーティストがカバーに挑戦している名曲『A Case of You』を、どこか切なさや悲哀を感じさせる美しいファルセットで歌い上げた故プリンスさんのパフォーマンスが出色の出来栄えでオススメです!
Break On ThroughThe Doors

今もなお、妖しく危険なカリスマ性で聴き手を魅了し続ける伝説のボーカリストにして詩人、ジム・モリソンさんが率いたドアーズ。
ドアーズの音楽に影響を受けたというミュージシャンは数知れず、1991年には名匠オリバー・ストーン監督による映画『ドアーズ』が公開されるなど、さまざまなカルチャーに影響を与え続けドアーズのトリビュート・アルバムは2000年にリリースされた『Stoned Immaculate: The Music Of The Doors』が有名です。
このトリビュート作品の特筆すべき点は、やはりドアーズの残されたメンバーたちがどの楽曲でも何かしらの形でレコーディングに関わっている、ということでしょう。
その結果、散漫になりがちなトリビュート・アルバムにドアーズの世界観を壊さずに、統一感のある雰囲気を作り上げているのが特徴と言えましょう。
新旧のアーティストがそれぞれドアーズ愛、ジム・モリソン愛を爆発させているのが聴いていて楽しくなりますが、ストーン・テンプル・パイロッツやクリード辺りの90年代オルタナティブロック組は、明らかにモリソンさんを意識した歌い回しで、その影響源がありありと浮かび上がるパフォーマンスとなっていますね。
とくに前者のボーカリスト、故スコット・ウェイランドさんは破滅型のフロントマンということもあるのか、はまりきっていて恐ろしくなるほどです……!
Under PressureQueen

近年は不世出のフロントマン、フレディ・マーキュリーさんに焦点を当てた映画『ボヘミアン・ラプソディ』の大ヒットで、若い音楽ファンからあらためて注目を集めた、イギリスが生んだ世界的なロック・バンドのクイーン。
当然ながら、彼らからの影響を公言するミュージシャンは世界中に多く存在していますし、彼らの生み出した楽曲も好んでカバーされている印象ですが、トリビュート・アルバムは意外と少ないようですね。
今回取り上げている、クイーンの名曲をタイトルとした『Killer Queen: A Tribute to Queen』は2005年にリリースされた作品で、2000年代以降にデビューを果たした当時の若手アーティストやバンドが多く参加しているのが特徴です。
当時、飛ぶ鳥を落とす勢いだったポップパンク・バンドのSUM 41が、いかにもなパンキッシュ・スタイルではなく、かなり原曲に忠実かつストレートに『Killer Queen』をカバーしていたり、デビュー間もないジェイソン・ムラーズさんも『懐かしのラヴァーボーイ』を原曲のイメージを崩さない形で披露しているのが興味深い。
個人的には、この時点でまだ10代だったジョス・ストーンさんによる『Under Pressure』が実に美しく、パワフルな歌唱力に圧倒させられます!
洋楽のトリビュート・アルバムの名盤。オススメの1枚(11〜20)
D’Yer Mak’erLed Zeppelin

音楽史に残る記録的な成功を果たし、独創的かつ革新的な音楽性でハードロックというジャンルのさまざまな可能性を提示、多種多様なアーティストたちに影響を与え続けるレッド・ツェッペリン。
2020年代の今も、意外なミュージシャンがツェッペリンからの影響を公言していますが、1995年にリリースされたトリビュート・アルバム『Encomium : A Tribute to Led Zeppelin』に参加した面々を眺めるだけでも、影響力の大きさが伺えるというものですよね。
1990年代半ばのリリースということで、当時のオルタナティブロック系の若手が多く参加しており、代表的なところで言えばストーン・テンプル・パイロッツやブラインド・メロン、クラッカー辺りがその筆頭と言えるでしょうか。
デビュー・アルバムが大成功を収め、一躍トップ・スターの仲間入りを果たして間もない頃のシェリル・クロウさんによる『D’Yer Mak’er』なんかは、原曲以上にレゲエのリズムを意識したポップかつチャーミングな出来栄え。
デュラン・デュランの参加は意外に感じる方も多そうですが、彼らがカバーした『Thank You』をタイトルとした、さまざまなアーティストの曲をカバーしたアルバムが同年にリリースされているのでそちらにも注目を。
なお、御代ロバート・プラントさんが個性派シンガーソングライターのトーリ・エイモスさんと共演を果たした『Down by the Seaside』がラストに収められています。
(You Can Never Tell) C’est la VieChuck Berry

2017年、90歳で惜しくもこの世を去ったチャック・ベリーさんは、ロックの歴史において最も重要なアーティストの1人であり、ロックンロールの創始者として多くのミュージシャンから敬愛され、あのジョン・レノンさんをして「ロックンロールに別名を与えるとすれば『チャック・ベリー』だ」と言わしめたほどの存在です。
たとえチャック・ベリーさんの名前を知らずとも、名作映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー』でマイケル・J・フォックスさん演じる主人公のマーティ・マクフライがノリノリでギターを演奏した名曲『ジョニー・B.グッド』辺りは、多くの人が一度は耳にしたことがあるでしょう。
そんなチャック・ベリーさんの名曲たちのカバー曲を集めた、1998年リリースのトリビュート・アルバム『Chuck B. Covered: A Tribute To Chuck Berry』を紹介しましょう。
ロッド・スチュワートさんやザ・ビーチ・ボーイズ、ザ・キンクスといったいわゆるロックの巨人たちを筆頭に、エミルー・ハリスさんのようなカントリー音楽のシンガーソングライターや、ブライアン・セッツァーさん率いるロカビリー・バンドのストレイ・キャッツ、1959年に22歳の若さで亡くなった伝説的なロッカーのバディ・ホリーさんなど、多彩な面々によるカバーを楽しめます。
ちなみに、先述した名曲『ジョニー・B.グッド』をカバーしているのは、ジャマイカ音楽の偉人ピーター・トッシュさんです!
Hard luck womanKISS

白塗りの化粧を施したど派手なルックスとエンタメ精神あふれるパフォーマンス、分かりやすくキャッチーな楽曲で世界中に「キッスアーミー」と呼ばれる熱狂的なファンを持つ4人組ハードロック・バンド、キッス。
ここ日本においても、X JAPANなど直接的にキッスの影響を受けたミュージシャンは多く存在していますよね。
そんなキッスのトリビュート・アルバムである『Kiss My Ass: Classic Kiss Regrooved』は、バンドにとって20周年となった1994年にリリースされ、ゴールドディスクを獲得した人気の1枚です。
参加した面々はさまざまですが、やはり90年代のリリースということでオルタナティブロック系のバンドが多めというのが特徴的ですね。
Shandi’s Addictionと名乗るバンドは期間限定のグループで、トゥールのメイナード・ジェームス・キーナンさんをボーカルとして迎え、レイジ・アゲインスト・ザ・マシーンやフェイス・ノー・モアといった強力なバンドのメンバーが演奏隊というオルタナ好きにはたまらない顔ぶれですから、ぜひチェックしていただきたいですね。
日本からはX JAPANのYOSHIKIさんが参加、ジーン・シモンズさんから依頼された楽曲ではない曲にあえて挑戦したというエピソードも有名ですし、興味のある方はその辺りの事情を調べてみてください!
WinterlongNeil Young

カナダはトロント出身、その特異な個性で長きに渡りジャンルに縛られない活動を続け、2020年代の今もバリバリの現役アーティストとして活躍するニール・ヤングさん。
多くの後続のミュージシャンに影響を与えたヤングさんですが、いわゆるオルタナティブロック系のアーティストやバンドから熱狂的な支持を受けており、グランジのゴッドファーザーなどと呼ばれていることは有名な話で、1989年にリリースされた作品『The Bridge: A Tribute to Neil Young』は、まさにその証左といえるトリビュート・アルバムなのですね。
まだグランジやオルタナティブロックが本格的に商業的な意味でもムーブメントとなる前ということもあり、ソニックユースやピクシーズ、ザ・フレーミング・リップスやダイナソーJRなど、90年代の幕開けを予感させるアーティストたちが多く集結した作品で、オルタナティブロックの歴史を知る上でも興味深い1枚となっています。
残念ながら、ヤングさんはトリビュートという形式を快く思わなかったのか、本作の企画自体に怒ったそうです。
ニール・ヤングさんの熱心なファンでもオルタナ系のアーティストはあまり好きではない、という方もいらっしゃるでしょうが、今や若い音楽ファンにとっては90年代の音楽が生まれる前の古いロックとなった時代ですから、先入観を取り払った上であらためて本作と向き合ってみてはいかがでしょうか。