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洋楽のトリビュート・アルバムの名盤。オススメの1枚

皆さんは、トリビュート・アルバムと聞いてどのような作品を想像しますでしょうか。

一般的には偉大なアーティストやバンド、場合によっては作詞家や作曲家にフォーカスを当てて、それぞれの名曲を複数のアーティストがカバーを披露するといったものがトリビュート・アルバムと言われていますよね。

今回の記事では、複数のアーティストやバンドが参加した洋楽のトリビュート・アルバムの名盤に焦点を当てて、時代をこえたオススメの1枚を選んでみました。

トリビュート・アルバムがこういった形で紹介されることはあまりないですし、この機会にぜひお楽しみください!

洋楽のトリビュート・アルバムの名盤。オススメの1枚(1〜10)

Timeless: Hank Williams Tribute

I Dreamed About Mama Last NightHank Williams

日本ではあまり意識されないことではありますが、アメリカにおけるカントリーやブルースといったルーツ・ミュージックの影響力はとてつもなく大きいものがあります。

偉大なロック・ミュージシャンが敬愛するカントリー・シンガーの楽曲をカバーしたことで、その存在を知ったというロック・リスナーもいらっしゃるのではないでしょうか。

本稿の主役、ハンク・ウィリアムズさんは29歳という若さでこの世を去った伝説的なカントリー音楽のシンガーソングライターです。

短い音楽キャリアの中で11曲もの楽曲をチャート首位に送り込み、素晴らしい名曲を多く送り出したウィリアムズさんのトリビュート・アルバム『Timeless: Hank Williams Tribute』は、まさにウィリアムズさんがカントリーだけでなく他分野のミュージシャンにも多大なる影響を及ぼしていることがよくわかる1枚。

ボブ・ディラン御代を皮切りに、シェリル・クロウさんやベックさん、本作がリリースされた2001年の時点ではオルタナティブ・カントリー界の若き旗手と目されていたライアン・アダムスさん、ルシンダ・ウィリアムスさんやエミル―・ハリスさんといったカントリー音楽の大御所など、アメリカのミュージシャンが中心のラインアップの中で、キース・リチャーズさんのようなイギリス勢も参加しています。

本作を聴くことが、アメリカン・ミュージックが持つ奥深い魅力の一端を知る良い機会となるかもしれません。

Stone Free: Tribute To Jimi Hendrix

Stone FreeJimi Hendrix

ロック史に残る最高のギタリストにして、27歳の若さでこの世を去った伝説的なミュージシャン、ジミ・ヘンドリックスさん。

定期的に行われる音楽メディアの「史上最高のギタリスト」といった企画においても、頻繁に1位に選ばれているヘンドリックスさんがどれほど革新的であったのかを短い文章で語ることは不可能ですが、本稿で取り上げている名作トリビュート・アルバム『Stone Free: A Tribute to Jimi Hendrix』を聴けば、その圧倒的な影響力の一端が理解できるはず。

1993年にリリースされ、日本では『紫のけむり』というヘンドリックスさんの名曲にちなんだ邦題も付けられましたね。

エリック・クラプトンさんのようにヘンドリックさんと同時代を生きたスーパー・ギタリストを始めとして、さらに上の世代にあたるシカゴ・ブルースの第一人者であるバディ・ガイさん、異色のヴァイオリニストであるナイジェル・ケネディさん、パール・ジャムとサウンドガーデンというオルタナティブ・ロックのスターたちによるテンプル・オブ・ザ・ドッグがM.A.C.C.という変名で参加していたりと、実に興味深いラインアップとなっているのです。

ザ・キュアーによる『Purple Haze』辺りは評価が分かれそうですが、癖の強い個性的なミュージシャンたちがどのようにジミヘン楽曲を料理しているのか、寛大な心で味わうのもトリビュート・アルバムを楽しむコツと言えるのではないでしょうか。

Stoned Immaculate: The Music Of The Doors

Break On ThroughThe Doors

stone temple pilot-break on through the otherside(the doors)
Break On ThroughThe Doors

今もなお、妖しく危険なカリスマ性で聴き手を魅了し続ける伝説のボーカリストにして詩人、ジム・モリソンさんが率いたドアーズ。

ドアーズの音楽に影響を受けたというミュージシャンは数知れず、1991年には名匠オリバー・ストーン監督による映画『ドアーズ』が公開されるなど、さまざまなカルチャーに影響を与え続けドアーズのトリビュート・アルバムは2000年にリリースされた『Stoned Immaculate: The Music Of The Doors』が有名です。

このトリビュート作品の特筆すべき点は、やはりドアーズの残されたメンバーたちがどの楽曲でも何かしらの形でレコーディングに関わっている、ということでしょう。

その結果、散漫になりがちなトリビュート・アルバムにドアーズの世界観を壊さずに、統一感のある雰囲気を作り上げているのが特徴と言えましょう。

新旧のアーティストがそれぞれドアーズ愛、ジム・モリソン愛を爆発させているのが聴いていて楽しくなりますが、ストーン・テンプル・パイロッツやクリード辺りの90年代オルタナティブロック組は、明らかにモリソンさんを意識した歌い回しで、その影響源がありありと浮かび上がるパフォーマンスとなっていますね。

とくに前者のボーカリスト、故スコット・ウェイランドさんは破滅型のフロントマンということもあるのか、はまりきっていて恐ろしくなるほどです……!

洋楽のトリビュート・アルバムの名盤。オススメの1枚(11〜20)

Chuck B Covered: A Tribute To Chuck Berry

(You Can Never Tell) C’est la VieChuck Berry

Emmylou Harris – ( you never can tell ) C’est la vie (1977)
(You Can Never Tell) C'est la VieChuck Berry

2017年、90歳で惜しくもこの世を去ったチャック・ベリーさんは、ロックの歴史において最も重要なアーティストの1人であり、ロックンロールの創始者として多くのミュージシャンから敬愛され、あのジョン・レノンさんをして「ロックンロールに別名を与えるとすれば『チャック・ベリー』だ」と言わしめたほどの存在です。

たとえチャック・ベリーさんの名前を知らずとも、名作映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー』でマイケル・J・フォックスさん演じる主人公のマーティ・マクフライがノリノリでギターを演奏した名曲『ジョニー・B.グッド』辺りは、多くの人が一度は耳にしたことがあるでしょう。

そんなチャック・ベリーさんの名曲たちのカバー曲を集めた、1998年リリースのトリビュート・アルバム『Chuck B. Covered: A Tribute To Chuck Berry』を紹介しましょう。

ロッド・スチュワートさんやザ・ビーチ・ボーイズ、ザ・キンクスといったいわゆるロックの巨人たちを筆頭に、エミルー・ハリスさんのようなカントリー音楽のシンガーソングライターや、ブライアン・セッツァーさん率いるロカビリー・バンドのストレイ・キャッツ、1959年に22歳の若さで亡くなった伝説的なロッカーのバディ・ホリーさんなど、多彩な面々によるカバーを楽しめます。

ちなみに、先述した名曲『ジョニー・B.グッド』をカバーしているのは、ジャマイカ音楽の偉人ピーター・トッシュさんです!

Encomium: A Tribute to Led Zeppelin

D’Yer Mak’erLed Zeppelin

音楽史に残る記録的な成功を果たし、独創的かつ革新的な音楽性でハードロックというジャンルのさまざまな可能性を提示、多種多様なアーティストたちに影響を与え続けるレッド・ツェッペリン。

2020年代の今も、意外なミュージシャンがツェッペリンからの影響を公言していますが、1995年にリリースされたトリビュート・アルバム『Encomium : A Tribute to Led Zeppelin』に参加した面々を眺めるだけでも、影響力の大きさが伺えるというものですよね。

1990年代半ばのリリースということで、当時のオルタナティブロック系の若手が多く参加しており、代表的なところで言えばストーン・テンプル・パイロッツやブラインド・メロン、クラッカー辺りがその筆頭と言えるでしょうか。

デビュー・アルバムが大成功を収め、一躍トップ・スターの仲間入りを果たして間もない頃のシェリル・クロウさんによる『D’Yer Mak’er』なんかは、原曲以上にレゲエのリズムを意識したポップかつチャーミングな出来栄え。

デュラン・デュランの参加は意外に感じる方も多そうですが、彼らがカバーした『Thank You』をタイトルとした、さまざまなアーティストの曲をカバーしたアルバムが同年にリリースされているのでそちらにも注目を。

なお、御代ロバート・プラントさんが個性派シンガーソングライターのトーリ・エイモスさんと共演を果たした『Down by the Seaside』がラストに収められています。

Kiss My Ass: Classic Kiss Regrooved

Hard luck womanKISS

Garth Brooks & Kiss Hard luck woman
Hard luck womanKISS

白塗りの化粧を施したど派手なルックスとエンタメ精神あふれるパフォーマンス、分かりやすくキャッチーな楽曲で世界中に「キッスアーミー」と呼ばれる熱狂的なファンを持つ4人組ハードロック・バンド、キッス。

ここ日本においても、X JAPANなど直接的にキッスの影響を受けたミュージシャンは多く存在していますよね。

そんなキッスのトリビュート・アルバムである『Kiss My Ass: Classic Kiss Regrooved』は、バンドにとって20周年となった1994年にリリースされ、ゴールドディスクを獲得した人気の1枚です。

参加した面々はさまざまですが、やはり90年代のリリースということでオルタナティブロック系のバンドが多めというのが特徴的ですね。

Shandi’s Addictionと名乗るバンドは期間限定のグループで、トゥールのメイナード・ジェームス・キーナンさんをボーカルとして迎え、レイジ・アゲインスト・ザ・マシーンやフェイス・ノー・モアといった強力なバンドのメンバーが演奏隊というオルタナ好きにはたまらない顔ぶれですから、ぜひチェックしていただきたいですね。

日本からはX JAPANのYOSHIKIさんが参加、ジーン・シモンズさんから依頼された楽曲ではない曲にあえて挑戦したというエピソードも有名ですし、興味のある方はその辺りの事情を調べてみてください!

The Bridge: A Tribute to Neil Young

WinterlongNeil Young

カナダはトロント出身、その特異な個性で長きに渡りジャンルに縛られない活動を続け、2020年代の今もバリバリの現役アーティストとして活躍するニール・ヤングさん。

多くの後続のミュージシャンに影響を与えたヤングさんですが、いわゆるオルタナティブロック系のアーティストやバンドから熱狂的な支持を受けており、グランジのゴッドファーザーなどと呼ばれていることは有名な話で、1989年にリリースされた作品『The Bridge: A Tribute to Neil Young』は、まさにその証左といえるトリビュート・アルバムなのですね。

まだグランジやオルタナティブロックが本格的に商業的な意味でもムーブメントとなる前ということもあり、ソニックユースやピクシーズ、ザ・フレーミング・リップスやダイナソーJRなど、90年代の幕開けを予感させるアーティストたちが多く集結した作品で、オルタナティブロックの歴史を知る上でも興味深い1枚となっています。

残念ながら、ヤングさんはトリビュートという形式を快く思わなかったのか、本作の企画自体に怒ったそうです。

ニール・ヤングさんの熱心なファンでもオルタナ系のアーティストはあまり好きではない、という方もいらっしゃるでしょうが、今や若い音楽ファンにとっては90年代の音楽が生まれる前の古いロックとなった時代ですから、先入観を取り払った上であらためて本作と向き合ってみてはいかがでしょうか。