【グラズノフのピアノ曲】民族主義と国際主義を融合した革命児による名作
1865年にロシア帝国サンクトペテルブルクに生まれ、作曲家、音楽教師、指揮者として活躍したロシアの作曲家、アレクサンドル・グラズノフさん。
彼は、革命後のロシアにおいて民族主義と国際主義を融合させた重要人物として知られており、19世紀後半のロシアで注目されたバラキレフら「ロシア5人組」も目をかけるほどの才能の持ち主であったといわれています。
本記事ではそんなグラズノフさんの作品のなかから、ピアノのために書かれた作品をピックアップ!
作曲の背景や作品の特徴とともにご紹介します。
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【グラズノフのピアノ曲】民族主義と国際主義を融合した革命児による名作
2つの即興曲 Op.54 第1番 変ニ長調Aleksandr Glazunov

19世紀末のロシア音楽界をけん引した作曲家の一人、アレクサンドル・グラズノフさん。
彼のピアノ作品『2つの即興曲 Op.54』の第1番は、自由な即興的スタイルのなかにも洗練された美しさが感じられる名曲です。
華やかでいて親しみやすい旋律は、聴く人の心を強くひきつけてやみません。
ロマン派の伝統を受け継ぎつつ、ロシアの民族性もさりげなく織り交ぜた彼独自の音楽性が存分に発揮された1曲。
初級〜中級レベルのピアニストにオススメしたい作品です。
3つの練習曲 Op.31 第1番 ハ長調Aleksandr Glazunov

アレクサンドル・グラズノフさんは1865年にサンクトペテルブルクに生まれ、ロシア五人組のバラキレフに才能を見いだされた作曲家です。
ロシア国内外で高い評価を得ており、1905年からはサンクトペテルブルク音楽院の院長を務め、ショスタコーヴィチなど多くの後進を育てました。
『3つの練習曲 Op.31』は、技術的な難易度の高さと音楽的表現の深さが特徴。
第1番は明るく力強いキャラクターで、スケールやアルペジオの練習、ダイナミクスの変化など、ピアノの演奏技術の向上を目的としています。
ピアノの基礎力を高めたい方は、クラシカルな調和と技術的な挑戦が融合した、演奏者の技術力と表現力が試される本作に挑戦してみてはいかがでしょうか。
幻想曲 Op.104Aleksandr Glazunov

ロシア後期ロマン派を代表する作曲家アレクサンドル・グラズノフさん。
彼は幼少期から音楽の才能を発揮し、チャイコフスキーやリムスキー=コルサコフに師事しました。
1920年に作曲された『幻想曲 Op.104』は2台ピアノのための作品で、全3楽章から成ります。
技巧的にも表現的にも高度な演奏が求められますが、美しい旋律と豊かな感情表現が魅力的な作品です。
特に中間部は躍動感にあふれ、聴き手を楽曲世界へと誘います。
クラシック音楽になじみのない方にもぜひ聴いていただきたい1曲です。
2つの小品 Op.22 第1曲「舟歌」Aleksandr Glazunov

アレクサンドル・グラズノフさんは、19世紀後半から20世紀前半にかけて活躍したロシアの作曲家。
師事したリムスキー=コルサコフの薫陶を受けつつ、ロシアの民族主義と西洋の作曲技法を融合させた独自の音楽スタイルを築き上げました。
彼の『2つの小品』の第1曲『舟歌』は、穏やかな水面を漕ぎ進む舟のゆったりとした動きを思わせる叙情的な旋律が印象的。
心地よい揺れに身を任せ、もの思いにふけるような哀愁のある雰囲気に満ちた佳曲です。
ロシア音楽の豊かな情感と繊細な音の響きに浸りたい方にオススメの1曲といえるでしょう。
前奏曲とフーガ ニ短調 Op.62Aleksandr Glazunov

ロシアの作曲家、アレクサンドル・グラズノフさんは19世紀後半から20世紀前半にかけて活躍した人物で、交響曲やバレエ音楽などで知られています。
1899年に作曲された彼のピアノ曲『前奏曲とフーガ ニ短調 Op.62』は、二部構成の劇的で感情豊かな作品。
前奏曲は気まぐれな遅めのテンポ、フーガは中庸な速さで、2つの主題による複雑な対位法が特徴的です。
グラズノフさんの深い音楽性と卓越したピアノ書法が存分に発揮された意欲作で、高度な演奏技術が要求されます。
クラシック音楽ファンやピアノ上級者にオススメしたい名曲です。
おわりに
重厚な雰囲気をたたえつつも、ロマン派の流れを組む流麗さを感じさせるグラズノフさんの音楽。
彼の作品に興味が湧いた方は、ロシア音楽という枠におさまらない独自の世界観を、演奏を通して楽しんでみてはいかがでしょうか?