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サティのピアノ曲|音楽の異端児が手掛けたはかなく美しい作品たち

「音楽界の異端児」「音楽界の変わり者」の異名で知られるフランスの作曲家、エリック・サティ。

パリ音楽院在学中に指導教授から「君には才能がない」と見限られ除籍になるなど、神童やエリートの多い音楽家の世界では異例の道をたどった彼の音楽には、変わり者と称された彼の独特な世界観が淡い色彩を思わせる不思議なハーモニーとなって表れています。

本記事では、そんなサティの代表作のなかから、ピアノのために書かれた美しい楽曲の数々をご紹介いたします。

サティのピアノ曲|音楽の異端児が手掛けたはかなく美しい作品たち(11〜20)

犬のためのぶよぶよした前奏曲Erik Satie

Erik Satie ~1912~ Véritables Préludes Flasques (Pour un chien)
犬のためのぶよぶよした前奏曲Erik Satie

エリック・サティ独特の世界観とユーモアが反映された『犬のためのぶよぶよとした前奏曲』。

奇抜なタイトルからは想像もつかないような、引き締まった筆致でつづられた4つの小品には、アルカイックな雰囲気とともに、作曲家の深い愛情が感じられます。

一風変わった題名にひかれて手にした人も、その音楽に触れた瞬間、サティの独創的な感性に魅了されるはず。

ぜひ実際に演奏しながら、唯一無二の世界観に浸ってみてはいかがでしょうか。

ジュ・トゥ・ヴ(あなたが欲しい)Éric Satie

美しく甘美なワルツは、優雅なメロディーとともに心に響きます。

1900年に誕生したこの楽曲は、情熱的な愛の言葉をストレートに表現した官能的な歌詞とともに、パリのカフェやキャバレーで演奏され人々を魅了してきました。

ロマンティックでありながらも、後のアンビエント音楽の先駆けとなった独創的な和声進行は、聴く人に夢のような感覚を与えます。

流れるようなメロディーと3拍子のリズムが印象的な本作は、ピアノの透明感のある音色を存分に楽しめる名曲です。

優雅な雰囲気を味わいたい方や、心に響く美しいメロディーを求めている方にぜひお勧めしたい一曲です。

グノシエンヌ第3番Erik Satie

サティ : グノシエンヌ第3番【02_暗い・悲しい楽譜と説明付きクラシックピアノ曲】
グノシエンヌ第3番Erik Satie

この楽曲は、1893年に音楽誌で初めて紹介された作品で、楽譜に小節線がないのが大きな特徴です。

左手は古代の儀式を思わせるような静かなリズムを繰り返し、その上で右手がどこか掴みどころのない旋律を奏でます。

「Avec étonnement」(驚きとともに)といったユニークな指示が奏者の解釈に委ねられ、聴くたびに異なる表情を見せてくれますよ。

映画『ユマ・フォア』でも効果的に使われました。

本作が持つ瞑想的な響きは、心の奥に沈んだ感情と静かに向き合いたい夜にぴったりです。

風変りの美女より「大リトルネッロ」Éric Satie

サティ : 大リトルネッロ【05_連弾の楽譜付きクラシック音楽のお勧めピアノ曲】
風変りの美女より「大リトルネッロ」Éric Satie

優雅でありながらも風刺的なユーモアがちりばめられた4手連弾作品です。

まるでパリの社交界を覗き見るかのような軽やかなリズムと、反復される印象的な旋律が特徴的です。

本作は1920年に発表され、伝統的な音楽形式に捉われない斬新なアプローチで、当時の音楽界に新たな風を吹き込みました。

華やかでありながらも、どこか皮肉めいた独特な雰囲気を持つメロディーラインは、エリック・サティならではの個性が光ります。

連弾ならではの豊かな響きと表現力を追求したい方、また従来のクラシック音楽とは一味異なる魅力を味わいたい方におすすめの1曲です。

おわりに

ヒーリングミュージックのような癒やしの音楽から、変わり者の一面が垣間見える実験的な作品まで、エリック・サティの世界観を存分に楽しめるピアノ曲をご紹介しました。

サティの音楽は耳にするだけでも心地よさを味わえますが、弾いてみるとより奥深さを味わえます。

お気に入りの1曲と出あえた方は、ぜひ演奏も楽しんでみてくださいね。