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【洋楽】レディ・ソウルのすすめ。素晴らしき女性ソウル・シンガー

アフリカ系アメリカ人が生み出したゴスペル、そしてブルースから発展した形で生まれたソウル・ミュージックというジャンルの中でも、最も偉大なシンガーの一人であるアレサ・フランクリンさんの名盤のタイトル通りに、女性シンガーのソウル・ミュージックを「レディ・ソウル」として親しまれているソウル好きは多いです。

今回の記事では、そんな女性のソウル歌手をテーマとして、一度は聴いておきたい海外の女性ソウル・シンガーを大特集!

ジャンルをまたがった音楽性のアーティストも多く、厳密に定義するのは難しいのですが、著名なソウル・シンガーを中心としてネオ・ソウルや00年代以降のシンガーも含めた幅広いラインアップでお届けします。

【洋楽】レディ・ソウルのすすめ。素晴らしき女性ソウル・シンガー

This Will Be (An Everlasting Love)Natalie Cole

アメリカの伝説的なジャズ・ピアニスト兼シンガーのナット・キング・コールさんの実の娘であり、自身も子どもの頃から歌手として活動していたというナタリー・コールさん。

1975年にプロとして本格的なデビューを果たし、ファースト・アルバム『Inseparable』はR&Bチャートで1位を獲得、洗練されたR&Bとジャズ、ソウルのテイストが見事に融合したシングル曲『This Will Be (An Everlasting Love)』はグラミー賞最優秀R&B女性ボーカル・パフォーマンス賞と最優秀新人賞の2部門に輝きました。

父親の名声に頼らない成功を収めて順風満帆なキャリアを歩み始めたナタリーさんですが、1980年代以降はヒットに恵まれずに私生活も荒れるなど苦しい時期を過ごします。

1989年には美しいR&Bバラード『Miss You Like Crazy』がヒットを記録して復活を遂げ、父親のナット・キング・コールさんの楽曲をカバーした1991年の『Unforgettable… with Love』が全米チャート1位に輝き、アメリカだけでも700万枚を売り上げる大ヒットとなったのです。

日本でもヒットを記録したこの作品は、亡くなった父親とのデュエットが実現したことでも話題を呼びました。

ジャズ・シンガーとしてのアイデンティティを呼び覚ましたかのようなこちらのアルバムは、もちろんソウル・ファンにもオススメの1枚ですよ。

残念ながらプライベートでは不幸な出来事も多かったというナタリーさんですが、そのシンガーとしての才能に一度は触れてみてほしいですね。

Real LoveMary J Blige

2022年2月14日開催された、アメリカが誇る一大イベント「スーパーボウル ハーフタイムショー」にも出演、圧倒的な存在感を見せつけたメアリー・J. ブライジさんは、通称「クイーン・オブ・ヒップホップ・ソウル」とも呼ばれる1990年代以降にデビューした女性アーティストの中でも、最重要人物の1人です。

1971年にアメリカはニューヨーク州サウス・ブロンクスにて誕生したメアリーさんは、1987年に18歳という若さでヒップホップ・レーベルのアップタウン・レコード社と契約を果たし、レーベルとしては最年少かつ初の女性アーティスト契約という歴史を作りました。

デビュー・アルバムのリリース前に1991年の映画『ストリクトリー・ビジネス』のサウンドトラック用に『You Remind Me』という楽曲を歌唱、ロングヒットを記録しています。

1992年にはデビュー・アルバム『What’s the 411?』を発表、彼女のストリートから得たライフ・スタイルそのもの、と言えるヒップホップのビートの上でR&B~ソウルを歌い上げるという後に「ヒップホップ・ソウル」と呼ばれる革新的なスタイルを打ち出し、当然のように大ヒットを記録しただけではなく、以降のR&B系のアーティストたちにも多大なる影響を及ぼすこととなったのです。

チャート受けの良いR&B的なバラードも、憂いを秘めたアルト・ボイスのメアリーさんが歌うと全く違ったエモーションが生まれます。

ヒップホップ世代によるソウルの素晴らしさも、ぜひ味わってみてください!

Smooth OperatorSade

Sade – Smooth Operator – Official – 1984
Smooth OperatorSade

SADEを知らない方に誤解を生まないように説明すると、SADEとはバンド名であり、本稿で取り上げているのはそのボーカリストであるシャーデー・アデュさんです。

ナイジェリア出身というルーツを持ち、幼い頃にイギリスへ移住して学生時代は服飾デザインを学んでいたのだそうです。

1983年にシャーデーのメンバーたちと出会いバンドを結成、翌年にリリースされたデビュー・アルバム『Diamond Life』は全英チャート2位を記録、アメリカでも5位をマークして最終的には世界中で1,000万枚という売り上げを記録するモンスター・アルバムとなりました。

翌年には早くもセカンド・アルバム『Promise』をリリース、こちらも爆発的なヒットを記録しています。

1990年代以降はリリースのペースは目に見えて落ちていくのですが、寡作ながらも発表される作品はどれも突出して高品質なものばかりです。

ソウルやジャズ、レゲエなどさまざまな要素をブレンドさせながらも音数を控えめとしたアンサンブルは実に上品でエレガントなのですね。

そんなサウンドの中で、アデュさんの歌声はどこまでもスモーキーで美しく、モデルの経験もあるという美貌も相まって非常にミステリアスな雰囲気は他にはない魅力を放ちます。

80年代当時は、日本でもオシャレなサウンドとして重宝されたというのも納得の一言。

若い音楽ファンであれば、洗練を極めたサウンドに新鮮な魅力を感じ取るのではないでしょうか。

Pieces Of MeLedisi

R&Bとジャズのどちらのフィールドでも活躍している、1972年生まれのシンガーソングライターであり女優の顔も持つレデシーさん。

豊かな音楽文化を持つニューオリンズで生まれた彼女は幼い頃から交響楽団などで歌っていたそうで、ミュージカル『オズの魔法使い』でドロシー役を演じてシェリー賞にノミネートされた経験もあるそうです。

キャバレーでのキャスト・メンバーやローカルでのバンド活動で熱狂的なファンがすでにいた彼女の本格的なデビューは、インディーズにて2000年にリリースされたアルバム『Soulsinger』。

2年後にはアメリカの著名なレーベル「トミー・ボーイ・レコード」より『Soulsinger: The Revival』としてリイシューされています。

2007年には名盤『Lost & Found』でメジャー・デビューを果たしてスマッシュヒットを記録、洗練されたネオソウル~R&Bといった趣の作品でグラミー賞にもノミネートされました。

常に独立独歩で周囲の思惑に左右されないレデシーさんは、シンガーソングライターとしての確かな才能と音楽だけに留まらない活動で多くの支持を得ている稀有な存在です。

2000年代以降において、最も信頼されているシンガーの1人と言っても過言ではないでしょう。

Hot StuffDonna Summer

ドナ・サマーさんといえば、1970年代に青春を過ごした方であれば「ディスコの女王」として名をはせた姿を思い浮かべるのではないでしょうか。

女性アーティストとして歴史上初めてアルバムとシングルが同時にチャート1位を獲得、5回のグラミー賞受賞など輝かしいキャリアを持つドナさんですが、ディスコ・ブーム後には低迷期もありました。

それでも1989年には『This Time I Know It’s for Real』をヒットさせて復活を果たし、遺作となった2008年のアルバム『Crayons』も収録曲も含めてダンス・チャートでヒットを記録、2012年に惜しくも肺がんでこの世を去るまでアーティスト人生を駆け抜けた偉大な存在です。

亡くなった翌年の2013年にロックの殿堂入りを果たしていることからも、その偉大な功績が分かるのではないでしょうか。

マドンナさんやビヨンセさんなど、ドナさんからの影響を公言する女性アーティストも多く存在していますが、これから彼女の音楽を聴いてみたいという方であれば、マルチ・プラチナを記録した1979年の『Bad Girls』を始めとする、イタリアの名プロデューサーのジョルジオ・モロダーさんとタッグを組んだ全盛期と言える70年代の作品から入ってみることをオススメします!

パワフルな歌声ときらめくディスコ・サウンドは2020年代の今、懐かしくも新鮮な気分で楽しめそうです。

その後で、ディスコ・サウンドではない作品でドナさんの素晴らしい歌唱もチェックしてみてくださいね。

おわりに

ソウル・ミュージックの世界はあまりにも奥深く、掘り下げれば掘り下げるほど多くの見知らぬアーティストと出会えるというのは女性シンガーも同じです。

時にしっとりと歌い上げて感動を誘い、時に圧倒的なパワーで聴き手を鼓舞してくれるレディ・ソウルの魂は今も受け継がれていますから、過去の作品はもちろん現行ソウルにもぜひ興味をもってくださいね!