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【90年代の洋画】主題歌・挿入歌。懐かしの名曲たち

90年代の洋画はメジャーの大作が爆発的なヒットを記録するのと同時進行で、いわゆるミニシアター系の映画が人気を集めていたことが特徴の1つです。

ハリウッドの大作映画であれば、サブカルチャー的な観点で愛されたインディーズの作品であれば、そこには素晴らしい音楽がセットとなっていましたよね。

本稿では、そんな90年代の洋画で使われた主題歌や挿入歌に注目、大御所のミュージシャンが手掛けて大ヒットした楽曲から、インディーズ・シーンのアーティストによる根強い人気を誇る名曲まで、バラエティに富んだラインアップでお届けします。

90年代カルチャーを知る上でも役立つ内容となっていますから、若い映画・音楽ファンも要チェックです!

【90年代の洋画】主題歌・挿入歌。懐かしの名曲たち(1〜10)

グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち

Miss MiseryElliott Smith

インディペンデント映画で人気を博し、ハリウッドに進出後も独自のスタイルで名作を生み出し続けている名匠ガス・ヴァン・サントさんが監督、無名時代のマット・デイモンさんが出演だけではなく映画の脚本も執筆した1997年公開の『グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち』は、アカデミー賞やゴールデングローブ賞において脚本賞を受賞、共演したロビン・ウィリアムズさんがアカデミー助演男優賞を受賞するなど高い評価を得た名作です。

その名作の主題歌として起用されたのが、当時は知る人ぞ知るアーティストだったエリオット・スミスさんの楽曲『Miss Misery』なのですね。

スミスさんらしい美しいメロディと内省的かつさまざまな暗喩を用いた歌詞を軸とした見事なポップソングであり、こういう曲が映画の主題歌として起用されるのも90年代らしさと言えるかもしれません。

34歳の若さで亡くなったエリオット・スミスさんは今でこそ伝説的なシンガーソングライターとして若い音楽ファンからもリスペクトされる存在ですが、ヒートマイザーというバンドでの活動と、ソロとしてインディーズで2枚のアルバムを出しただけのスミスさんに、直々にサウンドトラックの依頼をしたガス・ヴァン・サントさんの審美眼の確かさに驚かされます。

スミスさんはこの楽曲をきっかけとして知名度を上げ、メジャーへと進出を果たします。

そのことが彼にとって幸せであったかどうかは何とも言えませんが……。

ロスト・ハイウェイ

I’m DerangedDavid Bowie

極めて特殊かつ個性的な映像センスを持ち、映画監督のみならずミュージシャンとしても活動している異色のアーティスト、デヴィッド・リンチさん。

発表する作品は賛否両論を呼ぶものも多く、好き嫌いがはっきりと分かれる作風の持ち主ではありますが、熱狂的なファンがいる映像作家として2020年代の今も独自の立ち位置で創作活動を続けている存在です。

そんなリンチさんが1997年に発表した映画『ロスト・ハイウェイ』は、まさにリンチ節が炸裂した複雑怪奇なストーリーと鮮烈なシークエンスが連続する展開で、理解するのではなくイメージをそのまま受け止めるしかないと感じてしまうほど。

鑑賞した方の全員が違った解釈となりそうな本作を彩る音楽は、ナイン・インチ・ネイルズこと天才トレント・レズナーさんがプロデュースを手掛けています。

中でもデヴィッド・ボウイさんとブライアン・イーノさんが共作して1995年に発表した『I’m Deranged』は映画のテーマ曲と呼べる楽曲で、難解でビザールな『ロスト・ハイウェイ』の世界観を妖しく彩っています。

名作と名高いサウンドトラックも、ぜひ映画と合わせて聴いてみてくださいね。

ジュラシック・パーク

End CreditsJohn Williams

映画『ジュラシック・パーク』のラスト、感動的なエンドクレジットで流れるのがこの楽曲です。

同じくサウンドトラックに収録されている印象的な楽曲『Welcome To Jurassic Park』や『Journey To The Island』でも使用されたメロディが引用されています。

あの壮大で胸が高鳴るメロディは、恐竜たちが生きる世界への畏敬の念と、手に汗握る冒険の興奮を思い出させてくれますよね。

映画を観終えた後のあの高揚感をもう一度味わいたい、そんなときにぴったりの一曲と言えます。

【90年代の洋画】主題歌・挿入歌。懐かしの名曲たち(11〜20)

エンパイア レコード

Til I Hear It From YouGin Blossoms

Gin Blossoms – Til I Hear It From You (Official Music Video)
Til I Hear It From YouGin Blossoms

1990年代にレコード屋に通いつめていた方はもちろん、2020年代の現在においてもレコードに愛着があってショップに買いに出かけるという若い世代にも共感を呼びそうな名作映画『エンパイア・レコード』。

1995年に公開され、エアロスミスのスティーヴン・タイラーさんの娘で『アルマゲドン』などで知られるリヴ・タイラーさんが、10代の頃に出演した映画としても知られており、個性豊かな店員を演じる俳優たちの演技と学園祭のようなノリのストーリー展開は、細かいことは抜きにして楽しい気持ちにさせられますよね。

レコード・ショップが舞台ということもあり、本作のサウンドトラックには多くの90年代の洋楽が収録されています。

メジャーどころというよりは、インディ~オルタナティブロックにカレッジロック系のアーティストやバンドが多く、当時の洋楽シーンを深く知りたい方にもオススメなのですね。

今回はサウンドトラックの1曲目に収録された、ジン・ブロッサムズの名曲『Till I Hear It From You』を取り上げましょう。

ハードなグランジやオルタナティブロックが売れていた90年代において、爽やかなギター・サウンドで大ヒットを飛ばした彼らが1995年に発表した楽曲で、サウンドトラックのリードシングルとして人気を集めました。

哀愁を帯びたイントロのギターのアルペジオと切ないメロディを聴いていると、思わずノスタルジックな気持ちにさせられます。

クール・ランニング

I Can See Clearly NowJimmy Cliff

2022年2月、北京五輪開催を記念して日本テレビ系「金曜ロードショー」にて名作映画『クール・ランニング』が放送され、SNSなどで話題を集めたことは記憶に新しいですよね。

1993年に公開された『クール・ランニング』はジャマイカのボブスレー選手団の実話を映画化したもので、コメディタッチの作風で笑いあり涙ありの映画として今も根強い人気を誇る作品です。

ジャマイカのチームをテーマとしていることもあって、劇中では多くのレゲエ・サンドが起用されているというのも特徴的で、夏っぽいレゲエと雪景色という一見相反するコントラストが見ていて不思議とマッチしているというのも楽しいですよね。

そんな名作映画の主題歌は、ジャマイカ人レゲエ・シンガーの生き字引、ジミー・クリフさんの『I Can See Clearly Now』です。

オリジナル・バージョンはアメリカ出身でレゲエ・シンガーとして大成したジョニー・ナッシュさんが1972年に自らが作曲などを手掛けて発表したもので、スタンダードナンバーとして愛されている名曲なのですね。

歌詞はさまざまな解釈が可能なものではあるのですが、映画のテーマはもちろん、ジミーさんの優しげな歌声とメロディにあふれるポジティブなバイブスも含めて「希望を持って前を向いて生きる」といった形で受け止めましょう。

メッセージ・イン・ア・ボトル

TornNatalie Imbruglia

Natalie Imbruglia – Torn (Official Video)
TornNatalie Imbruglia

『メッセージ・イン・ア・ボトル』はポリスの名曲……ではなく、1999年に公開されたアメリカ映画。

女性新聞記者が、海岸の浜辺に打ち上げられた手紙入りの瓶を見つけたことから始まるロマンチックな大人のラブストーリーで、映画を鑑賞してこんな恋愛をしてみたいと思われた方も多いのではないでしょうか。

そんなステキな映画のテーマ曲として起用されているのが、オーストラリア出身でイギリス移住後にシンガーとしてデビューを果たし、世界的なヒットを飛ばしたナタリー・インブルーリアさんの代表曲『Torn』です。

1997年にリリースされたデビュー・アルバム『Left of the Middle』に収録されている楽曲で、『Torn』の大ヒットもあってアルバムは世界中で7,000万枚という売り上げを記録しています。

ナタリーさんの瑞々しく曇り一つない可憐な歌声、爽やかなサウンドとメロディは当時日本でもよく流れていましたから、この曲を聴くだけであの頃の思い出がよみがえってくる人もいらっしゃるはず。

ちなみにこの楽曲はナタリーさんのオリジナルではなく、1990年代にアメリカで活動していたグランジ~オルタナティブロック系のバンドであるエドナスワップの曲のカバーなのですね。

ナタリーさんのバージョンが有名過ぎてあまり知られていないのですが、興味のある方はオリジナル版もぜひ聴いてみましょう!

デンジャラス・マインド/卒業の日まで

Gangsta’s ParadiseCoolio

Coolio – Gangsta’s Paradise (feat. L.V.) [Official Music Video]
Gangsta's ParadiseCoolio

海兵隊出身という異色の作家、ルアン・ジョンソンさんの自伝的小説『ルアン先生に逆らうな』を原作とした1995年公開の映画『デンジャラス・マインド/卒業の日まで』は、主人公のルアン役を演じたミシェル・ファイファーさんの生真面目で心優しい、カッコいい女性教師っぷりが印象的な作品です。

問題児が集められたクラスの中で奮闘する、というありがちなストーリーではありますが、生徒たちの興味を引くためにボブ・ディランさんの詩を教材とするなどの独自の教育や、必ずしもすべてがハッピーに展開していくわけではない、という物語も含めて本作が青春の1本だと感じている方も多いのではないでしょうか。

そんな本作の主題歌として起用されたのが、アメリカのラッパーであるクーリオさんの大ヒット曲にしてアカデミー賞を受賞した名曲『Gangsta’s Paradise』です。

1995年にリリースされた同名のアルバムの表題曲であり、アルバムも世界中で大ヒットとなりました。

ソウル・ミュージックに詳しい方であれば、この曲がスティーヴィー・ワンダーさんの『Pastime paradise』を大胆に引用していることはすぐに分かるでしょう。

歌に比重を置いたサウンドですし、ヒップホップをあまり聴かないという方であっても聴きやすい名曲ですよ。