【90年代の洋画】主題歌・挿入歌。懐かしの名曲たち
90年代の洋画はメジャーの大作が爆発的なヒットを記録するのと同時進行で、いわゆるミニシアター系の映画が人気を集めていたことが特徴の1つです。
ハリウッドの大作映画であれば、サブカルチャー的な観点で愛されたインディーズの作品であれば、そこには素晴らしい音楽がセットとなっていましたよね。
本稿では、そんな90年代の洋画で使われた主題歌や挿入歌に注目、大御所のミュージシャンが手掛けて大ヒットした楽曲から、インディーズ・シーンのアーティストによる根強い人気を誇る名曲まで、バラエティに富んだラインアップでお届けします。
90年代カルチャーを知る上でも役立つ内容となっていますから、若い映画・音楽ファンも要チェックです!
【90年代の洋画】主題歌・挿入歌。懐かしの名曲たち(6〜10)
Born SlippyUnderworld

ハリウッドの大作映画だけではなく、いわゆる単館系とも呼ばれるミニシアターで上映されるタイプの映画が大いに盛り上がったのも90年代洋画カルチャーの特徴です。
そういった作品にはオルタナティブ系やインディーズのアーティストやバンドの楽曲が使われて人気を集めましたが、1996年に公開されたイギリス映画『トレインスポッティング』はまさにその最もたるタイトルの1つでしょう。
破滅的なライフスタイルを過ごすスコットランドの若者たちを衝撃的な映像で描き、かつて渋谷のミニシアター界をけん引したシネマライズにおいて8週間に及ぶロングランを記録して当時のミニシアターの歴史にその名を刻んだ名作中の名作です。
無名時代のユアン・マクレガーさんの出世作としても知られ、新旧のアーティストが参加したサウンドトラックも高い評価を得ています。
中でも、映画のラスト・シーンで流れるテクノ・ミュージックの代表的なユニットであるアンダーワールドによる『Born Slippy』は、彼らの出世作にしてテクノの歴史に残る大名曲。
実はこの曲、映画でも使われてよく知られているバージョンは、1995年にリリースされた『Born Slippy』のB面曲『Born Slippy Nuxx』なのですね。
現在はこちらのバージョンが事実上『Born Slippy』として表記されています。
It Must Have Been LoveRoxette

リチャード・ギアさんとジュリア・ロバーツさんが主演を務めたロマンティック・コメディの名作『プリティ・ウーマン』と言えば、誰もが一度は耳にしたことがあるロイ・オービソンさんによる主題歌『Oh, Pretty Woman』を思い出される方が多いかもしれません。
今回紹介するのは、スウェーデン出身のデュオであるロクセットがによる、映画の劇中歌として起用されて大ヒットを記録した『It Must Have Been Love』です。
もともとは1987年にクリスマスソングとしてリリースされたのがオリジナル・バージョンなのですが、映画の劇中歌として再レコ―ディング、歌詞もクリスマスの文字を変更して改めて発表されたという経緯があるのですね。
すでに本国スウェーデンにおいて人気グループであった彼女たちにとって世界的な知名度を獲得するきっかけとなった楽曲であり、全米チャート1位をマーク、日本でも『愛のぬくもり』という邦題で短冊シングルCDもリリースされました。
伸びやかなハイトーンが心地良いメロディと、バラードながら力強いリズムと耳に残るギターのシンプルなフレーズが印象深い名曲ですね。
この曲が劇中のどこで流れるのかを知っている方であれば、曲を聴くたびに映画の場面を思い出しておもわずぐっときてしまうことでしょう。
TornNatalie Imbruglia

『メッセージ・イン・ア・ボトル』はポリスの名曲……ではなく、1999年に公開されたアメリカ映画。
女性新聞記者が、海岸の浜辺に打ち上げられた手紙入りの瓶を見つけたことから始まるロマンチックな大人のラブストーリーで、映画を鑑賞してこんな恋愛をしてみたいと思われた方も多いのではないでしょうか。
そんなステキな映画のテーマ曲として起用されているのが、オーストラリア出身でイギリス移住後にシンガーとしてデビューを果たし、世界的なヒットを飛ばしたナタリー・インブルーリアさんの代表曲『Torn』です。
1997年にリリースされたデビュー・アルバム『Left of the Middle』に収録されている楽曲で、『Torn』の大ヒットもあってアルバムは世界中で7,000万枚という売り上げを記録しています。
ナタリーさんの瑞々しく曇り一つない可憐な歌声、爽やかなサウンドとメロディは当時日本でもよく流れていましたから、この曲を聴くだけであの頃の思い出がよみがえってくる人もいらっしゃるはず。
ちなみにこの楽曲はナタリーさんのオリジナルではなく、1990年代にアメリカで活動していたグランジ~オルタナティブロック系のバンドであるエドナスワップの曲のカバーなのですね。
ナタリーさんのバージョンが有名過ぎてあまり知られていないのですが、興味のある方はオリジナル版もぜひ聴いてみましょう!
Til I Hear It From YouGin Blossoms

1990年代にレコード屋に通いつめていた方はもちろん、2020年代の現在においてもレコードに愛着があってショップに買いに出かけるという若い世代にも共感を呼びそうな名作映画『エンパイア・レコード』。
1995年に公開され、エアロスミスのスティーヴン・タイラーさんの娘で『アルマゲドン』などで知られるリヴ・タイラーさんが、10代の頃に出演した映画としても知られており、個性豊かな店員を演じる俳優たちの演技と学園祭のようなノリのストーリー展開は、細かいことは抜きにして楽しい気持ちにさせられますよね。
レコード・ショップが舞台ということもあり、本作のサウンドトラックには多くの90年代の洋楽が収録されています。
メジャーどころというよりは、インディ~オルタナティブロックにカレッジロック系のアーティストやバンドが多く、当時の洋楽シーンを深く知りたい方にもオススメなのですね。
今回はサウンドトラックの1曲目に収録された、ジン・ブロッサムズの名曲『Till I Hear It From You』を取り上げましょう。
ハードなグランジやオルタナティブロックが売れていた90年代において、爽やかなギター・サウンドで大ヒットを飛ばした彼らが1995年に発表した楽曲で、サウンドトラックのリードシングルとして人気を集めました。
哀愁を帯びたイントロのギターのアルペジオと切ないメロディを聴いていると、思わずノスタルジックな気持ちにさせられます。
Kiss MeSixpence None The Richer

紅一点のシンガー、リー・ナッシュさんによるキュートなボーカルと「Kiss Me」という歌詞も含めてシンプルで聴けば一発で耳に残る珠玉のメロディ、90年代オルタナティブロック世代流儀の完ぺきなポップソングとして日本でも大ヒットを記録した、アメリカはテキサス出身のクリスチャンロック・バンド、Sixpence None the Richerの『Kiss Me』。
もともとは1997年にリリースされた同名のアルバムに収録されたのが初出で、1998年にシングル・カットされ、全米チャート2位にまで上り詰めた名曲なのですね。
CMなどでも使われていますし、なんと日本語での歌唱バージョンも発表されたこともあって日本ではおなじみの曲ですが、当時のカルチャーを知る人であれば1999年の映画『シーズ・オール・ザット』の主題歌として記憶されている方も多いはず。
90年代後半を代表するティーン向けの名作であり、当時は予想外のヒットを記録したことでも知られています。
映画に出演したフレディ・プリンゼ・Jr.さんとレイチェル・リー・クックさんは『Kiss Me』のMVにも出演していますから、映画未試聴の方はぜひ映画をご覧になった上で、MVをチェックしてみてくださいね。