ビリーシーンが足元で操作している機材とは?
ライブのステージで、ビリーシーンの足元に何が置いてあるか、ご存じでしょうか。
よくあるのは、エフェクターがずらっと並んだペダル・ボードですよね。
でも、ビリーの場合は違うんです。
これも、ビリーシーンが単なるベース・プレイヤーの枠に収まらない理由のひとつだと思っています。
いったい何を置いているのでしょうか。
足元に置かれているモノとは
それは、MIDIフット・キーボードです。
ステージ向かって左側、ビリーの立ち位置のマイクスタンドの下に置かれています。

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現在、ビリーが愛用しているのは、キース・マクミラン・インスツルメンツ社の「12 Steps」という製品です。
通常のピアノ鍵盤と同じように、足でスイッチを踏むことで、クロマチック音階を弾けるものです。
キーボードといっても、これだけでは単なる12個のスイッチであり、単体では音は鳴りません。
別途、MIDIのシンセサイザー音源に接続して、そこで構成した音をベース・アンプとPAミキサーに通して出力しています。
音源モジュールは、2014年ごろまでは、ローランド社の「SonicCell」という製品を使用していました。

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2016年ごろからは、PC音源に変わり、アンプ・キャビネットの左上に小型ラップトップの画面が見えるようになりました。

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18分10秒あたりで、フット・キーボードを踏んだときの実際のサウンドを聴けます。
実際に使っているシーンをご紹介
僕が初めてフット・キーボードの存在を知ったのは、1993年のMR.BIG Bump Aheadツアーの「Promise Her The Moon」のライブ映像でした。
イントロなどでバックに流れる「ファー」という印象的な美しいシンセの音を、ビリーが足で弾いていたんです。
「打ち込みやサポートメンバーなしで、この曲をライブで再現できるなんてなんてスゴイバンドなんだ!」と思いました(笑)。
同じくBump Aheadツアーの「Mr. Gone」のイントロもそうですね。
「Daddy, Brother, Lover, Little Boy」のドリル部分、「Green-tinted 60’s Mind」のダブル・ストップの和音フレーズを弾く部分やギターソロから5/4拍子になる間奏部分、「Undertow」のイントロの16分音符が続くリフやサビの部分、あと「Take Cover」のエンディングの1コードが続く部分などで踏んでいるようです。
これらの楽曲では、「ファー」というキーボード的な空間的な音色ではなく、シンセ・ベースの音色になっていますので、「低音を補う」「さらに低音を足す」という目的で使われています。
ビリーは、ステージでは、「とにかく重低音が薄くならないように工夫しているのだなぁ」と思いました。
軽量がゆえの改良も
2009年ごろまでは、「タウラス・ペダル」というエレクトーンの足鍵盤だけ取ってきたようなものを愛用していました。

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しかし、タウラス・ペダルは巨大だったために、世界各国を回るツアーでは持ち運びが大変だったようです。
そこで、コンパクトなモノを探して、今の「12Steps」に行きついたようですね。

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ただ、あまりにも薄く軽いために、そのままでは足で操作したときにステージ上で動いてしまうため、ビリーは、「12Steps」の下に分厚い木の底板をくっつけています。

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「12Steps」単体の写真と比べると、上側に1.5倍くらい広くなってることがわかりますね。
これも百戦錬磨のビリーならではの工夫だなと思います。
実はもう1台あります
現在の機材では、アンプ・キャビネットの近くの床にもフット・キーボードが置いてあります。

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こちらも同じくキース・マクミラン・インスツルメンツ社の「SoftStep2」という製品で、MIDIシンセ音源の音色をセレクトするためのスイッチとして使っています。
ちなみに、前述のローランド社の音源「SonicCell」を床に置いて「MIDI MOUSE」という機器のプッシュ・スイッチを押してセレクトしていた時期があったようですが、こちらの「SoftStep2」の方が低く平らでスッキリしていて操作しやすそうですね。
ちなみに、ビリーの場合、ペダル・ボードは、アンプ・キャビネットの上に置かれています。
これも、足元に置いてケーブルを踏んだりするトラブルを避けるために行き着いたスタイルだそうです。
ビリーは、足ではなく手でエフェクターペダルを操作する、数少ないプレイヤーだとも言えるでしょう(笑)。
ライタープロフィール
ビリーシーンスタイル・ベーシスト
ぢゃっく
1973年生まれ。
広島県出身。
16歳からベースを始める。
直後にみたビリーシーンのビデオに衝撃を受けて以来、25年以上に渡って、彼のプレイスタイルを研究中。
神戸市西区にあるスタジオメロウのスタッフ、Mellow Music Schoolのベース講師も務める。
「ぢゃっく」は、学生時代、ベースのジャックノイズが酷かったことからついたニックネーム。
テスコムスタジオメロウ|神戸市西区の音楽スタジオ:
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