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【イングランド民謡】ブリティッシュトラッドの名曲まとめ

イングランド民謡といえば、誰もが一度は耳にしたことがある心温まるメロディーと素朴であったりさまざまな意味や文化そのものが込められた歌詞が魅力ですよね。

ブリティッシュトラッドには、民衆の暮らしや自然、そして時には冒険心を揺さぶるような物語が詰まっています。

イギリスの文化を深く理解するためにも、またギターやフィドルなどの練習曲としても最適な音楽です。

今回の記事では伝統的なインランド民謡の名曲をまとめてご紹介、歴史を感じさせる調べと、現代にも通じる普遍的なメッセージを持つブリティッシュトラッドの世界を、一緒に楽しんでみませんか?

【イングランド民謡】ブリティッシュトラッドの名曲まとめ(1〜10)

Rufford Park Poachersイングランド民謡

イングランド民謡には心温まる調べが多いですが、なかには歴史の重みを伝える力強い作品もあります。

その1つとして有名なのが、1851年頃に起きた実際の事件を歌ったバラッド。

生活の困窮から密猟団を結成した労働者と、猟場管理者との悲劇的な衝突がテーマで、なかなかにハードな物語がつづられています。

抒情的な旋律にのせて歌われるのは、当時の人々の抵抗と切実な叫びなのですね。

この楽曲は、1908年7月にイングランドの民謡歌手ジョセフ・テイラーさんの歌唱を、音楽学者のパーシー・グレインジャーさんが録音したものが初の商業音源です。

その後、マーティン・カーシーが名盤『Out of the Cut』で取り上げるなど、多くのフォークシンガーに歌い継がれてきました。

英国史の片鱗に触れたいときに聴いてみると、また違った感慨が湧くでしょう。

I Will Give My Love An Appleイングランド民謡

イングランド民謡のなかでも、なぞなぞ歌として知られる面白い作品です。

愛する人へ「芯のない林檎」や「扉のない家」を贈ると歌いかける、ミステリアスな歌詞が想像力をくすぐりますよね。

本作は、その謎が後半で明かされる構成になっていて、実は自分の頭や心といった全てを捧げるという、とてもロマンティックな愛の寓意が隠されています。

素朴な五音音階の旋律が、この純粋な想いを一層引き立てているのも魅力の1つですね。

この歌は古くから伝承され、1906年にドーセット州で採譜されたという記録があります。

作曲家のベンジャミン・ブリテンさんによる編曲も有名で、テノール歌手ピーター・ピアーズさんとギタリストのジュリアン・ブリームさんによる名盤『Music for Voice and Guitar』で聴くことができます。

言葉遊びの奥に隠された深い愛情に触れたい方や、大切な人への想いを静かに噛み締めたい夜にぴったりの一曲ではないでしょうか。

The Lincolnshire Poacherイングランド民謡

リンカンシャー州の“非公式州歌”とも呼ばれれば、あの陽気なメロディかと得心する方も多いのではないでしょうか。

夜の闇にまぎれて獲物を追う密猟者の冒険を描いた、イングランドの有名な民謡ですね。

危険と隣り合わせのスリルを、まるで楽しい遊びのように歌い上げる主人公の姿がとても痛快です。

この楽曲は1776年頃に初めて印刷物として記録され、映画『Tom Brown’s School Days』の主題歌や軍隊の行進曲にもなりました。

本作がジャズの名曲『St. Thomas』の元になったり、多くのアーティストに歌い継がれているのも、その魅力の証ですよね。

思わず足でリズムを取りたくなるような、愉快な気分になりたい時にぴったりです。

【イングランド民謡】ブリティッシュトラッドの名曲まとめ(11〜20)

Molly Bawnアイルランド民謡

The Chieftains & Alison Krauss – Molly Ban
Molly Bawnアイルランド民謡

霧深いアイルランドの情景が目に浮かぶような、悲しくも美しいバラッドです。

本作が描くのは、猟に出た若者が、茂みに隠れた恋人を白鳥と誤って撃ってしまうという、あまりに痛ましい物語。

恋人を失った若者の絶望が胸に迫ります。

ですが、ただの悲劇で終わらないのがこの歌の奥深いところ。

いくつかの伝承では、恋人の霊が現れて若者の過ちを許し、彼を救うのです。

まるでケルト神話の変身物語のようでもあり、幻想的な雰囲気が漂いますね。

1799年頃に初めて印刷物として登場し、ザ・ダブリナーズがアルバム『At It Again』で取り上げるなど、多くの歌い手によって大切に歌い継がれてきました。

物語に浸りたい静かな夜に、じっくりと聴き入ってみてはいかがでしょう。

When the Boat Comes Inイングランド民謡

北イングランドの港町に古くから伝わる、心温まる調べを持つイングランド民謡です。

伝統的な歌詞は、漁から帰る父親を待つ家族の情景を歌っており、日々の暮らしの中にあるささやかな愛情が感じられます。

子守唄としても親しまれてきた歴史があり、その優しいメロディはどこか懐かしく、穏やかな気持ちにさせてくれますね。

この楽曲は1849年刊行の書物で初出が確認できるほど歴史が古く、1976年から放送が始まったBBCの同名テレビドラマ『When The Boat Comes In』でテーマ曲に起用されたことで、改めて広く知られるようになりました。

ブリティッシュトラッドの入門編として、また歴史に思いを馳せながらゆったりと過ごしたい時に聴いてほしい一曲です。

Henry Martinスコットランド民謡

スコットランドの荒涼とした海と、そこで生きる人々の物語を歌い継いできたのがスコットランド民謡なのかもしれませんね。

本作は、家族を養うために海賊となる道を選んだ男の悲哀を描いた、壮大な物語詩です。

貧困から抜け出すための彼の決断は、やがてイギリスの船との運命的な対決へと繋がり、誇りを胸に抱いたまま海の藻屑と消えるという結末を迎えます。

力強くも静かなメロディが、彼の覚悟と哀愁を深く物語っているようです。

この楽曲はもともと17世紀の史実に基づくバラッドが口承されるうちに変化したもので、ウェールズの歌手フィル・タナーさんによる1937年の録音が最初の記録。

後にジョーン・バエズさんが1960年の名盤『Joan Baez』で取り上げたことで、さらに広く知られることになりました。

歴史の背景を知ると、より一層味わい深いものがありますよ。

The Broomfield Hillスコットランド民謡

機知に富んだ女性が活躍する物語がお好きな方にオススメしたいのが、こちらの「チャイルド・バラッド第43番」として知られる楽曲です。

『The Green Broomfield』や『A Wager, a Wager』といった様々な題名でも親しまれています。

紳士との危険な賭けに、乙女が魔法のような知恵で勝利する物語が歌われており、純潔を守り抜いて悠々と立ち去る姿は実に痛快ですよ!

本作はフォーク界の重鎮マーティン・カーシーさんが1965年のデビュー作『Martin Carthy』と1971年のアルバム『Landfall』で取り上げたことで有名です。

その後、大編成バンドのBellowheadが2010年にアルバム『Hedonism』で演奏し、6万枚以上を売り上げました。

物語性のある音楽が好きな方にも、満足していただける曲だと思います!