イングランド民謡といえば、誰もが一度は耳にしたことがある心温まるメロディーと素朴であったりさまざまな意味や文化そのものが込められた歌詞が魅力ですよね。
ブリティッシュトラッドには、民衆の暮らしや自然、そして時には冒険心を揺さぶるような物語が詰まっています。
イギリスの文化を深く理解するためにも、またギターやフィドルなどの練習曲としても最適な音楽です。
今回の記事では伝統的なインランド民謡の名曲をまとめてご紹介、歴史を感じさせる調べと、現代にも通じる普遍的なメッセージを持つブリティッシュトラッドの世界を、一緒に楽しんでみませんか?
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【イングランド民謡】ブリティッシュトラッドの名曲まとめ(1〜10)
Lavender’s Blueイングランド民謡

心温まるメロディーが印象的な、イングランドの有名な民謡です。
もともとは17世紀の酒場で歌われるような陽気で少し大人びた恋の歌だったそうですが、やがて子ども向けの愛らしい歌詞に変わっていきました。
王様と女王様になぞらえて真っ直ぐな想いを伝える内容は、なんとも微笑ましいですよね。
本作は、1948年公開のディズニー映画『So Dear to My Heart』でバール・アイヴスさんによって歌われ、1950年のアカデミー歌曲賞にノミネートされたことで世界的に知られるようになりました。
イギリスのバンド、マリリオンがアルバム『Misplaced Childhood』でカバーしたことも有名ですね。
穏やかな昼下がりや、ゆったり過ごしたい休日のBGMにぴったりでしょう。
The Lincolnshire Poacherイングランド民謡

リンカンシャー州の“非公式州歌”とも呼ばれれば、あの陽気なメロディかと得心する方も多いのではないでしょうか。
夜の闇にまぎれて獲物を追う密猟者の冒険を描いた、イングランドの有名な民謡ですね。
危険と隣り合わせのスリルを、まるで楽しい遊びのように歌い上げる主人公の姿がとても痛快です。
この楽曲は1776年頃に初めて印刷物として記録され、映画『Tom Brown’s School Days』の主題歌や軍隊の行進曲にもなりました。
本作がジャズの名曲『St. Thomas』の元になったり、多くのアーティストに歌い継がれているのも、その魅力の証ですよね。
思わず足でリズムを取りたくなるような、愉快な気分になりたい時にぴったりです。
Adieu, Adieuイングランド民謡

イングランド民謡には様々な物語が歌い継がれていますが、本作は「ゴッドナイト・ソング」と呼ばれるジャンルに属し、強盗として生きた男の悲哀に満ちた最期を描いた作品です。
愛する妻を貧しさから救うため罪の道へ足を踏み入れ、束の間の栄華の後に捕らえられる主人公。
処刑を前にした彼の独白からは、後悔と共に運命を受け入れる静かな覚悟が感じ取れます。
5/4拍子と3/2拍子が交互に現れる独特のリズムが、彼の心の葛藤を象徴しているかのようですね。
この歌の起源は古く18世紀末まで遡るそうで、イングランドのフォークグループ、ザ・ウォーターソンズが1975年の名盤『For Pence and Spicy Ale』に収録したことで広く知られるようになりました。
エリザ・カーシーさんによる歌唱版は1998年にマーキュリープライズ候補となったアルバム『Red Rice』で聴くことができますよ。
物語に深く浸りたい夜におすすめです。
Early One Morningイングランド民謡

イングランドの民謡には、心温まるメロディーとは裏腹に、実はかなり切実な物語が描かれた作品が少なくありません。
本作もその一つで、ある朝早く、恋人に心変わりされてしまった乙女の嘆きがテーマとなっています。
一聴すると明るい調べですが、その裏には愛を失った絶望とやるせなさが込められており、このギャップがなんとも言えませんね(笑)。
歌詞が初めて文献に登場したのは1787年頃と伝えられています。
サラ・ブライトマンさんがデビュー盤『The Trees They Grow So High』で取り上げたほか、1978年末からはBBCラジオのテーマ曲としても長年親しまれました。
物語性のある音楽や、英国文化の奥深さに触れたい方にぴったりな一曲です。
Rufford Park Poachersイングランド民謡

イングランド民謡には心温まる調べが多いですが、なかには歴史の重みを伝える力強い作品もあります。
その1つとして有名なのが、1851年頃に起きた実際の事件を歌ったバラッド。
生活の困窮から密猟団を結成した労働者と、猟場管理者との悲劇的な衝突がテーマで、なかなかにハードな物語がつづられています。
抒情的な旋律にのせて歌われるのは、当時の人々の抵抗と切実な叫びなのですね。
この楽曲は、1908年7月にイングランドの民謡歌手ジョセフ・テイラーさんの歌唱を、音楽学者のパーシー・グレインジャーさんが録音したものが初の商業音源です。
その後、マーティン・カーシーが名盤『Out of the Cut』で取り上げるなど、多くのフォークシンガーに歌い継がれてきました。
英国史の片鱗に触れたいときに聴いてみると、また違った感慨が湧くでしょう。
The Trees They Grow So Highイングランド民謡

陽気なフォークソングとはまた違う、物悲しい物語が心を深く揺さぶるスコットランド起源のバラッドです。
『Long-A-Growing』や『Daily Growing』といった別名でも知られるこちらの楽曲は、父親によって歳の離れた若い少年と結婚させられた女性の悲痛な運命を歌っています。
14歳で夫となり、若くして父となり、そして16歳で戦死するという夫の短い生涯を、ただ見守ることしかできない女性の絶望と愛情が胸に迫りますね。
1907年に作曲家ラルフ・ヴォーン・ウィリアムズさんが採譜して以降、アメリカのジョーン・バエズさんやイギリスのペンタングルによる名演で聞き覚えのある方もいらっしゃるでしょう。
歴史の渦に飲まれた悲恋の物語に、静かに思いを馳せたい夜にぴったりな一曲です。
Clyde’s Waterイングランド民謡

イングランドやスコットランドに伝わるバラッドには、心温まるものだけでなく、胸を締め付けるような悲劇的な物語も数多く存在します。
その代表格といえるのが、別名『The Drowned Lovers』としても知られるこちらの物語歌です。
母親の反対を押し切り、愛する人のもとへ向かった若者が川に阻まれて命を落とし、それを知った恋人も後を追って水の中に身を投じるという、どこまでも悲しい恋人たちの運命が描かれています。
本作は1951年7月にジョン・ストラチャンという歌い手によって初めて録音された記録が残っており、その後多くのフォークシンガーに歌い継がれてきました。
ニック・ジョーンズさんの名盤『Penguin Eggs』や、マーティン・カージーさんのアルバム『Skin and Bone』など、歌い手によって異なる解釈を聴き比べるのも、この曲の醍醐味といえるでしょう。