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【ジョン・ケージ】ピアノ曲?前衛芸術家が手掛けた奇想天外な作品

アメリカの作曲家、詩人、思想家、さらに自然への興味からのめり込んだキノコの研究者としても活動した異色の音楽家、ジョン・ケージ。

ピアノの弦の間にゴムや金属を挟んだり、数分間もの間ふたの閉まったピアノの前に座ったりといった、音楽作品らしからぬ要素を取り入れた実験的作品で知られる作曲家としてご存じの方も多いのではないでしょうか?

今回は、そんなジョン・ケージの作品のなかからピアノ曲をピックアップ!

といっても、なかにはピアノ作品と呼べるのか少々疑問なものも……。

ぜひ、人とは違う視点でまわりを見つめ音楽を創造したジョン・ケージの世界を楽しみながらご覧ください。

【ジョン・ケージ】ピアノ曲?前衛芸術家が手掛けた奇想天外な作品(1〜10)

メタモルフォシス(変容)第1番John Cage

前衛音楽の旗手として知られるジョン・ケージが1938年に作曲したピアノ曲『メタモルフォシス』。

変奏をせずに、行列の断片のみで構成する、独特な手法が用いられています。

音列主義と対位法を駆使した、彼の実験的なアプローチが色濃く表れた作品といえるでしょう。

一般的な楽曲のような、親しみやすいメロディやハーモニーは感じられませんが、非伝統的な音の響きに心を傾けることで、新たな音楽体験を味わえるはず。

現代音楽に興味のある方や、ケージの革新的な作風に触れてみたい方にオススメの1曲です。

おもちゃのピアノのための組曲John Cage

ジョン・ケージは、20世紀の前衛音楽を代表する作曲家です。

彼は不定性音楽や電子音楽を開拓し、楽器の新しい使用法を生み出しました。

『おもちゃのピアノのための組曲』は、1948年に作曲された彼の代表作の一つ。

おもちゃのピアノという限られた音域の楽器を使い、簡素で親密な音楽を作り上げました。

ケージは「簡素さを通じた静寂」という考えのもと、音楽に東洋哲学を取り入れ、当時の作曲家像に疑問を投げかけています。

本作を通して、そんな彼の独特で刺激的な音楽観に触れてみてはいかがでしょうか?

プリペアドピアノのためのソナタとインターリュード「ソナタ 5」John Cage

John Cage – Sonata V (from Sonatas and Interludes) – Inara Ferreira, prepared piano
プリペアドピアノのためのソナタとインターリュード「ソナタ 5」John Cage

ジョン・ケージは、アメリカを代表する先鋭的な作曲家です。

彼の音楽は、伝統的な枠組みを超えて、偶然性や環境音など、独特な要素を積極的に取り入れることで知られています。

『プリペアドピアノのためのソナタとインターリュード』は、彼の代表作の1つで、特殊な手法で音色を変化させた「プリペアド・ピアノ」を使用しています。

この手法により、ピアノから予想外の音やノイズが生み出され、まるで打楽器のような多彩な響きが楽しめます。

前衛音楽に興味がある方はもちろん、音の持つ無限の広がりを感じてみたい方にもオススメの作品です。

【ジョン・ケージ】ピアノ曲?前衛芸術家が手掛けた奇想天外な作品(11〜20)

John Cage

20世紀の前衛音楽を代表するジョン・ケージは、不定性音楽や電子音楽の開拓者として知られ、従来とは異なる楽器の使用法に挑戦した異色の作曲家です。

彼の1948年の作品『夢』は、ダンサーのメルス・カニングハムとのコラボレーションにより生まれたピアノ曲で、リズミカルな構造に従いながらも、持続する共鳴音によって穏やかでめい想的な雰囲気を醸し出します。

静ひつな音の中に深い思索の世界が広がるこの曲は、現代音楽に興味のある方はもちろん、日常に新たな感覚をもたらしたい全ての人にオススメしたい作品です。

易の音楽John Cage

アメリカの前衛音楽家ジョン・ケージは、20世紀の音楽界に大きな革新をもたらした異色の作曲家です。

『易の音楽』は、中国の古典『易経』に基づいて音の選択や構成を決定するという、前衛的かつ実験的なアプローチが用いられてた作品。

一音一音の偶然性が生み出すユニークな響きは、西洋音楽の伝統から大胆に踏み出した、ケージならではの音楽観を体現しているようです。

現代音楽に興味のある方はもちろん、既成概念にとらわれない斬新な音の世界を味わいたい方にもオススメの作品です。

0分00秒John Cage

John Cage: 0’00’’ (4’33’’ No.2) – performed by Hiroshi Yokoyama
0分00秒John Cage

20世紀を代表する前衛音楽家、ジョン・ケージ。

彼が生み出した革新的な作品のなかでも特に異色なのが『0分00秒』です。

演奏者に「任意の行動」を指示するというこの曲は、音楽の定義そのものに疑問を投げかけています。

一見すると何の音も奏でないこの作品ですが、演奏中に聴こえる環境音や、観客の反応、演奏者の存在感、そのすべてを「音楽」と捉えるケージの思想が凝縮されているのです。

私たちが普段意識せずに聴き流している「静寂」のなかに、かけがえのない音楽が隠れているのかもしれません。

ケージの作品を通して、音楽の新しい可能性に思いをはせてみてはいかがでしょうか?

OneJohn Cage

John Cage : ONE (1987) EMURA Natsuki, piano
OneJohn Cage

ジョン・ケージは、20世紀を代表するアメリカの作曲家であり、前衛音楽の分野で独創的な作品を生み出しました。

彼は不確定性の要素を取り入れた音楽や、『4分33秒』のような革新的なサイレントピース で知られています。

ケージの晩年の作品『One』シリーズでは、「時間枠」と呼ばれる独自の作曲技法が用いられ、演奏者に一定の自由度が与えられることで、アナーキズム的な空間が生まれます。

限られた音響要素から成る長大な作品は、日常の中の音への意識を喚起し、聴き手に新しい音楽体験をもたらしてくれるでしょう。

現代音楽に興味のある方には、ぜひ一度触れていただきたい作品です。