【ジョン・ケージ】ピアノ曲?前衛芸術家が手掛けた奇想天外な作品
アメリカの作曲家、詩人、思想家、さらに自然への興味からのめり込んだキノコの研究者としても活動した異色の音楽家、ジョン・ケージ。
ピアノの弦の間にゴムや金属を挟んだり、数分間もの間ふたの閉まったピアノの前に座ったりといった、音楽作品らしからぬ要素を取り入れた実験的作品で知られる作曲家としてご存じの方も多いのではないでしょうか?
今回は、そんなジョン・ケージの作品のなかからピアノ曲をピックアップ!
といっても、なかにはピアノ作品と呼べるのか少々疑問なものも……。
ぜひ、人とは違う視点でまわりを見つめ音楽を創造したジョン・ケージの世界を楽しみながらご覧ください。
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【ジョン・ケージ】ピアノ曲?前衛芸術家が手掛けた奇想天外な作品(6〜10)
易の音楽John Cage

アメリカの前衛音楽家ジョン・ケージは、20世紀の音楽界に大きな革新をもたらした異色の作曲家です。
『易の音楽』は、中国の古典『易経』に基づいて音の選択や構成を決定するという、前衛的かつ実験的なアプローチが用いられてた作品。
一音一音の偶然性が生み出すユニークな響きは、西洋音楽の伝統から大胆に踏み出した、ケージならではの音楽観を体現しているようです。
現代音楽に興味のある方はもちろん、既成概念にとらわれない斬新な音の世界を味わいたい方にもオススメの作品です。
4分33秒John Cage

20世紀の前衛音楽を代表する作曲家ジョン・ケージ。
彼は不定性音楽や電子音楽、従来とは異なる楽器の使用法を開拓し、後期戦後の前衛芸術の中心人物の1人として知られています。
なかでも1952年に発表された『4分33秒』は、演奏者が意図的な音を発することなく、4分33秒の間ただ存在するだけという衝撃的な内容の作品。
この曲は、音楽における沈黙の概念や聴くという行為の本質を問い直し、音楽の新たな可能性を切り開きました。
ケージは周囲の環境音そのものを音楽として捉え、偶然性の手法を用いることで、私たちの意識を音のみならず、音楽体験全体へと向けたのです。
先入観にとらわれず、新しい音楽のあり方を模索する全ての人にオススメしたい、革新的な作品です。
バッカス祭John Cage

20世紀の前衛音楽を代表する作曲家ジョン・ケージ。
独自の発想で音楽の常識を覆した彼の作品の中から、プリペアドピアノのための『バッカス祭』をご紹介します。
プリペアドピアノとは、ピアノの弦の間にゴムやボルトなどの異物を挟み、音色を変化させる奏法。
ケージはこの技法を用いることで、ピアノから新たな音の可能性を引き出しました。
本作は、ダンス伴奏のために作曲された実験的な作品で、伝統的な音楽の枠組みを超え、偶然性や環境音を取り入れたケージの革新的なアプローチを体感できます。
ケージの自由な発想から生まれた音の冒険をぜひ味わってみてください!
【ジョン・ケージ】ピアノ曲?前衛芸術家が手掛けた奇想天外な作品(11〜15)
7つの俳句 第1番John Cage

アメリカの前衛芸術家ジョン・ケージの作品『7つの俳句 第1番』は、1951年から1952年にかけて作曲されたピアノ独奏曲です。
この作品では、アジア文化や哲学からの影響を反映し、俳句の形式にのっとって5-7-5の音符の長さの関係で各楽章が構成されています。
ケージは作曲にあたり、偶然の操作に基づくチャート技法を用い、静寂を音楽的に取り入れることで、既存の枠組みを超えた表現を目指しました。
本作は彼の人生のさまざまな人物にささげられた作品であり、無音の中から生まれる不思議な音の断片が印象的です。
20世紀音楽に興味のある方はもちろん、現代アートに関心のある方にもぜひ聴いていただきたい作品です。
メタモルフォシス(変容)第1番John Cage

前衛音楽の旗手として知られるジョン・ケージが1938年に作曲したピアノ曲『メタモルフォシス』。
変奏をせずに、行列の断片のみで構成する、独特な手法が用いられています。
音列主義と対位法を駆使した、彼の実験的なアプローチが色濃く表れた作品といえるでしょう。
一般的な楽曲のような、親しみやすいメロディやハーモニーは感じられませんが、非伝統的な音の響きに心を傾けることで、新たな音楽体験を味わえるはず。
現代音楽に興味のある方や、ケージの革新的な作風に触れてみたい方にオススメの1曲です。
OneJohn Cage

ジョン・ケージは、20世紀を代表するアメリカの作曲家であり、前衛音楽の分野で独創的な作品を生み出しました。
彼は不確定性の要素を取り入れた音楽や、『4分33秒』のような革新的なサイレントピース で知られています。
ケージの晩年の作品『One』シリーズでは、「時間枠」と呼ばれる独自の作曲技法が用いられ、演奏者に一定の自由度が与えられることで、アナーキズム的な空間が生まれます。
限られた音響要素から成る長大な作品は、日常の中の音への意識を喚起し、聴き手に新しい音楽体験をもたらしてくれるでしょう。
現代音楽に興味のある方には、ぜひ一度触れていただきたい作品です。
0分00秒John Cage

20世紀を代表する前衛音楽家、ジョン・ケージ。
彼が生み出した革新的な作品のなかでも特に異色なのが『0分00秒』です。
演奏者に「任意の行動」を指示するというこの曲は、音楽の定義そのものに疑問を投げかけています。
一見すると何の音も奏でないこの作品ですが、演奏中に聴こえる環境音や、観客の反応、演奏者の存在感、そのすべてを「音楽」と捉えるケージの思想が凝縮されているのです。
私たちが普段意識せずに聴き流している「静寂」のなかに、かけがえのない音楽が隠れているのかもしれません。
ケージの作品を通して、音楽の新しい可能性に思いをはせてみてはいかがでしょうか?