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【2025】取り扱い注意!デプレッシブブラックメタルのおすすめバンドまとめ

近年は映画『ロード・オブ・カオス』の影響もあって「ブラックメタル」という言葉くらいは何となく耳にしたことがあるという音楽ファンも増えているように感じる昨今ですが、いわゆる「デプレッシブブラックメタル」と呼ばれるジャンルを皆さまはご存じでしょうか。

こちらの記事ではブラックメタルから派生したサブジャンルの中でも限りなく内省的かつ厭世的で、海外では「DSBM」と称されるデプレッシブブラックメタルの著名なバンドたちを紹介しています。

ブラックメタルのファンであってもDSBMは苦手という方も多い、聴く人を選ぶジャンルですから取り扱いには十分注意してくださいね!

【2025】取り扱い注意!デプレッシブブラックメタルのおすすめバンドまとめ

InoriKanashimi

日本は静岡から発信される慟哭のノイズ、それがKanashimiです。

自らを「人間不信」と名乗るO.Misanthropyさんは、元々「Samayoi」というバンドで活動しており、2007年にバンドを解散後は一人でKanashimiというソロプロジェクトを始めたのですね。

日本のブラックメタルはもちろんアンダーグラウンドなシーンではありますが、長きに渡って活動するSIGHやInfernal Necromancy、近年では明日の叙景といった個性的なバンドも登場しており、こちらのKanashimiも独自の音楽性で注目を集めているのですね。

2009年のデビュー作『Romantik Suicide』はタイトルがKanashimiの音楽そのものを表しているといっても過言ではなく、泣き叫ぶようなボーカルとブラックメタルらしいノイズギター、遠くから聴こえてくるようなアンビエントなキーボードの音色と淡々としたドラムといったデプレッシブブラックメタルの基本を鳴らしつつ、あまりにも物悲しいピアノの旋律を前面に押し出しているのがKanashimiの大きな特徴です。

元々はX JAPANに影響を受けたというルーツも相まって、どこか耽美的な音楽性は2019年に発表された名盤『Inori』でも色濃く感じられ、ノイズはシューゲイザー的な轟音へと近づき更なる音楽的な広がりを見せているのですね。

2023年に発表された、人の心の闇を描く『闇歌 – Yamiuta』も素晴らしい内容ですからぜひ聴いてみてほしいです。

Death – Pierce meSilencer

デプレッシブブラックメタルというジャンルの形成を語る上で、スウェーデンのブラックメタルバンドであるサイレンサーの存在は欠かせません。

シャイニングのメンバーとして活動していたこともあるAndreas Casadoさんのソロプロジェクトとして始まったサイレンサーは、Nattramnさんというボーカリストを迎えて2001年には『Death – Pierce Me』を発表。

このアルバムが最初で最後の作品であり、アンダーグラウンドのブラックメタルシーンにおいて彼らの名前が伝説となった理由です。

表題曲にしてオープニングトラックの『Death – Pierce Me』は哀愁を帯びたアコースティックのギターから始まることもあって、メランコリックながら美しさすら感じさせるイントロなのですが……1分40秒後辺りで突如Nattramnさんによる狂気の叫びが解き放たれ、聴く人の度肝を抜く展開に恐怖さえ感じることでしょう。

デプレッシブブラックメタル界の中ではサウンドプロダクションもクリアで緩急をつけたバンドアンサンブルで上述したようにメランコリックな要素も強く、ラストのインスト曲も含めてアルバム全体的にドラマチックな作りですから、Andreasさんはソングライターとしてもアレンジャーとしても明らかな才能を感じさせるのですが、とにかくNattramnさんのボーカルが衝撃的すぎるのですね。

サイレンサーの音楽を聴くこと自体、悪い意味で忘れられない音楽体験となるでしょう。

Reflecting in SolitudeShining

デプレッシブブラックメタルというジャンルにはっきりとした定義があるわけではなく、他のサブジャンルがそうであるように、ジャンルのレッテルを嫌うアーティストも多いです。

本稿で紹介するスウェーデン出身のシャイニングはカリスマティックな存在のフロントマン、ニクラス・クヴァルフォルトさんを中心としたバンドで、デプレッシブブラックメタルのひな形ないしお手本のような音でシーンに衝撃を与えました。

何と来日経験もあり、日本でもアンダーグラウンドのブラックメタル愛好家たちには周知の存在なのですが、ニクラスさんの思想や過激とも言える行動は賛否両論を生み出しながらも、2020年代の現在も活動を続ける数少ない危険なバンドの1つなのですね。

「デプレッシブブラックメタル」という観点においては時に初期の彼らの音源、たとえばニクラスさんが10代の若さで2000年に発表したデビューアルバム『Within Deep Dark Chambers』は、まさにイメージ通りの「DSBM」を鳴らしており、このサウンドに影響を受けたバンドが多く存在するというのも想像に難くないでしょう。

まさに暗黒そのもの、ひたすら闇という闇が迫りくるサウンドながら、緩急のある楽曲展開や悲壮感たっぷりの美しい旋律も感じ取れることもあり、デプレッシブブラックメタルとしては聴きやすい部類と言えるかもしれません。

とはいえ危険な代物だということに変わりはないですから、取り扱いには十二分に注意してください!

Misere NobisNyktalgia

Nyktalgia – Misere Nobis (Full Song)
Misere NobisNyktalgia

ドイツを拠点として2008年まで活動したNyktalgiaは、2001年結成というデプレッシブブラックメタルという言葉が注目を集める以前から存在していたバンドです。

2004年にリリースされたセルフタイトルのデビューアルバムはネガティブでダークなテーマこそデプレッシブブラックメタル的ではあるのですが、むしろメランコリックなメロディックブラックメタル寄りの音楽性はドラマチックな展開を見せる楽曲構成も相まって、聴きやすいと言えるかもしれません。

オールドスクールなブラックメタル直系の凍てつくトレモロリフ、バーズムのような悲痛で泣き叫ぶ系のボーカル、疾走するドラムスも意外と安定しており、メロブラは好きだけどデプレッシブブラックメタルまでいってしまうと……という方にこそ大推薦のバンドですね。

アルバムを2枚リリースして解散してしまったのは残念ですが、どちらもクオリティの高い名盤ですからぜひチェックしてみてください!

I Will Die Tomorrow…No Point in Living

2018年、日本で初めて「デプレッシブブラックメタル」をテーマとしたガイドブック『デプレッシヴ・スイサイダル・ブラックメタル・ガイドブック』を上梓したことでも知られる、北海道は札幌出身の長谷部裕介さん。

長谷部さんは自身もソロアーティストとしてデプレッシブブラックメタルのプロジェクト「No Point in Living」として活動を続けています。

2017年の活動開始以来、驚異的なペースで作品をリリースし続けている多作家であり、その全貌をつかむのはなかなか困難ではあるのですが、最新のリリース作品を聴いて気に入ったのであればさかのぼって過去の作品をチェックしていくというのは一つの方法としてよいかもしれませんね。

No Point in Livingの鳴らす「DSBM」は叙情的でドラマチックかつメロディアスな展開やテクニカルなフレーズも飛び出す、さまざまな要素をミックスさせた言わばデプレッシブブラックメタルの発展形とでも言えそうな音楽性であり、サウンドプロダクションもDSBMとしてはかなり良好でとっつきやすいと言えるかもしれません。

デプレッシブブラックメタルを出発点としながらも多彩なアプローチを見せるNo Point in Livingは、アンダーグラウンドなメタルファンならずとも要チェックです!