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【サンソン・フランソワ】伝説ピアニストが愛した珠玉のピアノ曲

「ピアノの詩人」という言葉から多くの人が思い浮かべるのは、おそらくロマン派を代表する作曲家フレデリック・ショパンでしょう。

しかし、実はもうひとり、クラシック音楽界に残した偉大な業績から、ショパンと同じく「ピアノの詩人」と呼ばれた音楽家がいました。

それが、第二次世界大戦後のフランスにおける代表的な作曲家として華々しく活躍したピアニスト、サンソン・フランソワさんです。

彼は1940年にパリ音楽院を首席で卒業、「第1回 ロン=ティボー国際コンクール」で優勝したのち、世界中で演奏を披露し人々を魅了しました。

本記事では、そんなフランソワさんの名演を厳選!

46歳の若さで惜しまれつつも亡くなった彼が遺した魅惑の演奏を、どうぞお楽しみください。

【サンソン・フランソワ】伝説ピアニストが愛した珠玉のピアノ曲

バラード 第4番 ヘ短調 Op.52Frederic Chopin

ロマン派を代表する作曲家フレデリック・ショパン。

情熱的な音楽性とピアノの詩人とも称される繊細な表現力で、今なお世界中の人々を魅了し続けています。

彼の代表作の1つである『バラード 第4番 ヘ短調 Op.52』は、複雑な構成と深遠な音楽性を持つ傑作。

メランコリックな旋律と技巧的なパッセージが織り交ぜられ、ショパンの内面世界を映し出しているかのようです。

サンソン・フランソワさんによる演奏は、作品の持つ繊細さとダイナミズムを見事に表現。

ショパンの音楽の神髄に触れたいすべてのクラシック音楽ファンにオススメしたい名盤です。

夢想Claude Debussy

Samson Francois plays Debussy Images : Rêverie
夢想Claude Debussy

ピアノの詩人と称されたサンソン・フランソワの名演でも聴くことができる、ドビュッシーの珠玉のピアノ曲『夢想』。

印象派音楽の代表作ともいえるこの作品は、ドビュッシーがドイツやバリを訪れた経験から生まれました。

夢見るような旋律とコラール風の中間部が織りなす音楽は、聴く者を夢幻的な世界へと誘います。

透明感あふれるサンソン・フランソワさんの演奏は、まるで優しい月明かりに包まれているよう。

ドビュッシーの内面に秘めた複雑な思いが反映されているともいわれる本作を、ぜひ演奏でもお楽しみください。

喜びの島Claude Debussy

Samson François plays Debussy’s l’ Isle Joyeuse
喜びの島Claude Debussy

クロード・ドビュッシーは、19世紀後半から20世紀初頭にかけて、フランス音楽界に革新をもたらした作曲家です。

パリ音楽院で学び、伝統的な和声法や形式から離れた、独自の音楽表現を追求しました。

サンソン・フランソワさんも愛した『喜びの島』は、ドビュッシーが1904年に発表したピアノ独奏曲。

装飾音やリズムの細やかな変化によって、神話上の愛の女神ヴィーナスの島の幻想的な世界を描き出しています。

本作の練習には、豊かな音色や表情の変化を表現する高度な技術が求められますが、その美しさに魅了された人なら、きっとやりがいを感じられるはず。

ぜひ、サンソン・フランソワさんの演奏も参考にしつつ、ドビュッシーが理想とした純粋な美の境地を、あなたの演奏で体験してみてください。

ポロネーズ 第6番 変イ長調 Op.53「英雄」Frederic Chopin

サンソン・フランソワさんによる『ポロネーズ第6番変イ長調 作品53』の演奏は、聴く者の心を震わせずにはいられません。

作品を通してフレデリック・ショパンの愛国心と、抑圧されたポーランドへの思いが伝わってきます。

力強いリズムと華やかな旋律、そして中間部の印象的なオクターブの連続は、まさに英雄の姿を思い浮かべさせます。

左右の手が繰り出すアルペジオは、聴く者の期待感をぐっと高めていきます。

サンソン・フランソワさんの繊細かつ大胆な演奏は、作品の持つドラマティックな魅力を余すところなく表現しています。

クラシック音楽ファンのみならず、あらゆる音楽愛好家にオススメしたい名演奏です。

ピアノソナタ 第23番 ヘ短調 Op.57「熱情」Ludwig van Beethoven

Piano Sonata No. 23 in F Minor, Op. 57 “Appassionata”: III. Allegro ma non troppo – Presto
ピアノソナタ 第23番 ヘ短調 Op.57「熱情」Ludwig van Beethoven

ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェンの代表作の一つ『ピアノソナタ第23番 ヘ短調 Op.57』。

『熱情』の愛称で親しまれているこのソナタは、1804年から1806年にかけて作曲された、中期の傑作です。

情熱的でドラマティックな性格を持つ本作は、ベートーヴェンの内面的な苦悩や感情が色濃く反映されています。

サンソン・フランソワさんによる名演は、その激しさと静けさの対比を見事に表現。

特に暴風雨の夜の海を思わせる表現は圧巻で、聴く者の心に深く響きます。

クラシック音楽に親しみたい方にぜひオススメしたい、不朽の名曲、名演です。

おわりに

サンソン・フランソワさんは、ショパンやラヴェル、ドビュッシーの作品を得意としていたことで知られています。

「楽譜通りに弾かない」「タッチが不ぞろい」などと批判されることもあった彼の演奏ですが、その独特な解釈からは、なんともいえない味わいが感じられます。

サンソン・フランソワさんの名演は、ご紹介した以外にも音源や動画で多数残されていますので、ぜひチェックしてみてください。