超小型オーバードライブ・エフェクター。HOTONE Skylineシリーズ「grass」
今回は小型化が進むエフェクターの中でもその小ささが一際目を引く、HOTONE skyline（ホットトーン・スカイライン）シリーズのオーバードライブ、「grass（グラス）」についてご説明したいと思います。
HOTONE（ホットトーン）とは？
http://www.svguitars.com/hotone-trem/
2013年頃から販売を開始したエフェクターメーカーで中国の会社です。
リーズナブルな価格設定と従来の形にこだわらず、個性的で実用的なエフェクターを作り出す注目のメーカーです。
小型化に関しては、他のメーカーの追随を許さない小ささを実現させた設計が特徴です。
各パーツも安いものではなく信頼できるパーツを使用しているところも好印象です。
エフェクターだけでなくアンプヘッドなども生産されておりこちらも注目されています。
HOTONE オフィシャルウェブサイト（輸入代理店:オールアクセス内ページ）
skylineシリーズ「grass」とは？
skylineシリーズはHOTONEのラインナップの中でも、小型化が極限までなされたコンパクトエフェクターの名称です。
歪み系から空間系まで、一通りの一般的なエフェクターが販売されています。
低価格ながらビンテージサウンドの再現を目指して、制作されているあなどれないシリーズです。
小ささからは驚きのトゥルーバイパスで、金属筐体なので耐久性もバッチリ！
grassはオーバードライブでダンブルアンプのサウンドを目指して作成された機種です。
クセがなくあらゆる場面で使用できるサウンドだと思いますね。
ダンブルっぽいサウンドももちろん出せますが、雰囲気的にはTS系（Ibanez TubeScreamerをイメージしたエフェクターの総称）と思ってもらってもいいかもしれません。
見た目もTSをイメージさせるカラーリングです。
見た目に関しては、上部のインジケーターを兼ねた透明ノブが目を引きます。
ONにするとノブが光ってとてもキレイです。
小型エフェクターの宿命であるスイッチング時の誤操作に関しても、ノブが回らないように金具を配置するなど工夫がなされています。
各ツマミ機能
VOLUME
音量をコントロールするノブです。
特に波はなくスムーズに変化していきます。
12時辺りに設定して調整するといいでしょう。
GAIN
特徴的なLEDインジケーターを兼ねたノブで機体上部にあります。
オーバードライブのGAINコントロールによくある3時くらいから強烈に歪むというものではなく、平均的に上がっていきます。
このタイプのGAINコントロールはわかりやすいので、初心者にもオススメです。
可変幅も広いのでサウンドメイクは多彩です。
VOICE
普通ならここでTONEがくるのですがVOICEが搭載されています。
VOICEつまみに関しては弾駆動のページでも触れましたが、少し特殊です。
歪をかける中心帯域をコントロールしていて、必然的にその部分が押し出されます。
その結果下げるとモコっとしていき、上げるとジャリッとしてきます。
その他、倍音の変化があったりやGAINとの兼ね合いで、サウンドが変化していくのでGAINと相互に調整する必要があります。
単純なTONE機構に比べると少し扱いにくいですが、調整次第ではTONE以上に、さまざまなサウンドを作り出すことが出来ます。
この機能はダンブルアンプに搭載されたもので、ダンブルアンプを目指したという痕跡が見られますね。
BRTスイッチ
省略されていますが、ブライトスイッチですね。
ON/OFFの状態がわかりにくので注意が必要です。
その名の通りONにすると高音域が強調されてでてきます。
ドンシャリサウンドやもう少しハイがほしい時にONにするといいでしょう。
セッティング例
それでは個人的に気に入った設定を見てみましょう。
GAINの値が見にくいですがGAIN値は「2」に設定しています。
クランチ気味のサウンドでプリアンプのような使い方です。
ダイナミクスの追随性がよいので、常時ONにしてボリュームを絞りクリーン気味でバッキング、ボリュームを上げてクランチでソロにという使い方が出来ます。
BRTはOFFです。
GAIN値は「5」です。
クランチ〜オーバードライブくらいの設定です。
歪のバッキングに使用したりソロブースト向けのセッティングです。
こちらもBRTはOFFにしてあります。
GAIN値は”8.5″あたりです。
「ガッツリ歪ませてありますが、ディストーションまではいかないかな？」というサウンドです。
BRTもONにしてギャリギャリという印象で、ハードロックあたりまでのサウンドをカバーできそうです。
ソロ用というよりは、ハード目なバッキングリフ用をイメージしています。
こんな人におすすめ！
この機種はエフェクター初心者にオススメします！
なんといっても安い。
（8000円台で購入できます）
BOSSのシリーズよりも安いわけで、ありがちなデジタル臭さも抑えられています。
つまみ動作にしても癖がなくわかりやすいものが多いので感覚的に使用できるでしょう。
そして軽い！
エフェクターが増えてくるとボードが重くなり女子ギタリストには悩みの種でしょう。
190gというのは本当に軽く、小さいのでボードも小さくて済みますね。
運搬の苦労軽減にもいいでしょう。
実際HOTONEのみのボードを組んでいる人もいて、かわいい仕上がりになっています。
またエフェクターボードがもういっぱい！
だけど更にエフェクターを使いたい。
そんな時にボードの隙間に入る…かもしれません。
筆者が独断と偏見で語る！
オーソドックスで、意外といっては失礼ですがナチュラルなサウンドに驚きました。
ハイエンドエフェクターには及ばないものの、十分実用できると思います。
個人的にはBOSSシリーズの歪みよりも好みです。
GAIN幅をはじめ、設定が広いので本当に色々な音が作れる感じですね。
この小ささによく詰め込んだなあと感心しました。
（怖くて背面を開けるのは諦めました）
エフェクター初心者のメイン機に中上級者のサブ機として活躍するでしょう！
ここで注意点も書かなくてはならないでしょう…
最大の特徴である小ささが短所にもなりえます。
小さいので踏みにくい！
これは仕方ないですね、大きさと踏みやすさはトレードオフなところですので。
間違えずに踏む練習をしましょう。
ボードに固定なしで使うのは正直厳しい！
軽いのでシールドを引っ張ったりすると動きます、転がります。
まっすぐ踏まないと踏めなかったり傾いたりしてしまいます。
専用の固定用マジックテープもついてくるので固定して使用する前提のようですね。
しっかり対策すれば全く問題ありません。
個人的にもサブ用として一機欲しいところですね！
エフェクターは特徴を熟知して能力をフルに発揮させてあげましょう。
良いエフェクターライフをお送りください。
https://www.youtube.com/watch?v=uniKtplbq3k
ライタープロフィール
ギタリスト
カジワラアキヒロ
京都在住のギタリスト、レッスン、サポート等しながら自身のバンドも活動中。
エレクトロバンドのギタリストとして活動していた時にエフェクターに興味津々。
ただ、マニアという程ではなく愛好家。
現在は宅録を研究中。
ウェブサイト：http://kjwr.hatenablog.com
Twitter：kajiwara_tw_th
