ピアノのために作られた作品でなく、ピアノ用にアレンジされた作品など、ピアノ演奏で親しまれている楽曲は、演奏形態やジャンルを問わず無限に存在します。
本記事では、そんなピアノ音楽のなかから、今日オススメしたい名曲を集めました。
掲載楽曲は毎日更新されますので、さまざまな作品でピアノの音色を存分に楽しみたい方は、ぜひこまめにチェックしてみてください。
たくさんの曲に触れながら、お気に入りリストを増やしていきましょう!
【本日のピアノ】繊細な音色で紡がれる珠玉の名曲・人気曲(1〜10)
真夜中の火祭り平吉毅州

炎が燃え盛る情景を思わせる熱烈な日本人作曲家、平吉毅州さんによるピアノ独奏曲です。
ダイナミックで激しい響きと、緻密なアーティキュレーションが見事に調和し、夜空に舞い上がる火の粒を表現しています。
独特の変拍子が生み出す躍動感と、スペイン舞踊を思わせるリズムパターンが、聴く人の心を高揚させます。
2024年度PTNAピアノコンペティションの課題曲に選定されており、ピアノ学習者の技術向上に役立つ作品としても評価が高まっています。
短調の響きながらも暗さを感じさせない力強さがあり、暑い夏の夜に聴くことで心が躍るような清涼感が得られる一曲です。
「四季」-12の性格的描写 Op.37bis 6月「舟歌」Pyotr Tchaikovsky

ロシアの作曲家によるピアノ独奏曲集『The Seasons』の中でも、叙情美をたたえて人気の高い一曲です。
本作は1876年6月に雑誌で公開されたもので、寄せては返す波のような物悲しい旋律で始まります。
水辺の情景を描いた詩が添えられているとされ、その切ない調べは聴く人の心に深く染み渡ります。
中間部で一転して長調になると、星のきらめきを思わせる華やかなアルペジオが展開されます。
あまりにも人気が高いため、1981年に振付されたバレエ『Piano Pieces』にも用いられました。
悲しみに沈む心に優しく寄り添う、言葉にならない感情が込み上げてくる名曲です。
夜想曲第2番 変ホ長調 作品9-2Frederic Chopin

夏の暑さを忘れさせてくれる、フレデリック・ショパンによる珠玉のピアノ作品がありますよ。
1830年から1832年にかけて作られたこの作品は、名盤『Nocturnes, Op. 9』に収められており、甘く切ない旋律がたいへん美しいと評判です。
右手の歌うようなメロディは、まるで夜空にまたたく星のようで、左手の伴奏がそれを優しく支えます。
聴いていると、心が洗われるようですね。
映画『127時間』(2010年)やアニメ『少女終末旅行』(2017年)でも印象的に使われていますので、ご存じの方も多いことでしょう。
本作は、静かな夜に美しいピアノの音色で涼を感じたい方に、ぴったりの一曲と言えるのではないでしょうか。
夜の海辺にてHeino Kasuki

ひんやりとしたピアノの音色で、夏の暑さを忘れてみませんか。
フィンランドの作曲家ヘイノ・カスキが手掛けた美しい小品です。
ピアノの一音一音がまるで夜の海辺にきらめく光の粒のように感じられ、北欧の静謐な自然へと心を誘うことでしょう。
穏やかで幻想的な旋律は、聴く人を優しく包み込むようで、内省的な気分にさせてくれます。
ピアニストの舘野泉が演奏し、1999年4月に録音されたアルバム『Kaski: Night By the Sea』に収録されたことで、この楽曲の魅力は広く知られるようになりました。
暑さでお疲れ気味の心にそっと寄り添い、涼やかな気分に浸りたい方に、ぜひおすすめしたい作品です。
夏の朝Heino Kasuki

夏の早朝、きらめく光の中で深呼吸したくなるような、そんな清涼感があふれる調べが魅力のピアノ曲はいかがでしょうか。
ヘイノ・カスキが作曲し、作品番号Op.35-1「夏の朝」として知られるこの楽曲は、1920年代初頭に書かれたとされています。
北欧の澄み切った空気を感じさせる透明感と、穏やかながらも心に深く染み渡る叙情性が持ち味ですね。
繊細なトリルが木漏れ日のようにきらめき、聴く人を心地よい気分へと誘います。
ヘイノ・カスキが紡いだ、心惹かれる一曲ではないでしょうか。
暑い季節に涼やかなひとときを過ごしたい方や、心静かに美しい旋律に浸りたい方にとてもおすすめです。
本作を聴けば、日常の忙しさを忘れさせてくれることでしょう。
ピアニスト舘野泉さんのアルバム『Piano Works』でもその魅力に触れることができますよ。
海辺の夕暮れ H.128 第3曲「嵐の海辺」Bohuslav Martinů

夏の暑さを忘れさせてくれるピアノ曲で、おすすめの曲はこちら。
ボフスラフ・マルティヌーが1921年に作曲したピアノ独奏のための小品集『Evening at the Shore H.128』より、その第3曲「海辺の夕暮れ」です。
この楽曲は、嵐の海辺にいるかのような情景が目に浮かぶようで、アルペジオが織りなす波の揺らぎと、しっかりとした音楽の形式美が巧みに表現されています。
中間部では嵐を思わせる激しさが展開され、技巧的なカデンツァを経て、最後は穏やかな再現で落ち着きを取り戻す構成も、本作の聴きどころとなっています。
夏の気だるさを忘れさせ、心に涼やかな風を届けてくれるでしょう。
情景が豊かな音楽に浸りたい方や、ドラマティックな曲調がお好きな方に聴いてほしい1曲です。
小組曲:第1曲「小舟にて」Claude Debussy

暑い夏、心に一服の清涼剤となるような、クロード・ドビュッシーのピアノ連弾作品をご紹介しますね。
1889年2月にドビュッシーと出版社代表によって初めて二人で演奏されたこの作品は、4つの小品から成る組曲の冒頭を飾ります。
まるで水面をゆるやかに進む小舟を思わせる、穏やかで美しい旋律がとっても魅力的です。
歌詞こそありませんが、ベルレーヌの詩にインスピレーションを得ているそうで、月光の下で揺蕩う舟の情景や、遠い時代の優雅な雰囲気が心に広がるようです。
揺らめくピアノの音色が、聴く人を心地よい涼しさで包み込んでくれますね!
本作は管弦楽編曲版も広く知られ、一層豊かな色彩を感じられますし、館内BGMなどで耳にすることもあるかもしれません。
暑さで少しお疲れの時や、静かに心を落ち着けたい時にぜひ聴いてみてください。
ドビュッシーが「重すぎず短すぎない」サロン向けに考えたと言うように、気軽に優雅な気分に浸れることでしょう!