【2025】洋楽のおすすめインストバンド。海外の人気バンド
皆さんは、インストゥルメンタル主体の楽曲を主にプレイするバンドに対して、どのようなイメージをお持ちでしょうか。
何となく興味はあるけどボーカルがない曲を聴く習慣もないし……といった風に先入観で苦手意識を持っている方もいらっしゃるかもしれません。
今回の記事では、そんな方々に向けて海外のおすすめインストバンドを紹介しています。
あえて往年のジャズやプログレッシブロックといったインスト主体のバンドではなく、1990年代以降のポストロックやマスロック、近年のジャズ周辺など新世代のグループなども多数紹介していますから、インストバンドに詳しい方もぜひチェックしてみてくださいね!
【2025】洋楽のおすすめインストバンド。海外の人気バンド(11〜20)
DjedTortoise

1990年代に発展したロックのその先、いわゆるポストロックと呼ばれるグループの中でも最も重要な存在として2020年代の現在も多くのアーティストたちに影響を与え続けているのが、シカゴ出身のトータスです。
ハードコアやジャズなどさまざまなバックグラウンドを持つ多才なミュージシャンたちによる卓越した演奏技術とバンドアンサンブルはもちろん、1990年代当時にハードディスクによるレコ―ディングを用いてパソコン上で録音した音源を編集していくという革新的な手法などが注目を集め、彼らが拠点とするシカゴのアーティストやバンドが「シカゴ音響派」と呼ばれるなど、シーンの顔役としても知られていますね。
そんなトータスの音楽を一口で表現することは非常に困難であり、ジャズにプログレにパンク、ヒップホップにいたるまであらゆる分野を行き来しつつ、作品によってはテープ録音などのアナログ的な手法に回帰するなど、独自のサウンドを模索し続けている彼らは、言葉通り常にプログレッシブな、革新的なスタイルのグループであると言えましょう。
ポストロックという概念を知らしめた1996年の傑作『Millions Now Living Will Never Die』やさらに進化した1998年の『TNT』といった代表的なアルバムから入るのはもちろんよいですが、聴きやすさという意味で生のバンドアンサンブルに比重を置いた2001年の『Standards』や、メロディアスな作風の2004年リリース作『It’s All Around You』辺りからチェックしてみるのも悪くない選択ですよ!
StormGodspeed You! Black Emperor

カナダが誇る至宝、ポストロックとされるジャンルの代表的なグループの1つでもあるゴッドスピード・ユー!・ブラック・エンペラーは、1994年にカナダはモントリオールで結成された大所帯のバンドです。
もともとは2人のメンバーによって始まった彼らは、地元モントリオールのミュージシャンたちを集めて人数を増やし、2022年の現時点では映像を担当するメンバーも含めて10人のパーマネントな編成となっているようですね。
そんな彼らの音楽性はギターやベースにドラムといったオーソドックスなバンド編成にチェロやバイオリンなどが加わって、悲壮感の漂う暗く重い長尺曲を時に不協和音やノイズも入り乱れながら、ドラマチックに展開するといったものが基本的なスタイルです。
1曲1曲がまるでオーケストラの組曲のような構造を持ち合わせており、20分をこえる楽曲もざらにあるということで、ポストロックをある程度聴いていても正直言えばとっつきにくいと感じている人も少なからずいます。
とはいえバンドとしての姿勢もアンチ商業主義でメディアへの露出を嫌っているにもかかわらず、彼らのリリースする作品は多くのメディアや音楽ファンに絶賛されているのは、特異な音楽性と鮮烈なライブパフォーマンスにあるのですね。
彼らの音楽を聴くことはそれだけで一つの貴重な音楽体験ですから、腰を据えて向き合うことをおすすめします。
まずは名盤の誉れ高い2000年リリースのセカンドアルバム『Lift Your Skinny Fists Like Antennas to Heaven』辺りから、ぜひ!
Mogwai Fear SatanMogwai

ポストロックと一口に言ってもそのスタイルはさまざまなのですが、トータスに代表されるシカゴ音響派とはまた違う、静と動のダイナミズムを駆使したギターの轟音で包み込むようなドラマチックな音楽性、というイメージが最初に来る方は多いのではないでしょうか。
そんな轟音ギターインストで世に衝撃を与えたバンドが、スコットランド出身のモグワイです。
2022年にフジロックへと出演、22年ぶりにレッドマーキーの舞台へと立って素晴らしいライブパフォーマンスで観客を魅了したことは記憶に新しいですよね。
そんなモグワイは1995年に当時10代だったメンバーも含む非常に若いバンドとして結成され、自らが主宰するレーベルにてシングルをリリースしてデビューします。
その後地元グラスゴーのレーベル「ケミカル・アンダーグラウンド」と契約を果たし、1997年に衝撃的なファーストアルバム『Mogwai Young Team』にて本格的なデビューを果たしました。
ハードコア由来のアグレッシブなサウンドとはっとするような美しいメロディが融合し、耳をつんざくようなギターの轟音で音楽ファンはもちろん多くのミュージシャンたちが圧倒させられたのです。
一つの典型的なポストロックのスタイルを作り上げた彼らは、その後は一定の音楽ジャンルに固執することはなく、トレードマークの轟音ギターを抑えた作風であったり、ボーカルを取り入れた楽曲などにも挑戦しつつ、バンドとしての核は失わずに現在も孤高の立ち位置で活躍し続けているのですね。
個人的にはやはり初期の作品から、リリース順に聴いていただくことをおすすめします!
Dead Between The WallsPELICAN

ロシアン・サークルズと並んでアメリカのアンダーグラウンドシーンにおいてポストメタルと呼ばれるジャンルの先駆的な存在であり、すさまじい轟音と時に10分をこえるドラマチックな長尺曲も多い大作で知られるシカゴのバンド、ペリカン。
ヘビーメタルの中でもドゥームメタルやスラッジメタルと呼ばれるジャンルの要素を内包しながらも、彼らの鳴らす轟音はモグワイやモノといったポストロックとの近似性も感じ取れ、同時にどのジャンルとも違うペリカンならではの轟音的交響曲の如き音世界に魅せられた音楽ファンは多くいるのですね。
2001年に結成された彼らは。
ポストメタルシーンにおいて最も重要なバンドの1つであるアイシスのメンバーが創設した伝説的なレーベル「Hydra Head Records」と契約して2003年にはデビュー作となった『Australasia』をリリース。
日本盤もリリースされ、その強烈なギターの轟音と短編の映画を見ているような物語性を持つ楽曲構成に、熱心な音楽リスナーは大いに衝撃を受けたのです。
続く2005年リリースのセカンドアルバム『The Fire in Our Throats Will Beckon the Thaw』は個人的には一番最初に手に取ってほしいペリカンのアルバムで、地元シカゴの四季を表現したという全7曲の叙情性と轟音は本当に素晴らしく、あまりこの手のジャンルを聴いたことがない方であればインストゥルメンタルバンドの概念が変わるかもしれませんよ。
定期的な来日もこなしているバンドですから、音源が気に入った方はぜひ強烈なパフォーマンスで魅せてくれる彼らのライブもチェックしましょう!
Lingus (We Like It Here)Snarky Puppy

ジャズと言われるとなんとなく高尚なイメージで、古典とされるアルバムばかりが称賛されている……そんな先入観をお持ちの方にこそ、進化し続けるジャズの「今」を体現するバンドたちはぜひ知っていただきたいですね。
本稿の主役であるスナーキー・パピーは、2004年に大学生だったメンバーを中心として結成され、アンダーグラウンドで活動を続けて今やグラミー賞を受賞するまでに成長したグループです。
初期から10名の大所帯のバンドだった彼らですが、リーダーのマイケル・リーグさんを中心として日本人も含んだメンバーが在籍しており、今や1つのコミュニティと呼べるほどの構成員が集まってそれぞれがソロ作品をリリースするなど、彼らの動向は音楽シーンにおいて大いに注目されているのですね。
そんな彼らの音楽性は一口にジャズというだけではなく、ファンクにフュージョン、ポップスやロックにワールドミュージック等々あらゆるジャンルを網羅しながら、変化自在の強力な即興演奏を武器とするアンサンブルはいわゆるジャムバンド的でもあり、かといって難解ではなく聴きやすいポップさを兼ね備えているというのが実に素晴らしいです。
多くの作品をリリースしている彼らですが、本稿執筆時点での最新作でありバンドメンバーにとってのかつてのホームであったテキサス州はダラスにて録音された2022年リリースの『Empire Central』をまずは聴いていただいて、彼らの音楽に触れてみるのもよいでしょう!
acid rainLiquid Tension EXPERIMENT

ドラマーのマイク・ポートノイさん、ギタリストのジョン・ペトルーシさんというプログレッシブメタルの最高峰であるドリーム・シアターのメンバーを中心として結成された、超絶技巧派のプレイヤーたちによるスーパーバンドがリキッド・テンション・エクスペリメントです。
ベーシストにはキング・クリムゾンなどの活動でも知られるトニー・レヴィンさん、後にドリーム・シアターに加入するキーボーディストのジョーダン・ルーデスさんも在籍しているのですから、まさにシーンのトップに立つミュージシャンたちの豪華な共演が楽しめるインストゥルメンタルグループなのですね。
近年、まさかの再結成を果たして2021年には待望の復活作『Liquid Tension Experiment 3』もリリースした彼らの音楽性は、当然ながらヘビーメタルやプログレにフュージョンといったジャンルを基調としながらも、卓越したテクニックに裏打ちされた即興演奏とソングライティングの妙を同時に楽しめる楽曲たちはドリーム・シアターのファン以外でもぜひ聴いてみてほしいところ。
もちろん、名プレイヤーたちによる華麗なプレイをこれでもかと味わいたいという方も必聴です!
【2025】洋楽のおすすめインストバンド。海外の人気バンド(21〜30)
GnosisRussian Circles

ロックにはポストロック、パンクにはポストパンクがあるように、メタルにもポストメタルというジャンルが存在します。
前者と比べてよりアンダーグラウンドなジャンルではあるのですが、ヘビーメタルに加えてポストロックやシューゲイザーといったジャンルの要素を持ち合わせたポストメタルの世界は奥深く、ここ日本においても熱心なファンは多くいるのですね。
そんなポストメタルと呼ばれるジャンルの中でも先駆的な存在かつ特異な個性を放ち、2004年の結成以来孤高の存在で在り続けているロシアン・サークルズを紹介しましょう。
マイク・サリヴァンさんとデイヴ・ターンクランツさんという幼なじみのコンビがオリジナル・メンバーであり、2008年の名盤『Station』からはベーシストにBOTCHなどのアメリカのアンダーグラウンドシーンにおける重要なバンドで活動していたブライアン・クックさんが参加、以降は鉄壁のトリオとして2020年代の今も精力的に活動を続けています。
そんな彼らが作り上げるのは、ヘビーな轟音がトレードマークのギターサウンドと、静と動のダイナミズムを演出する緩急自在のリズム隊によるバンドアンサンブルが織り成す重厚さと繊細さが入り乱れた音世界。
美しさと陰鬱さとが渾然一体となってドラマチックに迫りくる楽曲構成は、決して聴きやすいとはいえませんが一度はまってしまえば抜け出せなくなるほどの魅力があると断言します。
アンダーグラウンドシーンで鳴り響く孤高の轟音美学を、ぜひ体験してみてください。