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かっこいいジャズピアノ。定番の人気曲から隠れた名曲まで

ジャズと一口に言っても無数のサブジャンルが存在しますし、どの楽器が主役となるかでサウンド自体が変わるのもおもしろいですよね。

文字通りピアノが主体となる「ジャズピアノ」は、日本でも特に人気の高いジャズミュージックです。

誰でも一度は耳にしたことがある名曲も多いですし、ジャズ初心者で最初にピアノトリオのアルバムから聴き始めたという方も多いのではないでしょうか。

今回の記事ではそんなジャズピアノの中でも、アップテンポでクールかつかっこいいピアノが楽しめる名曲を中心として、近年のジャズも含めて時代を問わず集めてみました。

日ごろは叙情的でスローなジャズピアノばかり聴いている、という方もこの機会に要チェック!

かっこいいジャズピアノ。定番の人気曲から隠れた名曲まで(11〜20)

New RagKeith Jarrett

『New Rag』は、アメリカのジャズピアニスト、キース・ジャレットさんが1968年に発表した『Somewhere Before』収録の1曲。

この歌は、キース・ジャレット・トリオ名義で発表しており、3人のアンサンブルがとってもかっこいいんです。

特にキース・ジャレットさんのピアノは、音の空白を存分に活かしたフレーズが印象的。

音数を詰め込みすぎない、曲全体の雰囲気にとけこむような旋律は体にすっと溶け込んできますよ!

MatrixChick Corea Trio

アメリカ出身のジャズピアニスト、チック・コリアさん。

彼は1972年のアルバム『Return to Forever』を始め、フュージョンよりの前衛的な楽曲でよく知られています。

その一方で、初期のジャズ要素が強いアルバムも実は見逃せません。

その中でも1968年のアルバム『Now He Sings, Now He Sobs』収録の『Matrix』は必聴の1曲。

ドライブ感あふれるドラムとベースの上を縦横無尽にかけまわるピアノがたまりません!

あえてアボイドノートをちりばめたフレーズも面白いですよ。

RainKenny Barron

繊細で物語性のある演奏は、まるで静かに降り注ぐ春雨のよう。

アメリカ出身のケニー・バロンさんとデイヴ・ホランドさんによる珠玉のデュオ演奏が、心に染み入るような優美な世界を織りなしています。

2014年にリリースされたアルバム『The Art of Conversation』に収録された本作は、ピアノとベースの豊かな会話が響き合い、雨のもつ多面的な表情を見事に描き出しています。

洗練された旋律と深みのあるサウンドは、窓辺で雨音を聴きながら物思いにふける静寂な時間や、春の訪れを待ちわびる心情を優しく包み込んでくれます。

穏やかな午後のティータイムや、雨の日の読書のお供として、きっと素敵な癒しのひとときを演出してくれることでしょう。

8つの演奏会用練習曲より 第5曲「冗談」Nikolai Kapustin

クラシックとジャズが融合した躍動感があふれる楽曲です。

1984年に発表されたアルバム『8つの演奏会用練習曲 Op.40』に収録された本作は、軽快でユーモアもたっぷりな性格を持ち、聴く人の心をくすぐります。

スウィングやブギウギなどジャズの要素を巧みに取り入れながら、クラシックの形式美も大切にした魅力的な一曲。

リズミカルで躍動感のあるフレーズが次々と展開され、会場全体を楽しい雰囲気で包み込みます。

ニコライ・ペトロフやマルク=アンドレ・アムランなど、世界的なピアニストたちも演奏するこの作品は、技術と表現力を存分に披露したい方にぴったり。

観客を魅了する素晴らしいステージを作り上げられることでしょう。

Fly Me To The MoonBart Howard

「Fly Me To The Moon」ジャズアレンジ 【初心者でも絶対弾ける!ピアノの弾き方】レベル☆☆
Fly Me To The MoonBart Howard

ジャズのスタンダードナンバーとして知られる『Fly Me To The Moon』は、フランク・シナトラさんのボーカルバージョンやジャズアーティストたちによるインストゥルメンタルのカバーなどさまざまなアレンジで演奏され続けている名曲です。

『新世紀エヴァンゲリオン』のエンディングテーマ曲としても起用され、エヴァをきっかけでこの曲を知ったという世代の方も多いでしょう。

コード進行自体も複雑なものではなくほぼ繰り返しのため、初心者にもおすすめの楽曲と言えそうです。

実際にこの曲のメロディとコードをピアノで弾いてみると分かるのですが、実におしゃれな響きを持った楽曲なのですよね。

このおしゃれ具合の秘密は、全編を通して慣らされるセブンスコードの響きでしょう。

右手でメロディ、左手でコードを押さえるという基本だけでもそのおしゃれ具合は楽しめますから、初心者でもおしゃれなピアノを弾いてみたい、ジャズ的な曲を弾いてみたいという方はぜひ挑戦してみてほしいですね!

8つの演奏会用練習曲 Op.40 第1曲「プレリュード」Nikolai Kapustin

ウクライナ出身のロシアの作曲家ニコライ・カープスチンさんによる明るくエネルギッシュな曲調が特徴のこの曲。

リズミカルで、ジャズのスウィング感とクラシックの精密さが見事に融合していて、聴いていて思わず体が動きだしてしまいそうです。

ピアノ1台でまるでジャズコンボが演奏しているような錯覚を覚えるかもしれません。

演奏者にとっては高度なテクニックが必要で、挑戦しがいのある1曲。

しかし、聴く側にとっては軽快で楽しい曲なんです。

クラシックとジャズ、両方のジャンルが好きな方にぜひ聴いてほしい1曲ですね。

かっこいいジャズピアノ。定番の人気曲から隠れた名曲まで(21〜30)

Fly With the WindMcCoy Tyner

McCoy Tyner – Fly With the Wind – [Fly With the Wind] 1976
Fly With the WindMcCoy Tyner

ジャズの歴史に残る名ピアニスト、マッコイ・タイナーさんは1950年代から音楽活動を始めて以来、2020年に81歳で亡くなるまで長きに渡ってシーンをリードし続けた偉大なミュージシャンです。

『BLUE GIANT』の中では主人公の宮本大と凄腕のピアニストである沢辺雪祈の練習時に初心者であるドラマー、玉田が参加した際に演奏した曲がマッコイさんが1976年にリリースした名盤『Fly With The Wind』の表題曲なのですね。

初心者にしていきなり8分を超える長尺曲、しかもオリジナルのドラムを担当しているのはあの超テクニカルなプレイヤーのビリー・コブハムさんというのがすごい。

ちなみに原曲はサックスではなくフルートで、ストリングスも加わった流麗かつ豪華なアンサンブルが特徴です!

おわりに

冒頭でも述べたようにピアノジャズと言われると、しっとりとした叙情的なイメージが最初に思い浮かぶ方も多いとは思いますが……今回紹介した楽曲を聴けば、アップテンポで思わず踊りだしたくなってしまうような名曲の存在を知っていただけたのではないでしょうか。

2020年代の今もピアノジャズは進化していますから、ぜひ深掘りしてみてくださいね!