ジャズピアノの名盤~定番の1枚から現代の人気作まで~
ジャズの中でもピアノが中心の作品……とりわけピアノトリオに対する日本人の愛着はただならぬものがありますよね。
ジャズピアノの魅力は多くありますが、繊細なフレーズから大胆なプレイまで可能なピアノという楽器と、間口の広いジャズという音楽ジャンルがタッグを組んだ時に生まれる可能性は、まさに無限大です。
今回の記事では、そんなピアノが中心となっているジャズの名盤を選出してみました。
歴史に残る定番の1枚から、新世代のピアニストによる人気作、少し変わったアプローチの作品までを幅広く網羅しております。
ジャズ初心者の方はもちろん、もっとピアノジャズを好きになりたいという方も要チェック!
ジャズピアノの名盤~定番の1枚から現代の人気作まで~(1〜5)
Waltz For DebbyBill Evans

まさにピアノトリオ作品における基本中の基本、ジャズの歴史に残る名盤の1つです。
ビル・エヴァンスさんが1961年にヴィレッジ・ヴァンガードにて行ったライブを収録しており、世界中の高い評価はもちろん、ここ日本においてはとく大ヒットを記録し、人気の高い作品としても知られています。
繊細で奥深い、知的なエヴァンスさんのピアノは当然ですが、エヴァンスさんの片腕的な存在だったベーシスト、スコット・ラファロさんの絡み合うようなベース・プレイもまさに名演と呼ぶにふさわしい内容です。
ドラムも含めて、3人の息の合ったプレイをぜひ楽しんでください。
Satin DollMcCoy Tyner

『Nights of Ballads and Blues』は、アメリカ出身の人気ジャズ・ピアニスト、マッコイ・タイナーさんが1963年にリリースしたリーダー作にして、名門レーベルのインパルス時代に残した初期名作です。
『サテン・ドール』や『酒とバラの日々』などのスタンダード・ナンバーを中心に披露しており、ジョン・コルトレーンさんとともにカルテットとして活動していた時代の録音ということも踏まえて、若き日のマッコイさんの繊細かつ上品なプレイが存分に楽しめる逸品となっていますよ。
静かな夜に、ワイングラス片手に聴いてみる……などというぜいたくをしてみたいものですよね。
Days Of Wine And RosesOscar Peterson

王道で親しみやすいピアノジャズを聴きたい、という方にオススメなのがこの『We Get Requests』です。
突出した演奏能力で「鍵盤の皇帝」と称される、カナダ出身のオスカー・ピーターソンさんが、名門ヴァーヴ・レコードからリリースしたアルバムとしてはラストとなった作品で、ファンのリクエストに応える形でスタンダードなナンバーやボサノヴァの名曲を取り上げています。
アルバムのジャケットに映る楽し気なトリオの笑顔そのまま、といったような飾り気のない心地いい演奏に、聴いているこちらも思わず笑顔になってしまうこと請け合いですよ。
日常のどの場面に流れていても、自然に溶け込んでくれるステキな1枚です!
But Not for MeAhmad Jamal

ペンシルベニア州出身のジャズピアニスト、アーマッド・ジャマルさん。
アメリカで有名な評論家であるスタンリー・クラウチさんから、「1945年以降はチャーリー・パーカーに次ぐ存在」とまで言われています。
そんな彼の名盤が、こちらの『But Not for Me』。
全8曲が収録されたアルバムで、彼の特徴である、独特の間がたっぷりと味わえる構成に仕上げられています。
技術、音楽性ともに、非常に優れたアーティストの名盤ですので、聴き応えはバツグンです!
One For MajidKeith Jarrett

キース・ジャレットさんといえば、トップクラスの人気を誇るジャズ・ピアニストでありながらも、ジャズの枠内をこえた幅広い音楽性の持ち主であり、マルチ・プレイヤーでもある音楽家です。
ジャレットさんは1996年に重い病気を患い、2年間ほど休養を余儀なくされますが、復帰後に初めてピアノトリオとして演奏した時の貴重な音源が収録された作品が、この『After The Fall』です。
1998年にニュージャージー州にあるパフォーミング・アーツ・センターでおこなわれたライブ音源で、本人にとってもジャズの歴史という意味においても、とても重要な1枚だと言えましょう。
ある程度ジャズピアノを聴き込んだ方に、ぜひオススメしたい作品です。
ジャズピアノの名盤~定番の1枚から現代の人気作まで~(6〜10)
Maiden VoyageHerbie Hancock

ハービー・ハンコックさんは、優れたジャズ・ピアニストや作曲家、プロデューサーなど多面的な才能を持ち、ジャズ・ファンクやシンプルなアコースティック・ジャズ、ジャズ・ヒップホップに至るまで、ジャズという音楽の可能性に挑み続ける第一人者です。
その功績は計り知れませんが、今回紹介するのは1965年にリリースされたアルバム『Maiden Voyage』です。
「海」をコンセプトに、若き日の才気みなぎるハンコックさんが全曲の作曲も手がけた、60年代ジャズの金字塔にして歴史的な名盤の誉れ高い1枚です。
フレディ・ハバードをはじめとする、共演したプレイヤーたちの素晴らしい名演の数々も堪能できる、ぜいたくな逸品となっておりますよ。
Ruby, My DearThelonious Monk

ピアニストとしての個性的な才能はもちろん、作曲者として多くのスタンダード・ナンバーを残したことでも知られている、アメリカを代表するジャズ・ピアニストのセロニアス・モンクさん。
映画がお好きな方であれば、クリント・イーストウッドさんが制作を手がけたモンクさんのドキュメンタリー作品『ストレート・ノー・チェイサー』をご存じかもしれませんね。
そんなモンクさんが1965年にリリースしたアルバム『Solo Monk』は、タイトル通りモンクさんによるピアノ・ソロ演奏がたっぷり楽しめる内容となっています。
このアルバムを聴けば、異端とも呼ばれる彼のピアニストとしての本質に少しでも近づけるのでは?