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【高齢者向け】冬の俳句。有名な俳人が詠む美しい名作をご紹介

俳句には、冬の季節ならではの味わい深さがありますよね。

寒月や初時雨、雪のふわりとした様子など、情景を豊かに詠み込んだ名句の数々。

特に高齢者の方にとって、懐かしい風景や思い出が詰まった俳句との出会いは、心を温かく潤してくれるものです。

今回は、松尾芭蕉や与謝蕪村など、日本を代表する俳人たちが詠んだ冬の俳句をご紹介します。

目を閉じれば、情景が浮かぶような美しい句を厳選しました。

面白い表現や言い回しにも注目しながら、ゆったりとした気持ちで俳句の世界に浸ってみませんか?

【高齢者向け】冬の俳句。有名な俳人が詠む美しい名作をご紹介(21〜30)

凩や 海に夕日を 吹き落す夏目漱石

凩や 海に夕日を 吹き落す夏目漱石

夏目漱石は、明治時代の文豪で作家や評論家や英文学者など多くの分野で活躍してきました。

文学がお好きな高齢者の方なら「月がきれいですね」の逸話もご存じなのではないでしょうか?

また、夏目漱石は俳句も多く作っていますよ。

「凩や 海に夕日を 吹き落す」からは、風の吹く強さや一瞬で沈んでしまう冬の夕日など、景色を入れ込んでいます。

俳句の意味は、すごい勢いで吹いているこがらしは、夕日さえも海に突き落としているという意味です。

冬の夕日はこがらしが強く吹いたために沈んだと、この時期の夕日の沈み方の様子が伝わりますね。

スケートの ひもむすぶ間も はやりつつ山口誓子

スケートの ひもむすぶ間も はやりつつ山口誓子

日本の有名な俳人、山口誓子の「スケートの ひもむすぶ間も はやりつつ」はスケートに思いをはせる俳句です。

明治時代から日本人に愛されてきたスケートは当時、富裕層のみが楽しめるスポーツでした。

一般庶民がスケートを楽しめるようになったのは大正時代になってからだったそうですよ。

スケート靴のひもを結ぶわずかな時間でも、もどかしいほど早く滑りたいという思いが感じ取れます。

山口誓子にとってスケートがどれほどわくわくし、気分が高揚するものだったかが伝わってきますね。

いざ行かん 雪見にころぶ 所まで松尾芭蕉

いざ行かん 雪見にころぶ 所まで松尾芭蕉

松尾芭蕉は、江戸時代前期に活躍した俳諧師です。

有名なので高齢者の方の中でも、ご存じの方も多いのではないでしょうか?

松尾芭蕉が名古屋での雪の席で、詠んだ俳句「いざ行かん 雪見にころぶ 所まで」をご紹介します。

この俳句からは、楽しく弾んだ気持ちが感じられますよ。

雪が降ってきたから、皆の衆雪見に出かけよう。

雪ですべって転んでもそれもよし。

さあ転ぶところまで雪を見に行こう、といった意味があります。

自分の気持ちを俳句にのせて、高齢者の方にも詠んでいただきましょう。

初時雨 猿も小蓑を 欲しげなり松尾芭蕉

初時雨 猿も小蓑を 欲しげなり松尾芭蕉

霧雨や長雨など日本には雨を表現する言葉が、400以上もあるそうです。

かつての日本人は、雨が降ることも楽しんでいるかのように、たくさん雨を表現する言葉があります。

俳句でも雨を表現する言葉は季語になっていることが多いようです。

松尾芭蕉が詠んだ「初時雨 猿も小蓑を 欲しげなり」も、初時雨が季語となっていますよ。

初時雨の意味をみなさんはご存じでしょうか?

時雨は秋の終わりから冬の初め頃にパラパラと降る雨のことです。

ですので俳句では、旅の途中にその年初めて、秋の終わりから冬の初め頃にパラパラと雨が降りました。

趣を感じ、しばらく雨宿りをしていると、猿も近くの樹の上で雨を寒そうに見て、小さいみのを欲しそうにしているとの意味になります。

旅に病んで 夢は枯れ野を かけめぐる松尾芭蕉

旅に病んで 夢は枯れ野を かけめぐる松尾芭蕉

松尾芭蕉は、江戸時代に活躍した俳諧師です。

現在でも松尾芭蕉が、日本各地で詠んだ俳句が残っていますよね。

「旅に病んで 夢は枯れ野を かけめぐる」は、松尾芭蕉が51歳のときに詠んだ、生前最後の俳句ですよ。

弟子たちの言い争いの仲裁のために向かう途中で、病に倒れて寝込んでいるときに詠みました。

辞世の句でもありますが、この俳句を詠んだ時点では、辞世の句と思っていなかったという説もあります。

この俳句以外でも高齢者の方と、俳句に込められた本当の意味を考えるのも楽しいかもしれませんね。

とつぷりと 後くれいし たきびかな松本たかし

とつぷりと 後くれいし たきびかな松本たかし

松本たかしは、大正から昭和にかけて活躍した俳人です。

実物や実景をみて、ありのまま映しとるような俳句が得意でした。

「とつぷりと 後くれいし たきびかな」からは、冬の様子を感じ取れますね。

たき火で暖を取り、明るさやあったかさに見とれていると、後ろを振り返ると日がもう暮れていて景色が真っ暗になったといったことが俳句の意味です。

冬の日の入りはアッという間ということから、たき火で暖をとる面とその背後との時間の経過が込められていますね。

とっぷりという表現も面白いところです。

高齢者の方も、時間の経過を詠んだり、面白い表現などで俳句を作ってみてくださいね。

いくたびも 雪の深さを たずねけり正岡子規

いくたびも 雪の深さを たずねけり正岡子規

空から降る雪を見ていると「どの位積のかな?」と、思うこともありますよね。

そんな様子を感じられる、正岡子規の俳句をご紹介します。

「いくたびも 雪の深さを たずねけり」からは、降っている雪が気になっている様子が感じられます。

何度も積もっている雪の深さを知りたくて、家族に何度も聞いてしまったよという意味になりますよ。

少しお茶目な様子も読み取れますね。

高齢者の方も日常の様子や出来事で詠む俳句作りの、参考にしてみてくださいね。

おわりに

冬の俳句には日本の四季が織りなす情景や、人々の暮らしの中の発見が詠まれています。

高齢者の方と一緒に俳句を楽しむことは、豊かな人生経験から生まれる新鮮な視点との出会いにもつながります。

季節の移ろいを味わいながら、面白い表現や言葉選びを楽しむ俳句作りにチャレンジしてみましょう。