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【和風のピアノ曲】日本らしさが心地よいおすすめ作品をピックアップ

ピアノはヨーロッパで生まれた楽器。

そして、クラシック音楽は西洋で発展した音楽スタイル。

クラシック作品を中心に練習していると、どうしてもヨーロッパのエッセンスが盛り込まれた曲に偏りがちで、ピアノを弾きながら「和」を感じることは少ないかもしれませんね。

そこで本記事では「日本らしさを感じられる和風の作品をピアノで弾いてみたい!」という方に向けて、和風のピアノ曲をたっぷりご紹介します。

「和風」といっても、ヨーロッパの作曲家が日本の浮世絵に魅せられて作曲した作品から童謡を題材にした変奏曲まで、曲のルーツや形式はさまざま。

ぜひ、それぞれの作品の「日本らしさ」を聴き比べたり、作曲家によって異なる「和風」の解釈を楽しんだりしながらお聴きください!

【和風のピアノ曲】日本らしさが心地よいおすすめ作品をピックアップ(1〜10)

日本組曲尾高尚忠

尾高 尚忠 : 日本組曲 1. 朝に Pf.増田達斗:Masuda,Tatsuto
日本組曲尾高尚忠

西洋の伝統と日本の伝統音楽の要素を融合させた独自のスタイルを持つ、日本の現代音楽を代表する作曲家、尾高尚忠さん。

彼の代表作に、1936年に発表された『日本組曲』があります。

日本の伝統的な音楽を西洋の調性言語に翻訳し、日本精神のための新しい表現手段を見出すことを意図して作曲されたこの作品からは、日本の景色や文化を音楽で描き出そうとする作曲家の深い思いが伝わってきます。

日本らしさを感じたい方、あるいは尾高さんの音楽世界に触れてみたい方にぜひオススメしたい作品です。

真夜中の火祭り平吉毅州

【リハーサル】リサイタル直前のジーンズホール(平吉毅州:真夜中の火祭り/Takekuni Hirayoshi: The Midnight Fire Festival)【児島市民交流センター】
真夜中の火祭り平吉毅州

炎が燃え盛る情景を思わせる熱烈な日本人作曲家、平吉毅州さんによるピアノ独奏曲です。

ダイナミックで激しい響きと、緻密なアーティキュレーションが見事に調和し、夜空に舞い上がる火の粒を表現しています。

独特の変拍子が生み出す躍動感と、スペイン舞踊を思わせるリズムパターンが、聴く人の心を高揚させます。

2024年度PTNAピアノコンペティションの課題曲に選定されており、ピアノ学習者の技術向上に役立つ作品としても評価が高まっています。

短調の響きながらも暗さを感じさせない力強さがあり、暑い夏の夜に聴くことで心が躍るような清涼感が得られる一曲です。

扶桑歌 日本行進曲Charles Leroux

Charles Leroux – “Army Defile March Fusouka” (1886) for piano
扶桑歌 日本行進曲Charles Leroux

シャルル・ルルーは、1851年にフランスで生まれた音楽家、作曲家であり、フランス陸軍の大尉として勲章も受章している人物。

そんな彼が1886年に作曲した『扶桑歌 日本行進曲』は、日本の伝統や精神性を反映した作品で、日本国と天皇への忠誠、永遠の平和と繁栄を願う内容が込められています。

陸軍軍楽隊の技術向上にも寄与し、「軍楽隊規則」を定めるなど、音楽文化へも大いに貢献したルルー。

国民一人ひとりが持つべき忠誠心と奉仕の精神を、雄大なメロディーで表現したこの曲は、式典などで演奏されるにふさわしい1曲です。

【和風のピアノ曲】日本らしさが心地よいおすすめ作品をピックアップ(11〜20)

「赤とんぼ」変奏曲三宅榛名

2008入賞者記念 片岡 愛/三宅 榛名:「赤とんぼ」変奏曲
「赤とんぼ」変奏曲三宅榛名

『赤とんぼ変奏曲』は、1942年東京生まれの作曲家兼ピアニストの三宅榛名さんによる作品です。

1981年にカワイ出版から発表された『赤とんぼ変奏曲』は、山田耕筰さんの童謡『赤とんぼ』をテーマに、三宅さんが中学生時代にアメリカ西海岸で作曲した思い出の1曲。

懐かしい日本を思うような5つの美しい変奏曲からなり、流麗な装飾や鋭い響き、変化に富んだリズムが全編を彩ります。

テーマの単純なメロディをいかに多彩に表現できるかに挑戦し、ピアノの響きを堪能できる作品に仕上がっています。

音楽経験豊富な方はもちろん、なじみのある曲に新鮮な驚きを感じたい方にもオススメです。

ソナチネ Op.13尾高尚忠

Hisatada Otaka – Sonatine pour Piano, Op. 13 (Yuguchi) (1940)
ソナチネ Op.13尾高尚忠

フランス留学を経て、西洋の伝統と日本の伝統音楽の要素を融合させた独自の音楽スタイルを確立した尾高尚忠さん。

『ソナチネ Op.13』は、1940年に作曲された彼の代表的なピアノ作品の一つで、西洋の音楽様式と日本的な音楽観が絶妙に融合され、伝統的な調性の中にも斬新な感性が息づく作品です。

この曲を通して、日本のクラシック音楽の発展に多大な貢献をした尾高さんの、音楽に対する情熱と独創性を感じ取ってみてはいかがでしょうか?

《おぼろ月夜》の主題による幻想曲轟千尋

zen-on piano solo PP-519 轟 千尋:《おぼろ月夜》の主題による幻想曲 全音楽譜出版社
《おぼろ月夜》の主題による幻想曲轟千尋

轟千尋さんは、作曲活動を行う傍ら、セミナー講師やピアノ教材の出版、音楽雑誌への寄稿などを通して、作曲者としての視点から音楽教育を切り開くために精力的に活動されている作曲家。

彼女が作曲した『《おぼろ月夜》の主題による幻想曲』は、おなじみの唱歌『おぼろ月夜』のメロディが、ピアニスティックなアレンジをともなってドラマティックに展開される、スケールの大きなピアノ作品です。

きらびやかで聴き映えするため、コンサートや発表会にもピッタリ!

和風の作品を披露したい方は、チャレンジしてみてはいかがでしょうか?

カゴメ変奏曲 テーマと8つの変奏曲小山清茂

小山 清茂:かごめ変奏曲、テーマと8つの変奏曲  pf. 杉浦 菜々子:Sugiura, Nanako
カゴメ変奏曲 テーマと8つの変奏曲小山清茂

日本の作曲家、小山清茂さんによる『カゴメ変奏曲 テーマと8つの変奏曲』は、童謡『かごめかごめ』を基にしたピアノ独奏のための作品です。

小山さんは管弦楽曲や吹奏楽曲、オペラなど、さまざまなジャンルの作品を手掛けており、日本の伝統的な音楽と西洋音楽の融合を図った独自のスタイルが特徴。

本作では、シンプルな主題に続いて、前奏曲風、箏曲風、舞踏曲風など、多彩なキャラクターの変奏曲が展開されています。

原曲の雰囲気を大切にしながらも、ピアノという楽器の魅力を余すところなく引き出したアレンジは秀逸の一言。

ピアノ愛好家はもちろん、コンサートのプログラムに取り入れることで、聴衆を新鮮な驚きで包み込むことができるでしょう。