【青春の輝き】ネオアコースティックの名盤。ネオアコ基本の1枚!
ある程度洋楽に詳しい方であれば、ネオアコースティックという音楽ジャンルの存在をご存じでしょう。
お好きな邦楽アーティストが影響を口にしていて知った、という方もいらっしゃるかもしれませんね。
1980年代初頭のイギリスにおいて、後に名門と呼ばれるいくつかのインディーズ・レーベルからアコースティック・サウンドを軸とした音楽性を独自に表現するバンドが多く生まれ、それらを総称して日本の音楽メディアがネオアコースティック、略して「ネオアコ」と呼んだのが始まりとされています。
本稿では、そんな「ネオアコ」のまずはこの1枚な名盤をピックアップ、基本ということで今回はイギリスのバンドをメインで紹介します!
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もくじ
- 【青春の輝き】ネオアコースティックの名盤。ネオアコ基本の1枚!
- Falling and LaughingOrange Juice
- ReachPale Fountains
- AppetitePrefab Sprout
- WallflowerThe Monochrome Set
- No Sense of SinThe Lotus Eaters
- ObliviousAztec Camera
- Nothing to be doneThe Pastels
- FortuneFelt
- Obscurity KnocksThe Trash Can Sinatras
- You Didn’t Love Me ThenThe Hit Parade
- Gentle TuesdayPrimal Scream
- North Marine DriveBen Watt
- State Of ArtFriends Again
- I’m FallingTHE BLUEBELLS
- Happy HourThe House Martins
- The Boy With The Thorn In His SideThe Smiths
- Head Start for HappinessThe Style Council
- Freeze OutEast Village
- Life In A Northern TownThe Dream Academy
- Favourite Shirt (Boy Meets Girl)Haircut 100
【青春の輝き】ネオアコースティックの名盤。ネオアコ基本の1枚!
Nothing to be doneThe Pastels

ネオアコに限らず、80年代の英国インディー・ロックの中では歌も演奏もヘタだけど他にはない味わいで愛されているバンドが少なからず存在しており、そういうバンドこそを好んで聴いているファンも実は多かったりします。
スコットランド出身、カルト的な人気を誇るザ・パステルズは、まさにそういった技術的な良し悪しといった議論とは全く違う方向性で独自の音楽を鳴らすバンドです。
限りなくマイペースな活動歴の中でリリースしたアルバムは現時点で5枚ですが、今回紹介するのは1989年にリリースされたセカンド・アルバム『Sittin’ Pretty』です。
アコギのバッキングと歪んだギターの音色とのコントラストが独自の疾走感とポップさを生み出す名曲『Nothing to Be Done』をはじめとして、どこまでもゆるくヘロヘロしたサウンドながら、不思議と親しみやすいメロディが何とも味わい深い名作なのですね。
どちらかといえばオルタナティブロックやギターポップ的な質感が強いのですが、激しめのギターの中にもアコースティック・ギターの音色が随所に導入されているところに耳を傾けてみてくださいね。
そんなパステルズですが、1998年にリリースされたリミックス・アルバム『Illuminati』には、あのマイ・ブラッディ・バレンタインやステレオラブ、キッド・ロコといった面々が参加しているわけで、いかに彼らが愛されているのかが分かるというものでしょう!
FortuneFelt

1979年に結成されたFeltは、非常に特異な美学と個性を持つバンドです。
キャリアの中で初期から中期にかけてチェリー・レッド、後期にクリエイション、というネオアコという意味でも英国ロック史においても重要な2つのレーベルに所属しており、その時期によって音楽性が異なるというのも特徴的なのですね。
クリエイション時代はあのプライマル・スクリームのキーボーディスト、マーティン・ダフィさんが在籍していたことでも知られています。
今回紹介している『Crumbling the Antiseptic Beauty』は、そんな彼らが1981年にリリースした6曲入りのデビュー・アルバムです。
『美の崩壊』という邦題、ボーカリストのローレンスさんの憂いを帯びた眼差しが鮮烈なアルバム・ジャケットがとにかく印象的で、後にネオアコやギターポップの名盤と呼ばれる多くの作品のプロデュースを手がけたJohn A. Riversさんがプロデューサーを担当しているのもネオアコ好きの間では有名ですね。
音程を無視したようなローレンスさんの独白調のボーカル、モーリス・ディーバンクさんによる繊細で美しいアルペジオの響き、ポスト・パンク由来のリズム、どれをとっても個性的で正直言えば万人受けする音とは言えないでしょう。
とはいえ、一度この音にはまったら抜け出せない魅力がありますから、FELTの持つ音世界にぜひ一度は足を踏み入れてみてください!
Obscurity KnocksThe Trash Can Sinatras

1990年代以降で最も有名なネオアコ・バンドと問われて、トラッシュキャン・シナトラズの名前を挙げる方は多いでしょう。
同じスコットランド出身ということもあるのか、あのアズテック・カメラと比較されるほど期待され、80年代の初期ネオアコの輝きを90年代に復活させたとも言われています。
ネオアコとされるジャンルの中では珍しく、2020年代の今も現役で活動している彼らが1990年にリリースしたデビュー・アルバム『Cake』は、同作に収録されたデビュー曲『Obscurity Knocks』とともにアメリカでも高く評価された1枚です。
よく言われていることですが、本作がリリースされた時期は、イギリスではいわゆる「マッドチェスター」と呼ばれたムーブメントの最盛期で、ダンサンブルなビートとサイケデリックな質感を持ち合わせたロック・サウンドが人気を博していたのですね。
そういった時代背景を念頭に置いて本作と向き合えば、彼らがいかに自分たちの鳴らすべき音というものを承知していたのかを痛感することでしょう。
アコースティック・ギターを基調としつつも思いの外力強いビート、青臭いメロディの素晴らしさ、ほんのり感じられるジャズ・テイスト、素朴なフォーキーさ……すべてがデビュー作ならではの瑞々しい感性を通して形となった素晴らしい逸品です。
本作が代表作であることは間違いないですが、個人的には1996年にひっそりとリリースされたサード・アルバム『Happy Pocket』もオススメです!
You Didn’t Love Me ThenThe Hit Parade

何とも爽やかでイノセンスなアルバムのジャケットが、音をそのまま物語っているようなネオアコの名盤ですね!
ザ・ヒット・パレードは1984年にソングライターのジュリアン・ヘンリーさんを中心としてロンドンで結成されたバンドで、意外なところでは後にPIGなどのインダストリアルロック・サウンドで有名となるレイモンド・ワッツさんも結成メンバーの1人だったりします。
マイペースながらも長きに渡り活動を続けているそんな彼らの代表作にしてネオアコの名盤、1988年リリースのデビュー作『With Love From The Hit Parade』を紹介しましょう。
DIYの精神で作られた本作は、お世辞にもプロダクションが良いとは言えず素朴な手作り感が満載のサウンドではありますが、楽曲の良さが突出しているからこそ名盤として2020年代の今も愛され続けているのですね。
フリッパーズ・ギターの名曲『 Camera Full Of Kisses/全ての言葉はさよなら』の元ネタとしても有名な『You Didn’t Love Me Then』をはじめとして、どの楽曲も短くも美しい青春の輝きがちりばめられた名曲ぞろいの1枚となっております。
2007年に日本のVINYL JAPANがボーナストラックを大量に追加して紙ジャケット仕様で再発してくれていますから、レコード屋などで見つけ次第迷わず購入することをオススメしますよ!
Gentle TuesdayPrimal Scream

イギリスが誇る名バンド、プライマル・スクリームはカメレオンのように音楽性を変化させるタイプのバンドとしても知られていますが、人気が爆発した『Screamadelica』やダブを取り入れた『Vanishing Point』といった作品のイメージしか知らない方であれば、彼らが1987年にリリースしたデビュー作『Sonic Flower Groove』を聴けば必ずや驚かれることでしょう。
初期メンバーのジム・ビーティさんが奏でる12弦ギターの響きと、ボビー・ギレスピーのナイーブな歌声はとてもスウィートで美しく、こんな音を鳴らしていたバンドが数年後に『Loaded』や『Rocks』などといった楽曲を生み出すとは想像もできないですよね。
『Gentle Tuesday』や『Imperial』など、ザ・バーズなどの60年代のバンドからの影響下にあるキラキラしたドリーミィなサウンドから生まれた美しい名曲も多く、個人的には若き日のボビーさんの繊細な歌心が存分に発揮されているところも良いなと感じます。
とはいえ、バンドメンバーはあまりこの時期の自分たちの音がお好きではないのか、本作に収録されている楽曲はライブでは披露されないのですよね……。
余談ですが、ネオアコ的なプライマル・スクリームがもっと聴きたい方は、最初期のアルバム未収録の名曲『Velocity Gir』を聴いてみてください!
2019年には現在のボビーさんが登場するオフィシャルのミュージックビデオも公開されていますよ。
North Marine DriveBen Watt

ベン・ワットさんは、トレイシー・ソーンさんと組んだ音楽デュオ、エヴリシング・バット・ザ・ガールの一員として知られているイギリスのミュージシャンです。
エレクトリック・サウンドを取り入れた90年代中盤以降に世界的な成功を収めたこともあり、グループ名だけは知っているという方も多いかもしれませんね。
今回紹介している『North Marine Drive』は、ワットさんがエヴリシング・バット・ザ・ガールを結成する前の1983年にリリースしていたソロ・デビュー・アルバムです。
2014年にセカンド・アルバム『Hendra』がリリースされるまでは、唯一のソロ・アルバムとして半ば伝説化していた作品でもあります。
本作はネオアコースティックのブームに多大な影響を及ぼしたと言われており、淡いエフェクターを通した生のギターを軸とした静ひつな世界観は、青春のきらめきや輝きが爽やかに表現されたネオアコ~ギターポップとは一線を画す音楽となっているのですね。
全9曲の中で、ピアノやアルト・サックスなどの音色が導入される曲もありますが、基本的にはワットさんのどこか哀愁を帯びた歌声とギターのみで構成されているからこそ、楽曲自体の素晴らしさが際立ち、1つの芸術作品としてのアルバムが持つ独創的な音世界をじっくりと味わうことができるのです。
フォーキーでありつつジャズやボサノヴァの素養を持ったワットさんのギター、そして歌声にぜひ一度は耳を傾けてみてくださいね。