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【洋楽】90年代エモコアの名盤。まずは聴いてほしい1枚

【洋楽】90年代エモコアの名盤。まずは聴いてほしい1枚
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【洋楽】90年代エモコアの名盤。まずは聴いてほしい1枚

語源などを知らずとも、もはや「エモい」という表現は一般層にまですっかり浸透していますよね。

2022年現在で30代くらいの洋楽好きであれば、2000年代のエモ・ブームから「エモ」なる言葉を知ったという人も多いでしょう。

エモの起源は80年代にまでさかのぼりますが、もともとはパンク~ハードコア・シーンから生まれたジャンルであり「エモーショナル・コア」や「エモコア」と呼ばれていました。

今回の記事では、そんなエモコアというジャンルが広まった90年代にリリースされた名盤を集めてみました!

90年代のエモコアにリアルタイムで接した筆者が初心者向けに選ぶ、まずは聴いてみてほしい1枚をぜひチェックしてみてくださいね!

【洋楽】90年代エモコアの名盤。まずは聴いてほしい1枚(1〜5)

Diary

SevenSunny Day Real Estate

Sunny Day Real Estate – Seven [OFFICIAL VIDEO]
SevenSunny Day Real Estate

90年代のエモやポスト・ハードコアというテーマで真っ先に名前を挙げられるバンドといえば、アメリカはシアトル出身のサニー・デイ・リアル・エステイトでしょう。

シアトルといえばニルヴァーナを筆頭としてグランジ~オルタナティブロック・ブームにおける聖地のような場所ですが、サニー・デイ・リアル・エステイトは他のシアトルのバンドとはまた違う、オルタナティブロック由来の静と動といったアンサンブルを軸としながらも、ナイーブでむき出しの感情と初期衝動が込められたギター・サウンドは、まさに「エモーショナルコア」と呼ぶしかない音だったのですね。

そんな彼らが1994年にリリースしたデビュー・アルバム『Diary』は、90年代エモコアの金字塔的な作品であり、グランジ以降のUSインディーズ・シーンに新たな方向性を提示した大傑作です。

グランジ~オルタナ・ブームの火付け役の1つとも言える名門レーベルであるサブ・ポップからリリースされ、商業的にも成功を収めました。

中心人物のジェレミー・イーニックさんの蒼い歌声、激しくひずんだギターですらどこかやるせなさがつきまとう、パンクでもグランジでもないこの音を聴かずして「90年代エモコア」は語れません!

エモコアとはなんぞや、という疑問に対してまずは提示したい1枚ですね。

余談ですが、サニー・デイ・リアル・エステイトのリズム隊は後にフー・ファイターズへと合流、ベーシストのネイト・メンデルさんは今も同バンドにて活躍中ですよ。

In/Casino/Out

PickpocketAt The Drive-In

アメリカはテキサス州、メキシコとの国境沿いに位置するエルパソが生んだアット・ザ・ドライヴインは、今となっては90年代のエモ~ポスト・ハードコアのレジェンドというよりは、フロントマンのセドリック・ビクスラーさんと異能ギタリストのオマー・ロドリゲスさんによるマーズ・ヴォルタを生んだ伝説的なバンド、として知られているかもしれませんね。

2011年に再結成を果たしたときも、当時を知る人以外にはそのような面から話題となっていたと記憶しています。

そんな彼らが広く知られるきっかけとなったアルバムと言えば、解散前に放った最初で最後のメジャー作品である2000年リリースの大傑作サード作『Relationship of Command』であり、コーンやリンプ・ビズキットなどを手掛けたロス・ロビンソンさんがプロデュース、その激情のサウンドはスクリーモの先駆けとも言われていましたね。

しかし本稿では、90年代のエモコア~ポスト・ハードコアといった側面から1998年リリースの『In/Casino/Out』を紹介します。

当時は国内盤もリリースされ、一部のマニアの間では話題を集めた本作は、変則的でねじれたギター・フレーズの応酬と生き急ぐような性急なリズム、奇妙なポップネスとメロディアスさを兼ね備えたサウンドはまさに90年代エモコアといった趣なのですね。

オマーさんのギターの独創性はこの時点で開化しており、セドリックさんの歌唱もまだ若々しく蒼さが残っている、という点も良い感じです。

『Relationship of Command』しか聴いたことがないという方も、ぜひチェックしてみてください!

Do You Know Who You Are?

Johnny On The SpotTexas is the reason

たった1枚のアルバムを残して伝説となった、というバンドはどのジャンルでも見受けられますが、もちろん90年代エモコアにもそういったバンドは多く存在します。

その筆頭とも言えるアメリカはニューヨーク州出身のテキサス・イズ・ザ・リーズンは、ニューヨーク・ハードコアのシェルター、108といったバンドに在籍していたメンバーによって1994年に結成されたバンドです。

翌年にセルフタイトルのデビューEPをリリース、プロミス・リングなどのバンドとのスプリット盤などを発表し、1996年には上述したデビュー・アルバムをリリースしますが、1997年に惜しくも解散してしまいました。

そんな彼らが1996年に発表した大傑作ファーストにしてラスト作『Do You Know Who You Are?』は、エモコアの伝説的な名盤としてここ日本でも熱狂的なファンを持つ作品なのですね。

キャリアのあるメンバーによるタイトかつしなかやなバンド・アンサンブルで織り成す珠玉の名曲群は、パンクともハードコアとも違う独自のギター・サウンドを生み出し、90年代エモコアのひな形的な作品を生み出したのです。

男らしさを強調したハードコアからの脱却を目指していたということもあって、後にソレアを結成するギャレット・クランさんのハスキーな歌声が生み出すナイーブな感情が爆発するメロディ、90年代らしい静と動の展開はもちろん、あくまで骨太かつ芯のあるサウンドを基盤としているところに、個人的には特に魅力を感じます。

90年代エモといえばおなじみのJ・ロビンスさんがプロデューサーとして名を上げた作品ということも含めて、繰り返しとなりますが90年代エモコアの金字塔であると言えましょう。

Frame & Canvas

Killing a CameraBraid

Braid-Killing a Camera (studio version)
Killing a CameraBraid

90年代エモ・レジェンドの中でも、アメリカはイリノイ州出身のブレイドは、変則的なギターのリフや異なるボーカルが絡み合い、緩急自在のリズム隊による複雑なアンサンブルが後の「マスコア」にも通じる独自のサウンドで人気を博したバンドです。

1993年から1999年まで活動を続けるも解散、2011年には再結成を果たして復活作もリリース、来日公演も実現させています。

彼らが90年代に残した3枚のアルバムはどれも名盤の誉れ高い作品ばかりですが、本稿で取り上げているのは解散前にリリースしたサード・アルバム『Frame & Canvas』。

最高傑作と評価されることもある本作は、エモコア~ポスト・ハードコアの歴史を語る上では欠かせないバンドである、ジョーボックスのフロントマンにして敏腕プロデューサーのJ・ロビンスさんを迎えて制作され、デビュー時から突き詰めてきた彼らならではのエモ~ポスト・ハードコアの集大成といっても過言ではない素晴らしいクオリティを誇る名盤となりました。

ミネラルやサニー・デイ・リアル・エステイトといったバンドが持つ叙情性とは違った、どこかねじれたポップ・センスはブレイド独自のものであり、予測できない楽曲展開と胸を打つ歌心に一度はまってしまえば抜け出せなくなる中毒性を持ち合わせているのです。

Clarity

Lucky Denver MintJimmy Eat World

アメリカはアリゾナ州出身のジミー・イート・ワールドは、90年代エモ~ポスト・ハードコアの先駆け的な存在でありながら、2000年代以降は「エモ」の枠内をこえて、アメリカを代表するロック・バンドとして大きな成功を収めたバンドです。

彼らの大名曲『Sweetness』がCM曲として起用されたこともあり、ここ日本でも知名度の高い存在ですよね。

もともとは直情的なパンク・ロック風のサウンドを鳴らしていた彼らが作品をリリースするごとに音楽性を変化させ、フロントマンのジム・アドキンスさんがメイン・ボーカルを担当するようになった初のアルバム『Clarity』は、現在でもライブで披露される名曲が多数収録された大傑作です。

本作は1999年にリリースされたバンドにとっては通算3枚目となるアルバムで、当時国内盤もリリースされています。

セカンド作に引き続いてポスト・ハードコアの歴史における伝説的なバンド、ドライヴ・ライク・ジーヒューのドラマーであり、その後は多くのエモ~インディロック系のバンドをプロデュースしたマーク・トランビーノさんを迎えた本作は、次作にして大ブレイクを果たした『Bleed American』にも通じるダイナミックなロック・サウンドへと移行する寸前の、彼らなりの実験精神や持ち前のポップさ、繊細でナイーブなギター・サウンドが楽しめる最高の1枚!

いかにも90年代エモらしいゆったりとしたオープニング曲『Table for glasses』から、16分をこえる大作にしてラスト曲『Goodbye Sky Harbor』にいたるまで、アルバムを通して一貫した「ムード」を感じ取れるところにも注目してみてください。

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