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【洋楽】90年代エモコアの名盤。まずは聴いてほしい1枚

語源などを知らずとも、もはや「エモい」という表現は一般層にまですっかり浸透していますよね。

2022年現在で30代くらいの洋楽好きであれば、2000年代のエモ・ブームから「エモ」なる言葉を知ったという人も多いでしょう。

エモの起源は80年代にまでさかのぼりますが、もともとはパンク~ハードコア・シーンから生まれたジャンルであり「エモーショナル・コア」や「エモコア」と呼ばれていました。

今回の記事では、そんなエモコアというジャンルが広まった90年代にリリースされた名盤を集めてみました!

90年代のエモコアにリアルタイムで接した筆者が初心者向けに選ぶ、まずは聴いてみてほしい1枚をぜひチェックしてみてくださいね!

【洋楽】90年代エモコアの名盤。まずは聴いてほしい1枚(1〜10)

In/Casino/Out

PickpocketAt The Drive-In

アメリカはテキサス州、メキシコとの国境沿いに位置するエルパソが生んだアット・ザ・ドライヴインは、今となっては90年代のエモ~ポスト・ハードコアのレジェンドというよりは、フロントマンのセドリック・ビクスラーさんと異能ギタリストのオマー・ロドリゲスさんによるマーズ・ヴォルタを生んだ伝説的なバンド、として知られているかもしれませんね。

2011年に再結成を果たしたときも、当時を知る人以外にはそのような面から話題となっていたと記憶しています。

そんな彼らが広く知られるきっかけとなったアルバムと言えば、解散前に放った最初で最後のメジャー作品である2000年リリースの大傑作サード作『Relationship of Command』であり、コーンやリンプ・ビズキットなどを手掛けたロス・ロビンソンさんがプロデュース、その激情のサウンドはスクリーモの先駆けとも言われていましたね。

しかし本稿では、90年代のエモコア~ポスト・ハードコアといった側面から1998年リリースの『In/Casino/Out』を紹介します。

当時は国内盤もリリースされ、一部のマニアの間では話題を集めた本作は、変則的でねじれたギター・フレーズの応酬と生き急ぐような性急なリズム、奇妙なポップネスとメロディアスさを兼ね備えたサウンドはまさに90年代エモコアといった趣なのですね。

オマーさんのギターの独創性はこの時点で開化しており、セドリックさんの歌唱もまだ若々しく蒼さが残っている、という点も良い感じです。

『Relationship of Command』しか聴いたことがないという方も、ぜひチェックしてみてください!

Stereo

SaturdayChristie Front Drive

掘り下げれば掘り下げるほど、メジャーなバンド以外の作品にこそ名盤が隠されていることも多い90年代エモコアですが、1993年から1996年という短い活動期間を駆け抜けた、コロラド州デンバー出身のクリスティ・フロント・ドライヴが唯一リリースしたフル・アルバム『Stereo』も、まさにその1つと言えそうです。

1996年に録音された本作はバンド解散後の1997年にリリースされた作品で、インストゥルメンタル曲も含む作風はエモコアが持つ叙情性を全面に押し出したものであり、繊細なアルペジオとピアノの音色、叙情性に特化した轟音ギター、ミドル・テンポを軸として静と動を行き来する楽曲展開、絶妙に盛り上がりきらない哀愁のメロディを聴いて「90年代のエモコアってこういう音だよな」と感じ入る方も多くいらっしゃることでしょう。

日本でもCDとDVDの2枚組としてリマスター再発されたものが国内盤仕様としてリリースされたことからも、熱心なファンが彼らの音を高く評価していることが分かるのではないでしょうか。

やや地味な面があるのも事実ではありますが、90年代が生んだ叙情系美エモの代表的な名盤であり、特にミネラルなどがお好きな方でまだこのバンドを知らないという方は、確実にチェックすべき作品です!

Something To Write Home About

HolidayThe Get Up kids

ジミー・イート・ワールドと並んで、ここ日本における90年代エモの最も人気のあるバンドではないでしょうか。

アメリカはミズーリ州、カンザスシティが生んだザ・ゲット・アップ・キッズは、1995年に当時高校生だったメンバーで結成され、2005年まで活動するも一度解散、2008年には再結成して来日公演や新作のリリースなど精力的な活動を続けています。

おそらくニルヴァーナよりもウィーザーよりも彼らに影響を受けた、という日本のバンドも多くいるはずです。

そんな彼らの最高傑作であり、日本でも多くのファンを獲得したのが1999年にリリースされた超名盤セカンド作『Something to Write Home About』です。

チャーミングなロボットのイラストが印象深い、あの有名なアルバム・ジャケットを一度は見たことがあるという音楽ファンも多くいるはず。

オープニングの『Holiday』からラスト曲『I’ll Catch You』まで捨て曲一切なし、青春という言葉がそのまま音となって具現化したようなメロディとエモーショナルなギター・サウンドがまさに「エモ」としか言いようがありません。

マット・プリオールさんの深みのある素晴らしい歌唱や名曲『Valentine』のようなバラードもこなす地力のあるバンド・アンサンブルはもちろん、キーボーディストのジェイムス・ドゥウィーズさんによるプレイが、ゲット・アップ・キッズのサウンドをより多彩なものとしていることにも注目してみてほしいです。

American Football

Never MeantAmerican Football

American Football – Never Meant [OFFICIAL MUSIC VIDEO]
Never MeantAmerican Football

エモのみならずポストロックやマスロックといったジャンルにおいても後続のバンドに多大なる影響を及ぼし、USインディーズが生んだ傑作として今も評価され続ける『American Football』も、1999年にリリースされた作品なのですね。

伝説的なエモ・バンドのキャップン・ジャズに在籍、ソロ・プロジェクトのオーウェンとしても著名なマイク・キンセラさんを中心として1997年に結成されたアメリカン・フットボールは、前述したセルフタイトルのデビュー・アルバムと1枚のEPを残して解散、伝説のバンドとして長い間語り継がれてきたのですが、2014年の再結成後はマイペースながら素晴らしい新作を発表しており、2020年代を過ぎた今も新たなファンを獲得し続けています。

そんな彼らのデビュー・アルバムはクリーン・トーンを軸としたギターのアルペジオが美しく絡み合い、ジャズやマスロック的な要素を感じさせるアンサンブルは荒削りながらも圧倒的なオリジナリティを誇り、マイクさんの朴訥でナイーブな歌声によるメロディは優しく、それでいて若さゆえの焦燥感のようなものを感じ取れる歌詞が特徴です。

全体的に穏やかな雰囲気でありながらも、パンク~ハードコア出身のメンバーならではの緊張感が随所にみなぎっている、という点も素晴らしい!

Look Now Look Again

RiseRainer Maria

90年代エモコアはナイーブな男性中心の音楽と思われがちですが、大傑作アルバム『This Afternoon’s Malady』を残したJEJUNEなどの女性と男性による混成ボーカルであったり、女性がフロントに立つバンドも一定数存在しています。

その中で最も知名度が高く、来日経験もある最高の3ピース・バンドがレイナ―・マリアです。

著名な詩人であるライナー・マリア・リルケからそのバンド名を取ったというインテリジェンス、3ピースならではの各楽器の絡み合いが際立つバンド・アンサンブル、美しいメロディ・ラインを武器として、ここ日本のエモコア好きの中でも人気の高いバンドなのですね。

USインディーズやエモコアの重要作を多くリリースしている名門ポリヴァイナル・レコーズから発表した作品はどれも高い評価を得ておりますが、今回は彼女たちが1999年に発表した名盤セカンド作『Look Now Look Again』を取り上げましょう。

デビュー作の荒削りなサウンドが一気に洗練され、ケイスリン・ド・マライスさんの上品なボーカルによる美しいメロディが全面に押し出され、繊細かつアグレッシブなギター・ワークと歌うようなベース・ライン、しなやかなドラムスが織り成す楽曲群はどれも最高に素晴らしい。

女性ボーカルのエモコアの先駆けとして、まずはこの1枚を自信を持ってオススメします!