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【洋楽】90年代エモコアの名盤。まずは聴いてほしい1枚

語源などを知らずとも、もはや「エモい」という表現は一般層にまですっかり浸透していますよね。

2022年現在で30代くらいの洋楽好きであれば、2000年代のエモ・ブームから「エモ」なる言葉を知ったという人も多いでしょう。

エモの起源は80年代にまでさかのぼりますが、もともとはパンク~ハードコア・シーンから生まれたジャンルであり「エモーショナル・コア」や「エモコア」と呼ばれていました。

今回の記事では、そんなエモコアというジャンルが広まった90年代にリリースされた名盤を集めてみました!

90年代のエモコアにリアルタイムで接した筆者が初心者向けに選ぶ、まずは聴いてみてほしい1枚をぜひチェックしてみてくださいね!

【洋楽】90年代エモコアの名盤。まずは聴いてほしい1枚(11〜15)

24 Hour Revenge Therapy

Do You Still Hate Me?Jawbreaker

エモはさまざまなジャンルを取り込むことのできる自由度の高い音楽ジャンルであることは確かですが、聴く人によっては曖昧でどっちつかずと感じることもあるでしょう。

本稿の主役であるジョーブレイカーは1980年代に活動をスタートさせたトリオであり、由緒正しきパンクの血筋を持ったバンドながら、独自のメロディックさを兼ね備えたサウンドでインディーズで人気を博すも、メジャー・デビュー以降は熱心なファンからセルアウトだと批判を受け、残念ながら解散してしまった存在なのですね。

とはいえ、マイ・ケミカル・ロマンスやフォール・アウト・ボーイといった00年代を席巻した人気バンドがジョーブレイカーからの影響を公言、2017年にはバンドの歴史をテーマとしたドキュメンタリー映画が公開されるなど、その影響力の大きさは若い音楽ファンにもよく知られることとなりました。

今回は、メジャー移籍前の最高傑作と評される1994年リリースのサード・アルバム『24 Hour Revenge Therapy』を紹介します。

メロディックパンクの性急さとインディーロックを思わせる素朴なギター・サウンドが同居しており、同時にエンジニアを務めた名匠スティーヴ・アルビニさんらしいざらついた音像はいかにも90年代的であって、哀愁を帯びた歌心や私小説のような歌詞を含めてまさに「エモーショナルコア」と呼ぶにふさわしい音楽と言えるかもしれません。

90年代エモコアの歴史を深掘りする上でも、ぜひチェックしてもらいたい作品およびバンドです!

The Power Of Failing

Gloriamineral

サニーデイ・リアル・エステイトやジミー・イート・ワールドらと並び称されるテキサスが誇るエモ・レジェンド、ミネラル。

1994年の結成から1998年の解散まで4年程度の短い活動期間に残したアルバムは2枚、一時期は廃盤で高騰していた時期もあってまさに伝説的な存在として長く語り継がれておりましたが、2014年に突如再結成を果たして作品のリイシューされ、奇跡的な来日公演も果たしています。

前述したように、彼らがリリースしたアルバムは2枚しかありませんし、どちらも甲乙つけがたい大傑作ではありますが、今回は記念すべきデビュー・アルバムとなった1997年リリースの『The Power of Failing』を紹介しましょう。

ポスト・ハードコアにUKロック、スロウコアからシューゲイザーまでさまざまなジャンルから影響を受けた彼らのサウンドもまた「90年代エモコア」の象徴的な音であり、00年代初頭のスクリーモ勢など後続のバンドに多大なる影響を及ぼしたのです。

ひずんでいるのに中心にクリーンな音が聴こえてくるような独特のギター・サウンド、激情と哀愁の不安定なコントラストを行き来するクリス・シンプソンさんのボーカル、静と動のダイナミズムで魅せるバンド・アンサンブル……ドラマチックな楽曲展開も揺れ動く感情そのもの、といった趣。

この音に興味を持てない、という方はおそらく90年代エモコアに縁のない方でしょう。

逆に気に入ったという方は、ぜひミネラルのメンバーが後に始めたUKロックからの影響を強めたザ・グロリア・レコードもチェックしてくださいね!

Something To Write Home About

HolidayThe Get Up kids

ジミー・イート・ワールドと並んで、ここ日本における90年代エモの最も人気のあるバンドではないでしょうか。

アメリカはミズーリ州、カンザスシティが生んだザ・ゲット・アップ・キッズは、1995年に当時高校生だったメンバーで結成され、2005年まで活動するも一度解散、2008年には再結成して来日公演や新作のリリースなど精力的な活動を続けています。

おそらくニルヴァーナよりもウィーザーよりも彼らに影響を受けた、という日本のバンドも多くいるはずです。

そんな彼らの最高傑作であり、日本でも多くのファンを獲得したのが1999年にリリースされた超名盤セカンド作『Something to Write Home About』です。

チャーミングなロボットのイラストが印象深い、あの有名なアルバム・ジャケットを一度は見たことがあるという音楽ファンも多くいるはず。

オープニングの『Holiday』からラスト曲『I’ll Catch You』まで捨て曲一切なし、青春という言葉がそのまま音となって具現化したようなメロディとエモーショナルなギター・サウンドがまさに「エモ」としか言いようがありません。

マット・プリオールさんの深みのある素晴らしい歌唱や名曲『Valentine』のようなバラードもこなす地力のあるバンド・アンサンブルはもちろん、キーボーディストのジェイムス・ドゥウィーズさんによるプレイが、ゲット・アップ・キッズのサウンドをより多彩なものとしていることにも注目してみてほしいです。

Analphabetapolothology

Take On Mecap’n jazz

このバンドからジョーン・オブ・アークやザ・プロミス・リング、アメリカン・フットボールといった名だたる90年代エモコアの名バンドたちが生まれたというのは、まさにUSインディーズの歴史における奇跡といっても過言ではありません。

1989年にティムさんとマイクさんのキンセラ兄弟を中心として、後にザ・プロミス・リングのフロントマンとして活躍するデイヴィー・フォン・ボーレンさんらが在籍していたキャップン・ジャズは、メンバーのその後のキャリアをたどるだけで、USインディーズの素晴らしいバンドたちに多く出会えるというくらいに奇跡的なバンドなのです。

キャップン・ジャズとしての作品は数枚のEPと1995年にリリースされた唯一のアルバムだけなのですが、今回は初心者向けに彼らの楽曲をほぼ網羅したディスコグラフィ盤『Analphabetapolothology』を推薦します!

1998年にUSインディーズの名門ジェイド・トゥリー・レコーディングスよりリリースされた2枚組の作品で、後にリイシューもされています。

当時10代のメンバーたちによる、パンクでもハードコアでもオルタナティブロックでもない荒削りなギター・サウンドは、ヘロヘロなティム・キンセラさんの個性的すぎるボーカルも含めてまさに「エモコア」の原型と言える音!

あまりにもやるせなく切ないアーハの名曲『Take On Me』のカバーも含めて、90年代エモコアやUSインディーズに興味のある方であれば全曲必聴です。

Through Being Cool

Shoulder To The WheelSaves the Day

Saves The Day “Shoulder To The Wheel” (Official Music Video)
Shoulder To The WheelSaves the Day

メロディック・パンクに影響を受けた疾走感あふれるサウンドながらも、メロコア的なスポーティさはゼロで蒼くナイーブな歌声とメロディが際立つニュージャージー出身のセイヴス・ザ・デイ。

現在は唯一のオリジナル・メンバーとして今も活動を続けるクリス・コンリーさんを中心として10代で1997年に結成された彼らは、最初期は同郷の伝説であるライフタイム直系のメロディック・ハードコアを鳴らしていましたが、徐々にクリスさんの卓越したソングライティング・センスを全面に押し出したポップな作風へと移行、2001年の大傑作サード・アルバム『Stay What You Are』はインディーズながら本国アメリカで10万枚以上売れた作品となりました。

今回は90年代リリース作品に的を絞った記事ということで、パンキッシュな疾走感と切ないメロディが交差する1999年リリースの名盤セカンド作『Through Being Cool』を紹介します。

後の彼らのポップな音楽性が芽生えつつあったアルバムであり、大学生だったメンバーたちによる若々しくアグレッシブなギター・サウンドと、甘酸っぱくエモーショナルなメロディはまさに青春ど真ん中!

ハードコアの名門であり、00年代以降は多くのポスト・ハードコアやメタルコアの名作をリリースしたイコール・ヴィジョン・レコードから発表された作品、ということもぜひ覚えておいてくださいね。