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【青春の輝き】ネオアコースティックの名盤。ネオアコ基本の1枚!

ある程度洋楽に詳しい方であれば、ネオアコースティックという音楽ジャンルの存在をご存じでしょう。

お好きな邦楽アーティストが影響を口にしていて知った、という方もいらっしゃるかもしれませんね。

1980年代初頭のイギリスにおいて、後に名門と呼ばれるいくつかのインディーズ・レーベルからアコースティック・サウンドを軸とした音楽性を独自に表現するバンドが多く生まれ、それらを総称して日本の音楽メディアがネオアコースティック、略して「ネオアコ」と呼んだのが始まりとされています。

本稿では、そんな「ネオアコ」のまずはこの1枚な名盤をピックアップ、基本ということで今回はイギリスのバンドをメインで紹介します!

【青春の輝き】ネオアコースティックの名盤。ネオアコ基本の1枚!

Trapped And Unwrapped

State Of ArtFriends Again

Friends Again – State Of Art (1983) (Video)
State Of ArtFriends Again

1984年にリリースされた本作『Trapped And Unwrapped』もまた、ネオアコ界隈ではよくある「唯一のアルバムにして名盤」な1枚です!

スコットランド出身のフレンズ・アゲインが残した本作は、彼らにとってのデビュー作にしてラスト作となった作品。

フリッパーズ・ギターの楽曲の中で、このバンド名から引用したものがある、と言えばその人気の高さが理解できるというものでしょう。

多くの英国音楽の名盤を手掛け、2021年に惜しくも亡くなってしまった名プロデューサーのボブ・サージェントさんがプロデュースを担った本作は、同郷のアズテック・カメラやオレンジ・ジュースと同じく甘酸っぱいポップさとメロディが持ち味ながら、適度にソウルやファンクからの影響を感じさせるサウンドが特徴的。

軽快なカッティングとソウルフルなアレンジに心躍る『Lucky Star』が最高のオープニングを飾り、文句なしのポップネスに降参するしかない『Sunkissed』やネオアコ・クラシックと呼びたいアルペジオのきらめきと上品なストリングスが際立つ名曲『State Of Art』など、とにかく聴いていて気分が良くなる名曲ばかりで嬉しくなってしまいますね!

レアな音源や初期のシングルなどを追加収録したバージョンで再発されておりますから、こちらも見つけ次第入手しましょう!

Sisters

I’m FallingTHE BLUEBELLS

The Bluebells–I’m Falling (Music Video)
I'm FallingTHE BLUEBELLS

ブルーベルズ、というバンド名だけでキラキラした青春の音を思わず期待してしまいます!

聖地スコットランド出身、1981年に結成されたブルーベルズは1枚のアルバムを残して1986年に解散、その後は断続的に活動を続けてはおりますが、残した作品数の少なさも相まって、いかにもネオアコ的なキャリアと音で日本のネオアコファンにおける人気も高いバンドです。

そんなブルーベルズが1984年にリリースした傑作デビュー・アルバム『Sisters』は、ネオアコという音楽に興味があってまだ聴いていないという方がいれば、必ずや聴くべき傑作として知られる1枚。

同郷のアズテック・カメラやオレンジ・ジュースといったスコティッシュ・ネオアコの偉大なバンドたちと並んで、ネオアコースティックの金字塔として評価される本作には、シングル・チャート11位を記録した名曲『I’m Falling』やバナナラマ(!)のカバー曲『Young At Heart』、ハーモニカの音色さえも甘酸っぱい『Cath』など、スコットランドのバンドが持つ魔法のようなポップさが際立つ名曲が多く収録されています。

『Will She Always Be Waiting』という楽曲は、あのエルヴィス・コステロさんがプロデュースを手掛けているということにも注目を。

余談ですが、お蔵入りとなってしまったセカンド作は1992年に日本のみでヴィニール・ジャパンが発売しておりますから、そちらも要チェック!

London 0 Hull 4

Happy HourThe House Martins

ネオアコも含めて、特にインディーズ系のバンドが多くを占めるジャンルの名盤やバンドを掘り下げていく中で、数年後に全く違う方向性で有名となるミュージシャンが在籍していたことを知る、というのも後追い世代ならではの楽しみだと思います。

1983年にイギリスで結成されたハウスマーティンズはネオアコ界隈で人気の高いバンドですが、実は後にイギリスの国民的なバンドとなるビューティフル・サウスのフロントマンとなるポール・ヒートンさんと、ビッグ・ビートと呼ばれるサウンドで世界的な人気者となるファットボーイ・スリムことノーマン・クックさんが在籍していたことでも知られている存在なのですね。

そんな偉大なミュージシャンを輩出したハウスマーティンズが1986年に発表したデビュー・アルバム『London 0 Hull 4』は、とにかく爽やかでポップかつキャッチー、ネオアコ~ギターポップの金字塔的な作品として人気の1枚です!

オープニングを飾るキラーチューン『Happy Hour』を含む、当時ヒットしたシングル4曲をはじめとして、ピアノ・ロック的なアンサンブルがポップかつ切ない『Get Up Off Our Knees』など名曲ばかりで、あまりクセのないサウンドが非常に聴きやすく、とにかく楽しい気持ちにさせてくれるハッピーなアルバムですよ。

The Queen Is Dead

The Boy With The Thorn In His SideThe Smiths

The Smiths – The Boy With The Thorn In His Side (Official Music Video)
The Boy With The Thorn In His SideThe Smiths

多くの偉大なミュージシャンが影響を公言する、イギリスが誇る伝説的なバンドであるスミスをネオアコという解釈で語るのは人によっては抵抗があるかもしれませんが、80年代らしい最新のテクノロジーを使った豪華なロック・サウンドとは全く違う、アコースティック・ギターやクリーン・トーンを多用したバンド・アンサンブルから織り成すあまりにも美しい楽曲たちは、やはりネオアコやギターポップの歴史を語る上で欠かせないものと言えましょう。

今回取り上げている『The Queen Is Dead』は、スミスの最高傑作と呼ばれることもある名盤中の名盤です。

ネオアコというよりも英国ロックにおける金字塔である本作の素晴らしさを短い文章で語るのは難しいですが、ネオアコ的な観点で語るのであれば、シングルカットはされていませんが代表曲の1つとして語られるほどの名曲『There Is a Light That Never Goes Out』や、まさにスミスのイメージそのものといったような邦題『心に茨を持つ少年』でもおなじみの『The Boy with the Thorn in His Side』、イントロのギターがあまりにも切なく美しい正統派のギターポップとも言えそうな『Some Girls Are Bigger Than Others』辺りは、ネオアコ好きにもグッとくる名曲ですね。

とはいえ、フロントマンのモリッシーさんが描く歌詞世界はあまりにも暗くひねくれており、およそネオアコ的な青春とはかけ離れたものである、というのは一応注意しておきます!

Café Bleu

Head Start for HappinessThe Style Council

純然たるネオアコースティックというわけではないのですが、ネオアコ界隈で人気が高くコンピレーション盤などでも頻繁に曲が取り上げられるバンドは意外と多く、イギリスのロック・シーンの兄貴的な存在であるポール・ウェラーさん率いるスタイル・カウンシルもそういったタイプのグループの1つと言えます。

人気絶頂期に伝説的なバンドのザ・ジャムを解散させたウェラーさんが、ソウルやファンク、ジャズといったブラック・ミュージックへの憧れをポップでオシャレなサウンドで表現したグループであり、日本でも当時から高い人気を誇っていましたね。

全英チャートで第2位を記録したデビュー・アルバム『Café Bleu』は、そんなスタイル・カウンシルの雑多な音楽性に裏打ちされたバラエティ豊かな楽曲がずらりと並ぶ名盤であり、後の作品と比べるとネオアコ度も高めの逸品です。

ボッサ・テイストなギターがしゃれた味わいの『The Whole Point Of No Return』や、エヴリシング・バット・ザ・ガールのトレイシー・ソーンさんがコーラスで参加した『The Paris Match』、日本でリリースされたネオアコ・コンピのタイトルとしても引用された『Headstart For Happiness』など、ネオアコ好きならたまらない楽曲が多数収録されていますよ。

有名曲にして大名曲『My Ever Changing Moods』については、ピアノの伴奏とウェラーさんの歌声のみのバージョンとなっており、これはこれで最高なのですが、バンド・サウンドのバージョンを聴きたい方はベスト盤やネオアコのコンピレーション盤などをチェックしましょう!

Drop Out

Freeze OutEast Village

たった1枚のアルバムやEPを残して解散、というバンドにこそ熱狂的なファンが多かったりするのもネオアコというジャンルの奥深い一面なのですが、本稿で紹介するイースト・ヴィレッジもまさにそういった存在の1つ。

イギリス出身の彼らは1987年に結成、いくつかのシングルをリリースするも1991年に解散しまうのですが、1993年に名門インディーズ・レーベルのヘヴンリー・レコーズより唯一のアルバム『Drop Out』がリリースされています。

一時期はプレミア価格が付くほど中古市場で高騰していましたが、2002年に一度アナログ盤で国内初リリース、2006年にはCD2枚組のデラックス・エディションで再発、こちらも日本でもリリースされました。

2013年にはアナログ盤で再びリイシューされているほどに、ネオアコ~ギターポップ界隈では高い人気を誇るマストな1枚として知られているのですね。

肝心の音はといえば、珠玉のメロディと繊細なバンド・アンサンブルが織り成す、色あせない名曲がこれでもかと詰め込まれた素晴らしいアルバムとなっております。

ネオアコ~ギターポップの作品はアートワークが特徴的でオシャレなものが多く、ジャケット自体が名盤たる理由の1つとなっている印象があります。

そういう意味でも、映画の一場面を切り取ったような美しい本作のアルバム・ジャケットは、アナログ盤でこそ所有していただきたいと感じますね!