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【洋楽】ポストハードコアとは~代表的なバンドまとめ

洋楽や邦楽を問わず、エモやラウドといった形で紹介されるバンドをお好きな方であれば、一度は「ポストハードコア」なるジャンルを目にしたことがありますよね。

1970年代後半から始まったハードコアパンクを出自とするバンドたちの中で、既存のハードコアに収まりきらない独自の音を鳴らす面々が「ポストハードコア」と呼ばれるようになったのですが、さらにエモコアやスクリーモなどの派生ジャンルが生まれ、2000年代以降はより広い意味で使われており、定義付けが非常に難しいジャンルです。

今回の記事では、そんなポストハードコアの形成という意味で重要な役割を果たした、1980年代から1990年代にかけてデビューしたバンドを一挙紹介します!

【洋楽】ポストハードコアとは~代表的なバンドまとめ(11〜20)

FazerQuicksand

2022年の11月に再来日公演が決定している伝説のポストハードコアバンド、クイックサンド。

1980年代後半のニューヨークハードコアシーンにおいて象徴的なバンドの一つ、ゴリラ・ビスケッツのギタリストとして著名なウォルター・シュライフェルズさんを中心として1990年に結成され、1990年代に2枚のアルバムを、2012年にまさかの再結成を果たして5年後には復活作となるサード作、2021年には4枚目のアルバム『Distant Populations』を発表しています。

彼らのディスコグラフィを眺めていて興味深いのは、デビューEPこそハードコアの名門レーベルである「Revelation Records」よりリリースしていますが、1993年のデビューアルバム『Slip』の時点で早速メジャーデビューを果たしているのですよね。

期待されていたということの証左とも言えそうですが、残念ながら商業的な成功は収められませんでした。

とはいえ彼らの生み出したポストハードコアサウンドからの影響を口にする後続のバンドは多く、やはりクイックサンドもポストハードコア史における重要なバンドであることには変わりません。

そんな彼らの音楽性は、フガジやジョーボックスなどの影響を感じさせつつも、メタリックで硬質なギターのリフが随所に盛り込まれているというのが特徴的。

ヘルメットなどのバンドによるオルタナティブメタルと呼ばれるジャンルに近しい質感であり、そのような感性から生まれる独自のソリッドなグルーヴは彼らならではのものですね。

さらに言えば初期の頃にザ・スミスの名曲『How Soon Is Now?』をカバーするなど、UKロックへの憧れも感じさせる音作りにも注目してみてほしいですね。

PorcelainThursday

今回の記事では2000年代以降のいわゆるスクリーモと呼ばれたバンドは取り上げていないのですが、その走りとも言えるサーズデイはポストハードコアという流れにおいても重要なバンドですから、00年代初頭のスクリーモを代表するという意味でも今回紹介させていただきます。

1997年にニュージャージーにて結成されたサーズデイは、初期のスクリーモの中ではザ・ユーズドやフィンチといったバンドよりも少し先輩格にあたる存在であり、記念すべきデビューアルバム『Waiting』が1999年に発表されていることも踏まえて、サーズデイの存在が90年代のアンダーグラウンドなポストハードコアと00年代以降の商業的にも大きな成功を収めるスクリーモシーンを繋いだといっても過言ではありません。

彼らの名をシーンに知らしめるのは名門エピタフレコーズにて発表した大傑作セカンド『Full Collapse』ですが、後にあのマイ・ケミカル・ロマンスを輩出したことでも知られている「Eyeball Records」よりリリースされた前述の『Waiting』を聴けば、ニューメタルが支配していた1990年代末期のアメリカのロックシーンの裏側で新たな可能性が芽生えていたことが理解できるはずです。

サウンドプロダクションや演奏能力はインディーズらしくまで稚拙ながら、フロントマンのジェフ・リックリーによる内省的な歌詞とナイーブなボーカルとスクリームが交差するコントラストはまさにスクリーモの走りですし、収録曲に『Ian Curtis』という楽曲があることからも分かるように、ニューウェーブなどのUKロックから影響を受けていることも注目すべき点でしょう。

ラウドでメタリックなスクリーモとは違う繊細なエモーションが渦巻くサーズデイの音世界もまた、ポストハードコアが生んだ素晴らしい可能性の一つであったと言えそうです。

Iron Clad LouHum

1990年代のオルタナティブロックと呼ばれるバンドたちの成功の裏で、知名度は劣るものの後続のアーティストたちに大きな影響を与えたというバンドは少なからず存在します。

本稿で紹介するハムはまさにそういったバンドの一つで、今回の記事のテーマであるポストハードコアとオルタナティブロックの橋渡し役のような音を鳴らしていたグループです。

1989年にイリノイ州にて結成、2000年に解散したということでまさに1990年代の激動の音楽シーンを駆け抜けたバンドなのですね。

インディーズ時代にリリースされた2枚のアルバムは、メジャー以降で見せる壮大なサウンドスケープはまだ感じ取れないものの、同時代のオルタナティブロックに影響を受けつつ、シューゲイザーやオルタナティブメタルなどの要素も取り入れて、音楽的にも自由度の高いポストハードコア的なアプローチを模索していることが分かるという意味で興味深い内容です。

そんな彼らの本領が発揮されるのが、1996年にリリースされたメジャー第一弾『You’d Prefer an Astronaut』でしょう。

スマッシング・パンプキンズ的なドラマチックなオルタナティブロックに加えて、スペースロックと呼ばれるスケールの大きい音響的な冒険を導入して独自の音楽性を手にしました。

収録曲の『Stars』がヒット、バンドとしては最も売れた作品となっています。

1998年の次作『Downward Is Heavenward』では完全に彼らならではの音世界を確立、包み込むような轟音ギターと静と動を駆使した叙情的かつ壮大な楽曲展開が見事な傑作を生みだしたのです。

ハードコアの要素は控えめでオルタナティブロック寄りではあるのですが、ポストハードコアのまた違った可能性を示したバンドとして、ぜひ知ってもらいたいですね!

Mistakes And Regrets…And You Will Know Us by the Trail of Dead

And You Will Know Us By The Trail Of Dead – Mistakes And Regrets (Lyric Video)
Mistakes And Regrets...And You Will Know Us by the Trail of Dead

長いバンド名が印象的なアンド・ユー・ウィル・ノウ・アス・バイ・ザ・トレイル・オブ・デッドは、1994年にテキサス州オースティンにて結成されたポストハードコア~オルタナティブロックバンドです。

2022年には最新アルバム『XI: Bleed Here Now』をリリース、現在もバリバリの現役として長きに渡って活動を続ける彼らは、マルチプレイヤーであるオリジナルメンバーの2人が核となっており、それ以外のメンバーは流動的というのも特徴的ですね。

そんな彼らの名前を一躍世間に知らしめたのは、1999年にリリースされたセカンド作『Madonna』です。

アメリカの著名なインディーズレーベルのマージレコードからリリースされ、ヒンズー教の女神の肖像画をジャケットに用いたアートワークのインパクトもさることながら、ソニック・ユースばりのノイズや時に叙情的なギター、手数の多いダイナミックなドラムス、美しいメロディとポストロックからの影響も感じさせるドラマチックな楽曲展開で魅せるサウンドは高く評価され、2019年にはリリース20周年を記念してここ日本でも単独の来日公演が実現したほどなのですね。

2002年には傑作と名高いメジャー第一弾『Source Tags & Codes』を発表、オルタナティブロックやポストハードコアといった枠内をこえる芸術的な音世界で世間をあっと言わせました。

その後も彼らの創造性は衰えることもなく、自らの美学に基づいた作品をリリースし続けています。

早々に解散してしまうバンドも多い中、彼らのように高い水準を保ちながら活動を続けている存在は、実に貴重だと言えるでしょう。

Head ColdHeroin

2000年代においてサーズデイやザ・ユーズド、フィンチにセイオシンなどのスクリーモと呼ばれるバンドが商業的にも成功を収めて一大ムーブメントとなりましたが、スクリーモという言葉自体は1990年代から存在していました。

もちろん該当するバンドたち自身が言い出したジャンルではないのですが、音楽用語としてメディアの中ですでに使われていた、ということなのですね。

そんな「スクリーモ」の先駆的なバンドであり、ポストハードコア史においても重要なバンドがサンディエゴ出身のヒロインです。

サンディエゴのアンダーグラウンドシーンにおいて重要な役割を果たしたレーベル「Gravity Records」の発足初期を代表するバンドでもあり、1989年の結成から1993年の解散までの短い活動期間の中で残した数少ない音源は、後続のバンドたちに多大なる影響を及ぼしています。

タフなスクリームではなく、どこか悲哀を帯びた絶叫とナイーブなクリーンパートはまさに「プレスクリーモ」と呼びたいサウンドであり、内省的なエモーションが炸裂する様はまさに激情ハードコアの先駆的存在。

疾走パートもそれほど爽快なものではなく、どこか盛り上がりきらないようなやるせなさも漂う雰囲気がポストハードコア的で実に良いですね。

洗練されたスクリーモに慣れている方には物足りなさも感じるかもしれませんが、ポストハードコアやスクリーモの歴史に興味のある人であれば、バンドの解散後にリリースされた彼らのディスコグラフィ盤『Destination』は確実に入手しておくべきと断言しましょう。