【80年代ノスタルジー】SYNTHWAVEの世界とは~オススメの人気曲
すでに海外では大きなムーブメントとなっている音楽ジャンル、その名も「SYNTHWAVE」をご存じですか?
80年代のレトロなシンセサイザー・サウンドや映画にドラマといったカルチャー全般から影響を受け、アートワークも含めてノスタルジックかつレトロフューチャーな雰囲気の世界観を作り上げているジャンルなのですね。
宅録系のアーティストたちがネットを中心に発表していたという経緯があり、ローファイヒップホップ辺りと同じくネット発の音楽として世界的な注目を集めています。
そこで今回は、まだ日本ではあまり知られていない「シンセウェイヴ」の世界を彩る名曲を一挙ご紹介します!
夜のドライブのBGMとしても、ぜひお楽しみください。
【80年代ノスタルジー】SYNTHWAVEの世界とは~オススメの人気曲(1〜10)
In The Face Of EvilMagic Sword

Magic Swordというバンド名だけ見れば、エピックなメタル・バンドかと勘違いされる方もいらっしゃるかもしれませんが、アメリカはアイダホ出身のシンセウェイヴ・トリオです。
とはいえその印象はあながち間違いというわけではなく、シンセウェイヴにおける基本の80年代テーマの中では、ファンタジーRPGや映画を思わせるシンフォニックな要素を持ち合わせ、ドリーミーでポップなシンセウェイヴとはまた違った形のサウンドを提示しているグループなのですね。
今回紹介している『In The Face Of Evil』は2015年にリリースされた楽曲で、2017年に公開された映画『マイティ・ソー バトルロイヤル』のオフィシャル・トレイラーにも起用されましたから、Magic Swordの名前は知らずとも曲だけは聴いたことがある、という方もいらっしゃるのではないでしょうか。
シリアスでヘビーなシンセ・サウンドを軸としながらも、途中から導入されるシンプルながらも高らかに響き渡るギターのロング・トーンの音色は、それこそファンタジーをテーマとしたメタルと共通するエピックな要素と言えましょう。
1982 Space ProgramWaveshaper

シンセウェイヴというジャンルは、アーティストやユニット名、楽曲のタイトルの時点で80年代愛をさらけ出しているパターンが多いように感じますが、ここで取り上げている『1982 Space Program』はまさに直球といった雰囲気ですね。
WaveshaperはTom Anderssonさんというスウェーデンの電子音楽家によるアーティスト名義で、80年代カルチャーはもちろんクラフトワークやダフト・パンク、ジャン・ミッシェル・ジャールさんといった偉大な電子音楽家から影響を受けているのだそう。
シンセウェイヴ界における神様の1人、ジョン・カーペンター監督が自らナレーションを務めたシンセウェイヴのドキュメンタリー映画『The Rise of the Synths』にも出演していますね。
そんなWaveshaperによる『1982 Space Program』は2015年に発表された楽曲で、同年リリースのアルバム『Exploration 84』にも収録されています。
王道のシンセウェイヴといった趣で、レトロなシンセ・サウンドはビジュアル・イメージも相まってどこかスペーシーな空気感を持ち合わせ、ダンス・ミュージック的でもあり映画のスコアのようでもある、といった質感が印象的ですね。
BrokendateCom Truise

トム・クルーズさんの名前をもじったステージネームに何とも言えない脱力感を覚えますが、徹底的にシンセ・サウンドにこだわった音作りでエレクトロニック・ミュージック界隈で注目を集めているのがアメリカ出身のCom Truiseさんです。
ダフト・パンクが手掛けたサウンドトラック『Tron: Legacy』のリミックス盤『Tron: Legacy Reconfigured』に参加しており、そこで名前を知ったという方もいらっしゃるのでは?
2011年にリリースしたフル・アルバム『Galactic Melt』は、80年代的でノスタルジックなシンセ・サウンドを軸としながらも、エレクトロニカやシンセ・ファンクなどさまざまなジャンルを内包し、自由奔放に飛び交う電子音楽がレトロで楽しい逸品。
「Boads Of Canadaが80年代にタイムスリップしたような」などと形容されている、という時点で普通じゃないですよね。
本稿で紹介している楽曲『Brokendate』は、そんな個性的なアルバム収録曲の中でもひときわノスタルジー度が高めで、アナログ・シンセサイザーを使った遊び心を感じる電子音の中に潜む切ないメロディが印象的な人気曲です。
AndromedaDance with the Dead

ユニット名とロゴを見て、往年のホラー映画好きなら思わずニヤリとしてしまうのでは?
カリフォルニアはオレンジカウンティで結成された2人組による音楽デュオのDance With The Deadは、メンバーがもともとメタル・バンドでプレイしていたという経歴を持ち、サウンドにも大々的にハードなギターをフィーチャーしているのが大きな特徴です。
80年代のカルチャーから大いにインスパイアされ、ホラー映画にジョン・カーペンター監督といった、シンセウェイヴを成立させる上で欠かせない要素を持ち合わせつつ、切なくメロディックなシンセウェイヴとはまた一味違う音世界を提示しているグループなのですね。
本稿で取り上げている楽曲『Andromeda』は、2014年にリリースされたアルバム『Near Dark』に収録されているキラーな名曲!
緊張感に満ちたソリッドなシンセ・サウンドを軸としつつ、ハードなギターが鳴り響くスタイルはメタルがお好きな方の心をも確実にとらえるはず。
とはいえ重々しくはなりすぎず、あくまでキャッチーかつメロディアスな楽曲として昇華しているセンスが個人的にもぐっときますね。
80年代ホラー好きはもちろん、ダンス・ミュージックやインダストリアル・メタルなどが好きという方にもオススメです!
A Race Against TimePYLOT

シンセウェイヴは決してアナログ・シンセだけが使用されているわけではなく、ギター・サウンドをフィーチャーしている楽曲も多く存在しています。
80年代の映画『処刑ライダー』の主人公のようなヘルメットを装着したアーティスト・ビジュアルで、正体不明で経歴も謎に包まれているPYLOTは、2015年にデビュー・シングルをリリースした音楽プロデューサーです。
本稿で取り上げている『A Race Against Time』は4枚目となるシングル曲で、レトロな80年代シンセ・サウンドをベースとしながらも、なかなかラウドなバッキング・ギターが良いアクセントとなっている名曲です。
あくまで主軸はシンセ・サウンドであり、ここでのギターはサウンドをより分厚いものとするため、くらいの雰囲気で導入されているバランス感覚がポイントですね。
静と動をうまく演出した楽曲展開も、ドラマチックで実にカッコいい。
もちろんロマンティックなメロディ・ラインも随所に盛り込まれていますよ。
余談ですが、PYLOTの正体はRundfunkという名義でも活動していたエレクトロ系のミュージシャンであるTim Butlerさん、とのことです。