【80年代ノスタルジー】SYNTHWAVEの世界とは~オススメの人気曲
すでに海外では大きなムーブメントとなっている音楽ジャンル、その名も「SYNTHWAVE」をご存じですか?
80年代のレトロなシンセサイザー・サウンドや映画にドラマといったカルチャー全般から影響を受け、アートワークも含めてノスタルジックかつレトロフューチャーな雰囲気の世界観を作り上げているジャンルなのですね。
宅録系のアーティストたちがネットを中心に発表していたという経緯があり、ローファイヒップホップ辺りと同じくネット発の音楽として世界的な注目を集めています。
そこで今回は、まだ日本ではあまり知られていない「シンセウェイヴ」の世界を彩る名曲を一挙ご紹介します!
夜のドライブのBGMとしても、ぜひお楽しみください。
【80年代ノスタルジー】SYNTHWAVEの世界とは~オススメの人気曲(11〜20)
I Am The ProgramMega Drive

近未来的な、まるでSF映画であったりゲーム音楽のような独特の緊張感を感じさせるイントロがすでにかっこいいですね!
『I Am The Program』という楽曲のタイトルの時点で、サイバーパンク的な雰囲気を作り出しているMega Driveは、アメリカ出身のシンセウェイヴ系のアーティストです。
過去のリリース作品のアートワークを見てもわかるように、一貫した世界観を感じさせ、場合によっては「Darksynth」というジャンルの枠内でも語られているようです。
今回取り上げた『I Am The Program』は2013年に発表された楽曲で、シンセウェイヴを知るには欠かせない人気音楽チャンネル「NewRetroWave」がYouTubeで公開しているものは660万回以上の再生回数を誇り、同年に発表されたアルバム『Hardwired』にも収録されている人気曲です。
レトロでいてどこか新鮮さを感じさせる、ダークなインストゥルメンタル曲は歌モノの切ないメロディを押し出したシンセウェイヴとはまた違った魅力がありますね。
海外のゲーム『Hotline Miami 2』のサントラにも参加していますから、興味のある方は要チェックです!
Who You Run ToThe Bad Dreamers

歌モノのシンセウェイヴがお好きな方に、ぜひオススメしたい名曲です!
LAを拠点として活動を続けるThe Bad Dreamersは、同系統のサウンドを鳴らしている先駆者FM-84とツアーを行うなど、シンセウェイヴのファンの間で注目を集めている存在です。
ダークな印象を受けるアーティスト名ですが、楽曲はどこまでもメロウでロマンチック、やはり「夜」を感じさせる雰囲気が最高なのですね。
『Who You Run To』は、そんなThe Bad Dreamersにとっての記念すべきデビュー・シングル曲。
2017年にリリースされ、その完成度の高さに多くのシンセウェイヴ好きが心を奪われた人気の楽曲です。
いかにも80年代風のタイトなドラムス、キラキラしたシンセの音色はどこか切なく、適度に導入されているギター、エモーショナルなメロディを歌い上げるボーカルが実に良い。
こちらの楽曲が収録されている2018年のデビュー・アルバム『Songs About People Including Myself』は、なんと全編ボーカル入りという内容ですから、80年代のAOR的な雰囲気が好きという音楽ファンも確実に気に入るはずです!
New TomorrowMiami Nights 1984

1980年代の大人気ドラマ『特捜刑事マイアミ・バイス』は、シンセウェイヴ界において良く使われるモチーフの1つですが、ユニット名で堂々と主張しているのがMiami Nights 1984です。
カナダ出身のMichael Gloverさんによるシンセウェイヴ・プロジェクトで、自身の楽曲はもちろんGUNSHIPなどの人気のシンセウェイヴ系のアーティストのリミックスなども手掛けている存在。
2012年に彼が発表した『New Tomorrow』は、文句の付けようがないほどにシンセウェイヴの王道を突き進む名曲です!
イントロから鳴り響くレトロ感満載のシンセ・ベースの時点でもうノックアウト必至、メロウで心地良い上モノのきらめくシンセのフレーズも印象的でお見事なクオリティですね。
メジャー・キーで明るくポジティブな雰囲気にもかかわらず、どこか切なさや哀愁といった要素をしのばせている、というのもシンセウェイヴにおける重要な要素だと言えましょう。
同年にリリースされたアルバム『Turbulence』も、合わせてチェック!
Crockett’s ThemeMichael Cassette

アーティスト名の時点で、80年代レトロを主張しているのが実にダサかっこいいMichael Cassetteさんは、フィンランドのDJ兼プロデューサーでもともとはKomyteaというデュオを組んでいたそうです。
プログレッシブ・ハウス~トランス界隈で活躍しており、イギリスの著名な音楽レーベルAnjunabeats傘下のAnjunadeepから作品をリリースしている、という経歴を鑑みても純然たるシンセウェイヴのアーティストとは言えないかもしれません。
とはいえ、2010年にリリースしたアルバム『Temporarity』には80年代のエレクトロニック・ミュージックの要素を全面に押し出したドラマチックなサウンドが展開されており、シンセウェイヴの先駆的な作品として聴ける名盤なのですね。
本稿で取り上げた『Crockett’s Theme』は、同アルバムに収録されている楽曲で原曲はチェコスロバキアの作曲家、ヤン・ハマーさんが作曲したもの。
シンセウェイヴ界においても定番の80年代テーマといえる、人気のテレビ番組『特捜刑事マイアミ・バイス』の登場人物のテーマ曲ということで、この曲を取り上げるセンスがいかにもシンセウェイヴの精神とつながっている、と言えましょう。
NightdriveVHS Dreams

ともあれ、まずはアーティスト名と楽曲を確認してください。
「VHS Dreams」で楽曲が『Nightdrive』……これがシンセウェイヴの楽曲でなかったらどうなんだ、というくらいの主張に感動さえ覚えてしまいます。
ギリシャ生まれでイギリスを拠点とするGeorge DervenagasさんによるVHS Dreamsは、初期はVaporwave的なスタイルを指向していたようですが、本稿で紹介している『Nightdrive』も収録されている2015年のアルバム『Trans Am』から、シンセウェイヴとされる音世界へと接近した経緯があるのですね。
ややチープなリズム・マシーンのドラムとループするシンセ・ベースがトラックを先導し、キラキラした上モノのメロディはいかにもシンセウェイヴらしい哀愁を感じさせます。
とはいえ、あからさまにキャッチーというわけではなく、さりげないポップさといったバランス感覚が印象的で、ほんのりダークな雰囲気を作り上げているのが良いですね。
ただ単に明るいだけではない、80年代のまた違った側面を現代的な形で表現した楽曲と言えそうです。
Scarlet Speedster (feat. Rhea Raj)Wayfloe

EDMを通過した現代的な重めのビートと、80年代リスペクトの浮遊するレトロなシンセ音、アンニュイな女性ボーカルのメロディ……こういった要素を目にするだけで興味を覚えてしまう方、こちらの『Scarlet Speedster』をぜひ聴いてください!
スタイリッシュなアーティスト写真が実にクールなWayfloeは、シンセウェイヴ界では若手と言えるカナダ人とフランス人による音楽デュオです。
2019年にはデビュー・アルバム『NeonWest』をリリースしており、本稿で紹介している『Scarlet Speedster』も収録されています。
Rhea Rajさんという女性シンガーを迎えたこちらの楽曲は、冒頭で述べたようにシンセウェイヴらしさが詰まった名曲であり、歌モノではありますが歌が主張しすぎることはなく、トラックが持つ世界観と一体化しているようなバランス感覚が印象的ですね。
アルバム全体的にも、インストゥルメンタル曲とシンガーを迎えた楽曲、どちらもそういった雰囲気を持った音世界というのがWayfloeの特徴と言えましょう。
シンセウェイヴはもちろん、歌モノのEDMやエレクトロニカが好きな方もいけるはず!
おわりに
こうして一連の代表的な名曲や人気の楽曲を聴くことで、SYNTHWAVEの実態がほんの少しでも見えてきたのではないでしょうか?
まだまだ日本ではそこまで知られていないカルチャーですから、今回の記事を足掛かりに興味深き音楽ジャンル「シンセウェイヴ」のレトロフューチャーな夜の世界へと、ぜひ一歩踏み込んでみてくださいね!