【80年代ノスタルジー】SYNTHWAVEの世界とは~オススメの人気曲
すでに海外では大きなムーブメントとなっている音楽ジャンル、その名も「SYNTHWAVE」をご存じですか?
80年代のレトロなシンセサイザー・サウンドや映画にドラマといったカルチャー全般から影響を受け、アートワークも含めてノスタルジックかつレトロフューチャーな雰囲気の世界観を作り上げているジャンルなのですね。
宅録系のアーティストたちがネットを中心に発表していたという経緯があり、ローファイヒップホップ辺りと同じくネット発の音楽として世界的な注目を集めています。
そこで今回は、まだ日本ではあまり知られていない「シンセウェイヴ」の世界を彩る名曲を一挙ご紹介します!
夜のドライブのBGMとしても、ぜひお楽しみください。
【80年代ノスタルジー】SYNTHWAVEの世界とは~オススメの人気曲(1〜10)
Neo Tokyo (Dance With The Dead Remix)Scandroid

強烈なギターとシンセが大胆に絡み合うダンサンブルなイントロだけで、一気に持っていかれてしまう最高のキラーチューン!
Celldweller名義の活動でも知られている、マルチ・インストゥルメンタリストのKlaytonさんが2013年に新たにスタートさせたScandroidは、シンセウェイヴ界隈の中でも大きな注目を浴びている存在です。
80年代的要素をレトロなシンセ・サウンドを用いながらも現代的な形で表現している、という点では他のアーティストと同じではありますが、Scandroidについてはよりロック色が強いのが特徴的ですね。
そんなScandroidによる『Neo-Tokyo』は、2016年に発表されたセルフタイトルのデビュー作に収録された楽曲で、今回紹介しているのは翌年の2017年にリリースされたリミックス版です。
同じくシンセウェイヴの人気ユニットにしてロックやメタル色の強いDance with the Deadによるリミックスで、原曲以上にハードな仕上がりとなっております。
YouTube上で1,300万回以上も再生されていることからも、このリミックス版の突出した人気ぶりが理解できるはず。
サイバーパンク風のビジュアル・イメージもバッチリですし、やはりAKIRAからインスパイアされているのかな……と個人的には予想しています。
AndromedaDance with the Dead

ユニット名とロゴを見て、往年のホラー映画好きなら思わずニヤリとしてしまうのでは?
カリフォルニアはオレンジカウンティで結成された2人組による音楽デュオのDance With The Deadは、メンバーがもともとメタル・バンドでプレイしていたという経歴を持ち、サウンドにも大々的にハードなギターをフィーチャーしているのが大きな特徴です。
80年代のカルチャーから大いにインスパイアされ、ホラー映画にジョン・カーペンター監督といった、シンセウェイヴを成立させる上で欠かせない要素を持ち合わせつつ、切なくメロディックなシンセウェイヴとはまた一味違う音世界を提示しているグループなのですね。
本稿で取り上げている楽曲『Andromeda』は、2014年にリリースされたアルバム『Near Dark』に収録されているキラーな名曲!
緊張感に満ちたソリッドなシンセ・サウンドを軸としつつ、ハードなギターが鳴り響くスタイルはメタルがお好きな方の心をも確実にとらえるはず。
とはいえ重々しくはなりすぎず、あくまでキャッチーかつメロディアスな楽曲として昇華しているセンスが個人的にもぐっときますね。
80年代ホラー好きはもちろん、ダンス・ミュージックやインダストリアル・メタルなどが好きという方にもオススメです!
Running In The Night (feat. Ollie Wride)FM-84

80年代と聞いてラジオから流れるミュージックを思い出す、という方は多いはず。
そんなノスタルジアを名前で体現してしまっているのがFM-84です。
サンフランシスコを拠点として活動を続けるFM-84ことCol Bennettさんは、シンセウェイヴの中でも質の高いサウンド・プロダクションとソングライティングから生み出される、多くの世代にアピールできるエモーショナルな楽曲が特徴的なアーティスト。
真夜中の高速をドライブしながら聴きたい楽曲が盛りだくさんの名盤、2016年にリリースされたフル・アルバム『Atlas』に収録されている『Running In The Night』を今回は紹介します。
イントロのいかにも80年代的な電子ドラムによるスネアの音と、どこか哀愁を帯びた淡いシンセの音色だけでもう気持ちは「BACK TO THE 80’S」。
ゲスト・ボーカルとして参加しているOllie Wrideさんによる艶やかでエモーショナルな歌声で紡がれるメロディの美しさは、当時大ヒットした楽曲なのではないかと錯覚してしまうほどに素晴らしい。
当時を懐かしむだけでなく、あくまで2010年代以降の音楽として鳴らされているのが良いですね。
余談ですが、こちらのMVを公開している「NewRetroWave」は、シンセウェイヴを掘り下げたい人であれば確実にチャンネル登録すべきです!
A Real HeroCollege & Electric Youth

『Nightcall』と並んで、シンセウェイヴの名曲を語る上で欠かせない重要な楽曲と言えましょう。
フレンチ・エレクトロ系アーティストのDavid Grellierさんによるシンセポップ~シンセウェイヴのプロジェクトCollegeと、カナダ出身のシンセポップ・デュオであるElectric Youthがコラボレーションして発表した『A Real Hero』は2010年にシングルとしてリリースされ、2011年に公開された映画『ドライヴ』に起用されたナンバーです。
ほんのり哀愁を帯びた切ないメロディを歌う女性ボーカルを軸として、80年代エレクトロポップ直系の揺らめくシンセと、スペーシーな音響を用いた幻想的な世界観を演出する音世界はノスタルジックかつドリーミーで聴きやすく、初めてこういった音楽を聴く方であっても抵抗なく楽しめるはず。
個人的には、2010年代以降のM83とかがお好きな方にもオススメ!
ちなみにタイトルにもなっている「真のヒーロー」については、偉大な功績を残して「ハドソン川の英雄」と呼ばれている空軍出身の民間航空機パイロット、チェズレイ・サレンバーガーさんをテーマとしているのだとか。
いわゆる「USエアウェイズ1549便不時着水事故」と呼ばれる航空事故について調べつつ、歌詞を読んでいただきたいですね。
NightcallKavinsky

「SYNTHWAVE」という音楽ジャンルに興味を持たれた方であれば、まずは聴くべき王道にしてクラシックと言っても過言ではないナンバー!
2011年に公開され、ニコラス・ウィンディング・レフン監督の知名度を世界的なものとした名作映画『ドライヴ』に起用されたこちらの『Nightcall』は、フランス出身のプロデューサー兼DJであるKavinskyさんが2010年に発表した楽曲です。
ややシリアスなイントロから、ヴォコーダーを使ったボーカルが雰囲気を盛り上げつつ、サビの女性ボーカルによる切ないメロディがどこか郷愁を誘う、シンプルながらも洗練されたトラックが独自の音世界を作り上げる見事なナンバーですね。
あのダフト・パンクの片割れであったギ=マニュエル・ド・オメン=クリストさんが共同プロデュースを務め、ミックスには同じくフランス出身の著名なエレクトロニック系ミュージシャンのセバスチャンさんが参加、ということでフレンチ・エレクトロ業界の名手たちの仕事ぶりにも注目です。
また、映画『ドライヴ』自体がシンセウェイヴ系のアーティストたちの楽曲を多くサウンドトラックに使用しているという事実も見逃せません。
楽曲を気に入った方は、確実にサントラもチェックしましょう!
In The Face Of EvilMagic Sword

Magic Swordというバンド名だけ見れば、エピックなメタル・バンドかと勘違いされる方もいらっしゃるかもしれませんが、アメリカはアイダホ出身のシンセウェイヴ・トリオです。
とはいえその印象はあながち間違いというわけではなく、シンセウェイヴにおける基本の80年代テーマの中では、ファンタジーRPGや映画を思わせるシンフォニックな要素を持ち合わせ、ドリーミーでポップなシンセウェイヴとはまた違った形のサウンドを提示しているグループなのですね。
今回紹介している『In The Face Of Evil』は2015年にリリースされた楽曲で、2017年に公開された映画『マイティ・ソー バトルロイヤル』のオフィシャル・トレイラーにも起用されましたから、Magic Swordの名前は知らずとも曲だけは聴いたことがある、という方もいらっしゃるのではないでしょうか。
シリアスでヘビーなシンセ・サウンドを軸としながらも、途中から導入されるシンプルながらも高らかに響き渡るギターのロング・トーンの音色は、それこそファンタジーをテーマとしたメタルと共通するエピックな要素と言えましょう。
Tech NoirGUNSHIP

00年代以降のUKロック~ポップがお好きな方であれば、バステッドという人気バンドをご存じでしょう。
そのバステッドのメンバーであるチャーリー・シンプソンさんによる別バンド、ファイトスターに在籍しているボーカリストとベーシストが新たに始めたプロジェクトのGunshipは、まさに80年代レトロ一直線のシンセウェイヴ・サウンドを鳴らしているユニットです。
グランジやオルタナティブ・ロックに影響を受け、いかにも00年代的なポスト・ハードコア~スクリーモを鳴らしていたファイトスターを知っている方は驚いてしまうかもしれませんが、このような音楽センスを持ったメンバーもいたのか……とむしろ感心してしまいます。
2015年に発表された『Tech Noir』は、そんな彼らが同年にリリースしたセルフタイトルのデビュー・アルバムに収録された楽曲です。
YouTube上では900万回以上も再生された人気曲で、こだわりの80年代的なキーワード満載の映像も楽しいメロディアスでノスタルジックな名曲なのですね。
エレクトロ系の音に抵抗のある方でも、すんなり入り込めるメロディの素晴らしさが際立っております。
もはや前身のバンドや経歴などを知らない層にも高い評価を得ている彼らの音世界を、ぜひこの機会に味わってみてください!