美しきエレクトロニカ~オススメの名曲・人気曲
「エレクトロニカ」と呼ばれるジャンルは電子音楽のサブジャンル的な扱いではありますが、その実態は曖昧でクラブ・ミュージック系のアーティストに限らず、とくに2000年代以降は多くのミュージシャンが「エレクトロニカ的」手法を取り入れた音楽を模索しています。
意識せずとも、私たちは自然とエレクトロニカ的な音を耳にしているのですね。
そこで今回は、いわゆるIDMと呼ばれる90年代初頭の代表曲を皮切りに、ポストロックやエレクトロ・シューゲイザー、ヒップホップの領域に至るまでさまざまな名曲を一挙ご紹介!
エレクトロニカ入門編のプレイリストとしても、ぜひ参考にしてみてください。
もくじ
- 美しきエレクトロニカ~オススメの名曲・人気曲
- OnAphex Twin
- FlutterAutechre
- fahrenheit fair enoughTelefon Tel Aviv
- HyperballadBjörk
- Endless SummerFennesz
- Halcyon On and OnOrbital
- Coopers WorldSquarepusher
- roygbivBoards of Canada
- DaydreamingRadiohead
- A French ComposerKettel
- HoppipollaSigur Rós
- StarsUlrich Schnauss
- Summer ColourI Am Robot & Proud
- Black List (Ft. Aesop Rock&MF Doom)Prefuse 73
- Bless This Morning YearHELIOS
- TendencyJan Jelinek
- Never Catch Me ft. Kendrick LamarFlying Lotus
- As Serious As Your LifeFour Tet
- Kim & JessieM83
- BibMouse on Mars
- Black PhaseTim Hecker
- DroppAutechre
- CIRKLON3Aphex Twin
- Love Grows Out Of Thin AirUlrich Schnauss
- Winter LinnClark
- GalvanizeThe Chemical Brothers
- FostercareBurial
- Still PretendingPrefuse 73
- We Own The SkyM83
- They Know Your NameMouse on Mars
- Papua New GuineaThe Future Sound of London
- Death After Life IThug Entrancer
- I ExhaleUnderworld
- GunshottaMachinedrum
- midwinter logμ-Ziq
- Ooh La LaGoldfrapp
- HajnalVenetian Snares
- MeteoriteYears & Years
- One More TimeDaft Punk
- FirestarterThe Prodigy
- GoMoby
美しきエレクトロニカ~オススメの名曲・人気曲(1〜20)
OnAphex Twin

1990年代以降のテクノ・シーンにおいて、最も重要かつ天才の名にふさわしいアーティストと言えば、やはりイギリス出身のエイフェックス・ツインことリチャード・D・ジェームスさんでしょう。
複数の名義を使い分け、驚くほど美しいアンビエント・ミュージックから暴走するハードなトラックに至るまで、その才能から生まれた革新的な音楽は時代もジャンルも超越したオリジナリティを誇り、2020年代を過ぎても高く評価され続けています。
今回取り上げている楽曲『On』は、1993年にエイフェックス・ツイン名義でリリースされた同名のEPに収録されたエレクトロニカ~IDMの大名曲!
悪趣味ギリギリの顔ジャケや、ハードなドリルンベースといったパブリックなイメージとはまた違った、どこから来たのか分からないほどに美しい音世界が表現されており、前年にリリースされた大傑作アルバム『Selected Ambient Works 85–92』とともに、エレクトロニカの歴史を知る上でも、初期のエイフェックス・ツインを知る上でも重要な楽曲だと言えましょう。
同日発売だったリミックス版『On Remixes』も名盤ですから、合わせてチェックしてください!
FlutterAutechre

2015年に英FACT Magazineが選出した「IDMのベスト・トラック」において、1位を獲得した楽曲がこの『Flutter』です。
ビョークさんやレディオヘッドといった名だたるアーティスト、バンドが影響を公言するイギリスの老舗テクノ・ユニットであるオウテカが、1994年にリリースしたEP作品『Anti EP』のラストを飾る楽曲です。
EP自体のコンセプトが「反復するビートを使ったエレクトロ・サウンドの規制」に対する反対表明であり、風刺の意味も込めて「反復するビートを含まない」楽曲として生まれたという経緯があるのですね。
単に享楽的な時間のためだけに生まれた、反復するビートで構成される安易なダンス・ミュージックに対するカウンターにもつながり、オウテカの素晴らしい創造性を余すところなく表現した楽曲だと言えましょう。
複雑に絡み合うブレイクビーツが少しずつ変化していく楽曲展開、浮遊するメロディの比類なき美しさ……いつ聴いても新しい発見がある名曲中の名曲です。
fahrenheit fair enoughTelefon Tel Aviv

おそらく、2000年代以降の美メロが際立つ叙情系エレクトロニカの中では、最も有名かつ人気の高い楽曲の1つではないでしょうか。
アメリカはシカゴを拠点とする2人組として1999年に結成されたTelefon Tel Avivは、2009年にメンバーの1人であるチャールズ・クーパーさんが亡くなられるまでに3枚のオリジナル・アルバムをリリース、ここ日本においても高い評価と人気を誇る音楽ユニットです。
本稿で紹介している楽曲は、2001年にリリースされた傑作ファースト・アルバム『Fahrenheit Fair Enough』のタイトル・トラック。
当時、このアルバムを聴いてエレクトロニカ~IDMといったジャンルの美しさを知った、というロック畑の音楽ファンは結構多いのではないでしょうか。
一時期は廃盤となって中古市場で高騰していた時期もありましたが、2016年にはボーナストラックも追加されたリマスター盤が再発されています。
この楽曲を聴くだけでもわかるように、イントロから耳に飛び込んでくるセンチメンタルなメロディ、自由奔放ながらも耳当たりのいい電子音、浮遊する音世界はまさに夢見心地の時間をリスナーに提供してくれるものです。
在宅ワークなどの作業用のBGMとしても、リラックス・タイムを過ごすときに流したいBGMとしても、大推薦の楽曲ですよ!
HyperballadBjörk

アイスランドの至宝、ビョークさんによる音楽史に残る名曲です!
1977年に12歳という年齢でアルバム・デビューを果たしたビョークさんは、ザ・シュガーキューブスといったバンドの活動を経て、1993年に実質的なソロ・デビュー作『Debut』をリリース。
唯一無二の歌声とハウスを取り入れた先鋭的なサウンドで、世界中で大ヒットを記録。
その後のさまざまなフィールドにおける活躍はここで語るまでもないですが、そんなビョークさんが1995年にリリースされて世界的なヒットとなった『Post』に収録された『Hyperballad』は、ジャンルをこえて人気の高い楽曲で、多くのアーティストやバンドがカバー・バージョンを披露していますよね。
故郷アイスランドではなくイギリスはロンドンにてレコーディングされ、最先端のテクノやアンビエント・ミュージック、フォークトロニカなどの要素をビョークさん流儀の抜群にポップな楽曲へと仕立て上げる手腕は、やはり天才の所業としか言えません。
「物語や寓意のある歌」という「バラッド」の持つ意味に沿った、叙情的な歌詞も素晴らしい。
純然たるエレクトロニカではないですが、エレクトロニカの要素を持ったこのような名曲があることをぜひ知っておいてください。
Endless SummerFennesz

『Endless Summer』というタイトル自体が、何だか郷愁を誘う雰囲気を感じさせます。
「フェネス」の名義で知られ、坂本龍一さんといった日本のアーティストとの共演経験もある、オーストリア出身のギタリスト兼作曲家のクリスチャン・フェネスさんが2001年にリリースした傑作アルバム『Endless Summer』の表題曲です。
ちりばめられたグリッチ・ノイズと生楽器によるアコースティック・サウンドが信じられないほどの美しさでもって融合し、聴く人を別の世界に連れて行ってくれるような作用を持ち合わせた、見事な名曲ですよね。
2000年代以降に広まった「フォークトロニカ」の先駆的な作品および楽曲でもあり、エレクトロニカの歴史において重要な楽曲の1つであることは間違いないでしょう。
同時に、実験的なアーティストによる作品を多く世に送り出している、オーストリアの名門レーベルMegoがリリース元ということにも注目していただきたいですね。
単なる雰囲気重視のエレクトロニカとは一線を画す前衛性、ノイズ・ミュージックとしての革新性があることは見逃せません。
ノスタルジックな叙情性は決して甘いものではなく、どこか乾いた印象を受けるのがまた素晴らしいのです。
Halcyon On and OnOrbital

1989年にハートノル兄弟の2人が結成、1990年代を代表するイギリスのエレクトロ・ミュージックの人気デュオとして活躍したオービタル。
2004年に解散していますが2009年に再始動を果たし、2014年に二度目の解散を発表、2017年に再び再始動して2020年代の今も現役で活動する大ベテランです。
彼らの初期の名曲にして代表曲の1つでもある『Halcyon』は、テクノの歴史においてとくに美しい名曲として高い人気を誇り、そこまでテクノに興味はないが美メロのエレクトロニカは好き、といった音楽ファンにもオススメの楽曲です。
アンビエント・ミュージックやアシッド・ハウスといった要素を持ち、レイブ・シーンの中で産声を上げた彼ららしい踊れるビートが軸としてありながらも、OPUS IIIの『IT’S A FINE DAY』という楽曲の女性ボーカルをサンプリングしたことで、浮遊する美しいメロディが心地良く、流麗な音世界を作り上げているのですね。
アルバム用にリミックスされた、9分をこえるバージョンの『Halcyon On and On』を個人的には推します!