美しきエレクトロニカ~オススメの名曲・人気曲
「エレクトロニカ」と呼ばれるジャンルは電子音楽のサブジャンル的な扱いではありますが、その実態は曖昧でクラブ・ミュージック系のアーティストに限らず、とくに2000年代以降は多くのミュージシャンが「エレクトロニカ的」手法を取り入れた音楽を模索しています。
意識せずとも、私たちは自然とエレクトロニカ的な音を耳にしているのですね。
そこで今回は、いわゆるIDMと呼ばれる90年代初頭の代表曲を皮切りに、ポストロックやエレクトロ・シューゲイザー、ヒップホップの領域に至るまでさまざまな名曲を一挙ご紹介!
エレクトロニカ入門編のプレイリストとしても、ぜひ参考にしてみてください。
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美しきエレクトロニカ~オススメの名曲・人気曲(1〜10)
DaydreamingRadiohead

私も含めて90年代に10代を過ごしてオルタナティブロックの洗礼を受けた音楽ファンにとって、レディオヘッドがエレクトロニカというジャンルを知るきっかけであった、という方は多いのではないでしょうか。
エレクトロニカからの影響を全面に押し出した、2000年リリースのアルバム『キッド A』は本当に衝撃的でしたよね。
近年は、エレクトロニカも自身の音楽性の1つとして自在に取り込むレベルにまでなったレディオヘッドが、2016年に発表したアルバム『A Moon Shaped Pool』は、まさにあらゆるジャンルを自らのものとしてきたレディオヘッドならではの名盤でした。
エレクトロニカをテーマとした記事ということで、本稿で取り上げている『Daydreaming』は、エレクトロニカ的な浮遊感とトム・ヨークさんのささやくような歌声が耳に残る、ミニマルなピアノ・アンビエント風の楽曲です。
タイトル通り、白昼夢のような幻想的で美しいナンバーですが、歌詞は幻想的な美などといったものとはかけ離れた、当時のトム・ヨークさんの私生活で起きた出来事なども踏まえた、いかにもレディオヘッド的な世界が描かれています。
示唆的なMVも含めて、ぜひチェックしてみてください。
Coopers WorldSquarepusher

先鋭的な電子音楽家であり、際立ったテクニックを持つベーシストとしても名高いイギリス出身のトーマス・ジェンキンソンさん。
彼のアーティスト名義であるスクエアプッシャーがこれまでにリリースした作品群は、1990年代以降のエレクトロ・ミュージック・シーンにおいて中心的な役割を果たし、世界的に高い評価を受けています。
幼少期からジャズに親しんでいたジェンキンソンさんが、ブレイク・ビーツと自らのベース演奏を融合させ、独自の音世界を作り上げた傑作セカンド・アルバム『Hard Normal Daddy』のオープニングを飾る『Coopers World』は、当時20代前半という若さだったジェンキンソンさんの独自性や自由な感性が際立つ名曲です。
アルバム自体、スクエアプッシャーの作品の中でもとくに人気の高い1枚ですね。
卓越したジャズ・ミュージシャンにしてエレクトロ・ミュージックも極める特異な音楽性を持つスクエアプッシャー流のフュージョン・ミュージックとも言えそうですし、何かのジャンルにカテゴライズすること自体が野暮な行為かもしれませんね。
あまりこういったサウンドに免疫のないという方でも聴きやすいメロディがある、というのも大切な要素の1つですから、アルバムも含めてぜひ挑戦してみてください!
A French ComposerKettel

00年代以降のエレクトロニカで好きなアーティストは、と言われてオランダ出身の音楽家によるソロ・プロジェクト、ケッテルの名前を挙げられる方、結構いらっしゃるのでは?
2001年に19歳という若さでアルバム・デビューを果たした早熟な才能を持ち、ここ日本においても熱心なエレクトロニカ・ファンの間では人気の高い存在として知られています。
2020年代を過ぎた今も現役で活躍中の彼がリリースした素晴らしい作品群の中で、今回取り上げているのは2004年にリリースされた名盤『Volleyed Iron』のオープニングを飾る楽曲『A French Composer』です。
不思議とノスタルジックな雰囲気も漂う繊細な電子音と、フィールドレコ―ディングと思しき環境音や生活音とがごく自然に混ざり合い、どこまでも内省的な世界観はベッドルーム・ミュージックとしても最適な作風となっています。
外に向けて強く発信するタイプの音楽ではないからこそ、静かな夜に一人でじっくりと聴きたい作品ですね。
当時22歳前後の若者がこの音世界を作り上げた、というのも衝撃的ですよね。
現時点ではCDは廃盤となっているようですから、フィジカルでほしい方は中古などで見つけたら必ずレジへ直行しましょう!
美しきエレクトロニカ~オススメの名曲・人気曲(11〜20)
HoppipollaSigur Rós

アイスランドが世界に誇るポスト・ロック・バンド、シガー・ロス。
母国語のアイスランド語と、バンドが作り上げた造語「ホープランド語」で歌われる歌詞も特徴的で、業界のファンも多く、ここ日本においても高い人気を誇るバンドですよね。
今回エレクトロニカというテーマでシガー・ロスを取り上げたのは、いわゆるポスト・ロックと呼ばれるバンドはエレクトロニカからの影響も強く、音楽性にもきっちり反映されているからというのが理由です。
今回取り上げている楽曲『Hoppípolla』は、世界的に高い評価を受けて商業的にも成功を果たした2005年リリースの名盤『takk…』に収録されているナンバー。
エレクトロニカ的な電子音がちりばめられつつ、力強いバンド・サウンドと流麗なストリングスによるアンサンブルから織り成す、地平の彼方まで広がりを見せる壮大なサウンド・スケープはあまりにも美しく、どこか遠い世界へと連れて行かれそうな気にさえさせられます。
エレクトロニカがこういった方向性のジャンルにも影響を与えている、という観点においても重要な作品と言えるのではないでしょうか。
Summer ColourI Am Robot & Proud

あまりテクノやクラブ・ミュージックを聴いたことがないけど、なんとなくエレクトロニカに興味がある……という方にも大推薦のアーティストが、I Am Robot And Proudです!
カナダはトロント生まれ、中国系カナダ人のショウハン・リームさんによるソロ・プロジェクトで、とにかく聴きやすいメロディが満載、ポップなエレクトロニカを軸とした音楽は、初心者であってもすんなり入り込めるはず。
トロント王立音楽院にてクラシックピアノを専攻していたというキャリアを経て、電子音楽へと転向したキャリアを持つリームさんならではのサウンド作りは、雰囲気重視のふんわりとしたエレクトロニカとは一線を画す、オーガニックで温かみのある歌心と人懐こい電子音がちりばめられたもので、繰り返すようにエレクトロニカをあまり聴いたことがない、という方にも楽しめる音楽性なのですね。
来日ツアーの模様で構成されたMVも印象的なこちらの『Summer Colour』は、そんなI Am Robot And Proudの王道とも言えるポップでどこかノスタルジックな雰囲気に切なさも感じさせるステキなナンバー。
まずはI Am Robot And Proudの作品群からエレクトロニカを聴き始める、という選択肢は大いにありだと思いますよ!
StarsUlrich Schnauss

2000年代初頭に、シューゲイザーとエレクトロニカが美しく融合した「エレクトロ・シューゲイザー」と呼ばれるジャンルが登場しました。
もともと90年代のオリジナル・シューゲイザーのアーティストたちがエレクトロ・ミュージックへ早くから接近していた事実もあるのですが、エレクトロニカ世代のアーティストはシューゲイザーからの影響を強く受けている方が実は多いのです。
その代表格と言えるのが、ドイツ出身のウルリッヒ・シュナウスさん。
彼がとくに2000年代にリリースした作品群は、どれもエレクトロ・シューゲイザー好きにとっては聖典の如き評価を受ける名盤ばかりなのですね。
今回取り上げているのは、2007年にリリースされた通算3枚目のアルバム『Goodbye』に収録された名曲です。
ドリームポップにも通じる幻想的なメロディ、浮遊するノイズ、ほんのり漂うサイケデリックな雰囲気、繊細な電子音がちりばめられた音世界の美しさは、2020年代を過ぎた今聴いても色あせることはありません。
エレクトロニカとシューゲイザーの方法論がこれほど相性がいいとは、と当時は驚いたものです。
エレクトロ・シューゲイザーってどのアルバムを聴けばいいのかわからないという方であれば、まずはシュナウスさんの作品を聴けば間違いないですよ。
Black List (Ft. Aesop Rock&MF Doom)Prefuse 73

エレクトロニカにヒップホップの要素を取り入れ、サンプリングしたラップを分解して再構築する「ボーカル・チョップ」と呼ばれる音楽的手法を提示して、エレクトロ・ミュージックの新たな地平を切り開いた天才、スコット・ヘレンさん。
さまざまな名義で活躍するヘレンさんの最も有名なアーティスト名義である「プレフューズ73」として、2001年に名門WARPからリリースしたデビュー・アルバム『Vocal Studies And Uprock Narratives』は、まさにヘレンさんの前衛的な才能が爆発した見事な作品であり、エレクトロニカのみならずヒップホップの歴史においても重要な1枚として語り継がれる大名盤です。
本稿で紹介する同アルバムに収録されている『Black List』は、ゲストにエイソップ・ロックさんと故・MFドゥームさんが参加した楽曲。
当時のアンダーグラウンド・ヒップホップ・シーンにおいて先鋭的な活動が評価されていた才能が集結した名曲であり、2000年代前半のリアルなアンダーグラウンド・ミュージックの空気感、そして革新性を追体験するという意味でもぜひ聴いてみてほしいですね。






