カロル・シマノフスキさんは、第一次世界大戦やポーランドの独立といった世情に翻ろうされながらも、交響曲や協奏曲、ピアノ曲、歌曲などのさまざまなジャンルの作品を遺した作曲家。
激動の時代に合わせるかのように、作風を何度も変えた点は、彼の作曲活動のおける大きな特徴であるといわれています。
本記事では、そんなシマノフスキさんの作品のなかから、ピアノ曲やピアノを含む編成で演奏される作品をピックアップ!
時代背景や作品の特徴とともにご紹介します。
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ポーランド民謡の主題による変奏曲 Op.10Karol Szymanowski

カロル・シマノフスキさんは、ポーランドの音楽文化を広く知らしめた20世紀を代表する作曲家です。
さまざまな音楽スタイルを吸収しつつ、独自の音楽言語を開発していった彼の才能は、若い頃から顕著にあらわれていたといいます。
1904年に完成した『ポーランド民謡の主題による変奏曲 Op.10』は、シマノフスキさんが師のジグムント・ノスコフスキに献呈した初期の作品。
10の変奏から成るこの曲には、彼の若々しさとすでに際立っていた個性が色濃く反映されています。
伝統的な19世紀の形式を踏襲しつつ、より創造的なアプローチも見られ、特に第8変奏の葬送行進曲のような感動的な展開は圧巻です。
クラシック音楽に親しみたい方や、作曲家の初期のスタイルに興味がある人にぜひオススメしたい1曲です。
前奏曲とフーガKarol Szymanowski

カロル・シマノフスキさんは、20世紀初頭のポーランドを代表する作曲家です。
彼の作品には、ワーグナーやシュトラウス、スクリャービンなどの影響が見られますが、同時に故郷ポーランドの民俗音楽にも大きな影響を受けました。
1909年に発表されたピアノ曲『前奏曲とフーガ』は、ベルリンの雑誌のコンテストに応募するために作曲されたもの。
クロマチックな和声と密なテクスチャーが特徴的で、技巧的な難易度の高さが目を引きます。
それほど頻繁に演奏される曲ではありませんが、彼の初期のスタイルを体現した重要な1曲として、クラシックピアノに興味のある方、特にポーランドの作曲家の作品を探求したい方にオススメの作品です。
マスク Op.34 第1曲「シェヘラザード」Karol Szymanowski

20世紀初頭のポーランドを代表する作曲家、カロル・シマノフスキさん。
『マスク Op.34』は、東洋的な旋律や印象派的な手法が用いられた彼の代表的なピアノ曲集です。
第1曲『シェヘラザード』は、『千夜一夜物語』の語り手である主人公の内面世界を描いた作品。
技巧的な難しさと深遠な表現力が求められる曲ですが、神秘的で幻想的な音世界は聴く者の心を魅了してやみません。
シマノフスキさんの作品に興味がある方、印象派音楽が好きな方にオススメの1曲です。
メトープ-3つの詩 第1曲「セイレーンの島」Karol Szymanowski

ポーランドを代表する20世紀の作曲家カロル・シマノフスキさんは、激動の時代を生き抜き、数々の名曲を遺しました。
『メトープ』は、彼の独創的なピアノ曲のなかでも特に有名な作品です。
第1曲目の『セイレーンの島』は、オデュッセウスの冒険物語に登場する妖艶な歌声を奏でるセイレーンたちの姿を音で描いた幻想的な曲。
不協和音や複雑なリズムを用いて聴く者を魅了する一方で、危険な存在であるセイレーンの両義性が見事に表現されています。
神話の世界観とシマノフスキさん独自の感性が融合した、まさに名曲と呼ぶにふさわしい本曲。
神秘的な音の世界に浸りたい方は、ぜひ一度お聴きください!
幻想曲 Op.14Karol Szymanowski

20世紀初頭のポーランドを代表する作曲家、カロル・シマノフスキさんが1905年に作曲した『幻想曲 Op.14』。
この作品は、彼のいとこであるピアニスト、ハリー・ノイハウスに献呈され、1906年にワルシャワで初演されました。
フランツ・リストの音楽スタイルに影響を受けたといわれており、その構造や難易度から、シマノフスキ自身がこの曲を「演奏困難な作品」と認識していたほど。
3つの楽章から成り立つこの曲は、極めて情熱的でドラマティックな演奏を必要とします。
技術的な難しさにもかかわらず、その表現の幅と情感の深さで多くの演奏家と聴衆を引きつける本作は、ピアノ演奏の腕に自信のある方にぜひ挑戦していただきたい1曲です。