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80年代テクノ歌謡の魅力~テクノポップの名曲・人気曲

80年代の邦楽シーンを掘り下げていく中で、ディスクガイド本などで「テクノ歌謡」という言葉を目にされた方は多いでしょう。

70年代後半から80年代前半にかけて、YMOを中心とした先鋭的なアーティストたちがテクノの要素を取り入れたサウンドを展開、それらの要素を歌謡曲へと落とし込んで生まれたのが「テクノ歌謡」です。

大ヒットした曲もあれば、ほとんど知られることもなく後に再評価された曲などもあり、知れば知るほど楽しめるジャンルなのですね。

今回の記事では、そんなテクノ歌謡の名曲たちを厳選してお届けします。

「この曲ってテクノ歌謡だったの?」といった発見もあるかもしれませんよ!

80年代テクノ歌謡の魅力~テクノポップの名曲・人気曲(11〜20)

ラムのラブソング松谷祐子

1980年代のアニメソングは、近年シティポップやテクノポップの文脈で人気を集めている楽曲が多く、こちらの『ラムのラブソング』はまさにそういった楽曲の1つですね。

大人気アニメ『うる星やつら』の主題歌として書き下ろされた『ラムのラブソング』は、歌唱を担当した松谷祐子さんのデビュー曲であり、2021年の5月に惜しくも亡くなった名作詞家の伊藤アキラさんが作詞を、テクニカルなキーボード・プレイヤーとしても知られる小林泉美さんが作曲と編曲を手掛けています。

キラキラしたカラフルなシンセの音色を軸として、ややラテン風味なビートも導入された実に先鋭的なサウンドとなっている、単なるアニメソングの枠内をこえた名曲中の名曲です。

小林さんによると、当時はアニメソングとしてあまりに先鋭的過ぎたせいなのか、スタッフや関係者の間では不評で理解されなかったのだとか。

とはいえ、現代においては誰もが一度は耳にしたことがあるほどの名曲として認知されただけでなく、アニメソングの可能性を広げた金字塔的な楽曲としての評価は永遠に色あせることはないでしょう。

天国のキッス松田聖子

基本的に曲を提供される立場のアイドルという存在は、先鋭的なクリエイターにとっては格好の素材であって、アイドルとの仕事で自身の実験精神を思う存分発揮している、というパターンはとくに80年代においては多く見受けられます。

『ハイスクールララバイ』の成功以降、歌謡曲の世界におけるヒットメイカーとして精力的に活動していたYMOの細野晴臣さんが手掛けたアイドル・テクノ歌謡の最も重要な楽曲の1つとして挙げられるのが、最強のアイドルこと松田聖子さんの『天国のキッス』でしょう。

1983年にリリース、オリコンチャートで1位を記録したヒット曲であり、松田さんが主演した映画『プルメリアの伝説 天国のキッス』の主題歌でもある、という問答無用の人気アイドル・ソングでありながらも、転調を繰り返すメロディ展開など細野さんの音楽的な実験精神が大いに反映された名曲なのですね。

同時に、ソングライターたちの挑戦的な作風を難なくこなす松田さんの高い歌唱力、表現力の素晴らしさも強調しておきたいところです。

ROBOT榊原郁恵

何だかテクノの元祖クラフトワークを思わせるようなタイトルですが、榊原郁恵さんの抜群の歌唱力とロボット風の振り付けが最高にキュートでクールな1曲です。

作詞は松本隆さん、作曲は筒美京平さんという歌謡曲の歴史において数え切れないほどのヒット曲を生み出したコンビによるこちらの『ROBOT』は、1980年にリリースされてスマッシュヒットしたシングル曲であり、2020年10月7日に筒美さんが亡くなった際に、榊原さん自身がインスタグラムでこの楽曲のエピソードを語ったことも記憶に新しいですね。

この『ROBOT』は筒美さん自身が「テクノをやってほしい」とリクエストを出していたそうで、編曲を担当した船山基紀さんによれば、テクノポップらしいこの電子音は打ち込みではなく、キーボード奏者の矢嶋マキさんがテクノ風に人力で弾いたものなのだそうです。

つまり、YMO以降のコンピューターによるトラックではなく、あくまで人力のテクノポップというのがこの曲の最大の特徴と言えそうですね。

アイドルらしく笑顔でこの曲を見事に歌いこなす榊原さんの魅力は、ぜひ動画でご確認ください!

恋はルンルン伊藤つかさ

“恋はルンルン” by 伊藤つかさ
恋はルンルン伊藤つかさ

YMOの3人が楽曲制作に関わった80年代のテクノポップを集め、2005年にリリースされたオムニバス・アルバム『イエローマジック歌謡曲』にも収録されている名曲です!

80年代の人気アイドルであり、女優としても活躍している伊藤つかささんが1982年にリリースしたセカンド・アルバム『さよなら こんにちは』に収録され、作曲と編曲は坂本龍一さんが担当した楽曲なのですね。

タイトルからしてストレートにアイドル全開ですし、伊藤さんの可愛らしい語りも盛り込まれたアイドルソングでありながら、トラック自体はほとんどYMOサウンドであるというのがこの時代ならではのおもしろみと言えましょう。

アルバム自体が大貫妙子さんや原由子さん、矢野顕子さんに竹内まりやさんといった豪華な作家陣が曲を提供、坂本さんはもちろん清水信之さんに大村憲司さんなどがプロデュースとして参加したテクノ歌謡として評価の高い作品となっていますから、そちらも要チェックですよ!

風の谷のナウシカ安田成美

【HD】風の谷のナウシカ – 安田成美
風の谷のナウシカ安田成美

エイプリル・フール時代からの盟友同士、松本隆さんと細野晴臣さんの黄金コンビが生み出した楽曲の数々は、それ自体が日本の歌謡曲の歴史であることはもちろん、テクノ歌謡という観点においても絶対に欠かすことのできない名作を多く含まれています。

女優、安田成美さんのデビュー曲である『風の谷のナウシカ』もまた、松本さんと細野さんによるテクノ歌謡の名曲です。

1984年にリリースされたこちらの楽曲は、1983年に『風の谷のナウシカ』のアニメ映画化が決まった際に行われた、イメージガールのオーディションで安田さんがグランプリを獲得したという経緯から生まれた楽曲であり、実際には映画本編には使われなかったテーマソング的な位置付けの曲なのですね。

細野さんが当時精力的に取り組んでいた、歌謡曲にテクノの実験的かつ先鋭的なエッセンスを盛り込んだ創作活動は、この楽曲でも存分に発揮されております。

安田さんの初々しい歌声は決して達者なわけではありませんが、細野サウンドに妙にマッチして何とも言えない魅力を生み出しているのがおもしろいですよね。