さまざまなジャズの楽しみ方。定番曲「枯葉」の魅力
ここではジャズボーカルについて、そしてジャズを楽しんでいただけるヒントをお届けできたらと思います。
今回の記事では、世界中でさまざまなミュージシャンにカバーされ、数えきれないぐらいの音源が存在している定番曲「枯葉」の魅力を紹介したいと思います。
ピアノトリオバージョンで聴き比べ
「その日、その時、その場所で」
瞬間の芸術、ジャズ。
同じ曲でもミュージシャンが変わればまったく雰囲気の違う曲になるのも、ジャズの魅力の1つ。
多くのミュージシャンが取り上げて、ジャズのスタンダードとなっている「枯葉」を、聴き比べてみましょう。
上からメロディーがわかりやすい順に並べてみました。
オスカーピーターソントリオ
テーマはしっかりメロディーを弾いているのでわかりやすく「枯葉」という素材を活かした、ピーターソンの超絶テクニックに圧倒されます。
音数の多さに比例して、とてもゴージャスなイメージ。
ビルエバンストリオ
名盤中の名盤「Portrait In Jazz」に収録。
最初のテーマからやや崩したピアノ。
そしてベースとピアノのかけあい。
ピアノのソロが終わったら、またベースソロ、そしてラストのテーマからエンディングへ。
キースジャレットトリオ
メロディーを取り入れたイントロ。
フェイクしたテーマから、ピアノソロ。
そしてベースソロ、ドラムとの掛け合いへと続きます。
エンディングは「Speak Low」を取り入れたようなフレーズで終わります。
ピアノを弾きながら歌う(うなる?
)キース。
何の予備知識もなく、彼のCDを聴くと演奏とともに、変な声(失礼!
)が聞こえてくるのでびっくりします。
トミーフラナガントリオ
キースジャレットと同じように、メロディーを取り入れたイントロ。
トミフラ(と呼ばれる事が多いです)のピアノは、都会的、おしゃれな音色に感じます。
今までのトリオと比べると、歌うようなベースラインが印象に残ります。
ベースはレジー・ワークマン、ドラムはジョー・チェンバーズ、ドラムは掛け合いではなく完全にソロになっています。
チックコリアトリオ
メロディーの最初の4音で「枯葉だな」とかろうじてわかりますが、最初からソロ?
と思わせるようなフェイク。
ピーターソンやエバンス、キースと比べると年代の差もあるとは思いますが、雰囲気が全く違います。
ベースソロ、そしてドラムとの掛け合いも入っており、各々の抜群のテクニックが楽しめます。
個人の趣味嗜好もあると思いますが、ピーターソンやビルエバンス、トミーフラナガン、そしてぎりぎり(?
)キースジャレットは、ジャズをあまり聴いたことのない方でも、抵抗なく楽しめるとおすすめできます。
チックコリアになると「難解」という印象を持つ方も多いかもしれません。
いや、むしろ大好きという方もいらっしゃるかもしれません。
もともと音楽が大好きな方や、楽器演奏の経験がある方にとっては、たまらなく魅力的なピアニストです。
他にもすてきなピアニストはたくさんいますが、5名に絞ってご紹介いたしました。
みなさんの心に響いた演奏はありましたか?
こちらもおすすめです
アルトサックスのキャノンボールアダレイの「Something else」に収録のバージョン。
キャノンボールの名前で発売されていますが、影のリーダーは、マイルスデイヴィス。
マイルスのトランペットの演奏がすばらしい作品です。
ピアノはハンクジョーンズ、ベースはサムジョーンズ、そしてドラムはアートブレイキー。
とても有名なイントロから、マイルスデイヴィスのトランペットがピックアップされます。
郷愁(きょうしゅう)を誘う音色。
そしてサックスのソロへつなぎ、トランペットのソロ。
そしてピアノのソロからテーマへ戻り、エンディングへ。
ピアノが少し遊んだあと、イントロと同じフレーズで締める。
まるで一連の物語を見ているような、音の饗宴(きょうえん)が繰り広げられます。
秋の夜長に
お酒が好きな方は、お酒を飲みながら。
私のように、あまりお酒が強くない方は、コーヒーを飲みながら、ジャズ鑑賞。
至福のひとときをどうぞ。
少しでもジャズを楽しむきっかけとなれば、幸いです。
「音楽にジャンルはない。
あるのはよい音楽と悪い音楽だけだ。」
by デューク・エリントン