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【現代曲】ピアノの不思議な響きに惹かれるクラシック作品を厳選!

クラシックの現代曲といえば「複雑すぎる響き」「目を疑う超絶技巧」「理解不能……」このようなイメージをお持ちの方も多いはず。

確かに、クラシック音楽が行き着いた「現代における最終形態」ともいえる現代曲には、解釈の難しい作品も数多く存在しますが、作曲家の意図や作曲の背景を知ることで、曲の魅力が見えてくることもあります。

今回は、そんな難解と思われがちな現代曲の中から、ピアノ独奏のために作曲された作品をご紹介します。

現代曲に挑戦してみたい方や、ぜひチェックしてくださいね!

【現代曲】ピアノの不思議な響きに惹かれるクラシック作品を厳選!(6〜10)

ピアノソナタ 変ホ短調 Op.26Samuel Barber

BARBER Sonata for Piano, op. 26 – Kenny Broberg – Cliburn 2017
ピアノソナタ 変ホ短調 Op.26Samuel Barber

20世紀を代表する作曲家のひとりであるサミュエル・バーバーさん。

彼が1949年に発表した唯一のピアノソナタは、技巧的に極めて難しい作品ながら、単なる見せ場以上の深みを持っています。

バーバーさんは20世紀の音楽的アイデアを伝統的な形式と融合させ、クロマチシズムや12音技法を用いて複雑な音の世界を構築。

特に終楽章のフーガは圧巻で、演奏家に高度な技術を要求しつつ、独自の音楽性が色濃く反映されています。

彼の抒情的なスタイルと対位法的手法が絶妙に絡み合う本作は、クラシック音楽になじみのない方にもぜひ聴いていただきたい、現代音楽の金字塔といえるでしょう。

プレアデス舞曲吉松隆

「日本のマーラー」とも称される日本の現代音楽界を代表する作曲家、吉松隆さん。

彼は、クラシック音楽の伝統的な要素にジャズやロックのエッセンスを融合させ、独自の音楽性を確立しています。

『プレアデス舞曲』は、調性感や教会旋法による神秘的で透明感のある響きと、抒情性や躍動感にあふれた曲調が特徴。

変拍子を採用した極めてリズミックな作風は、現代音楽の常識を覆す新鮮さがあります。

美しいメロディとハーモニーにこだわり続けた吉松さんの作品は、クラシックファンだけでなく、さまざまな音楽ジャンルに興味がある方にもオススメです。

自動ピアノの為の習作Conlon Nancarrow

Conlon Nancarrow, Study for Player Piano No. 21 (Canon X)
自動ピアノの為の習作Conlon Nancarrow

メキシコの作曲家コンロン・ナンカローさんは、自動演奏ピアノのために極限的なリズム構造を追求した作曲家として知られています。

彼の代表作『自動ピアノのための習作』は、人間の演奏では不可能な精度とスピードを誇る前衛的な楽曲群です。

曲目ごとに異なるリズムと長さを持ち、音楽の基本概念を覆す斬新なアプローチは、後の電子音楽にも影響を与えています。

技術者としても知られるナンカローは、自動ピアノの機構を改造して新しい音色を生み出すなど、音楽の可能性を常に追求し続けた孤高の作曲家といえるでしょう。

ピアノ好きや現代音楽ファンにはぜひ聴いていただきたい作品です。

アルゼンチン舞曲集 Op.2 第1曲「年老いた牛飼いの踊り」Alberto Ginastera

Ginastera / Danzas argentinas – Kotaro Fukuma – Maison de la culture du Japon à Paris
アルゼンチン舞曲集 Op.2 第1曲「年老いた牛飼いの踊り」Alberto Ginastera

アルゼンチンを代表する20世紀の作曲家、アルベルト・ヒナステラさん。

彼の初期の代表作である『アルゼンチン舞曲集 Op.2』は、アルゼンチンの民族音楽の要素を独自のスタイルで展開した意欲作です。

中でも第1曲は、右手が白鍵、左手が黒鍵のみを使うという特殊な手法で、2つの調が同時に響き合う不思議な魅力を持っています。

民族色豊かな響きと前衛的な技法が融合した、ユニークで味わい深いこの作品は、ピアノの新しい可能性に挑戦したい人方にオススメです。

ムジカ・リチェルカータGyörgy Ligeti

現代音楽の先駆者として知られるハンガリーの作曲家、ジェルジュ・リゲティさん。

彼は当時の社会主義体制下で表現の自由が制限されるなかでも独自の音楽スタイルを追求し、1956年のオーストリアへの亡命後は、ケルンの電子音楽スタジオで新しい音楽に触れたことで、さらなる革新へと向かいました。

そんなリゲティの初期の代表作が、ピアノのための11の小品からなる『ムジカ・リチェルカータ』です。

各楽章は実験的な手法で作曲され、特定の音程やリズム、ハーモニーを用いて静寂と苦悩の動きを表現しています。

厳しい検閲下で生まれ、20世紀のクラシック音楽に大きな影響を与えた本作は、現代音楽に興味がある方や、ピアノ曲の新しい可能性を探求したい方にオススメの1曲です。