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【現代曲】ピアノの不思議な響きに惹かれるクラシック作品を厳選!

クラシックの現代曲といえば「複雑すぎる響き」「目を疑う超絶技巧」「理解不能……」このようなイメージをお持ちの方も多いはず。

確かに、クラシック音楽が行き着いた「現代における最終形態」ともいえる現代曲には、解釈の難しい作品も数多く存在しますが、作曲家の意図や作曲の背景を知ることで、曲の魅力が見えてくることもあります。

今回は、そんな難解と思われがちな現代曲の中から、ピアノ独奏のために作曲された作品をご紹介します。

現代曲に挑戦してみたい方や、ぜひチェックしてくださいね!

もくじ

【現代曲】ピアノの不思議な響きに惹かれるクラシック作品を厳選!(1〜20)

8つの演奏会用練習曲より 第8曲「終曲」Nikolai Kapustin

ジャズの要素を巧みに取り入れたクラシックピアノ曲で、力強さとエネルギーに満ちた演奏効果の高い作品です。

8分音符を基調とした力強い第1主題と、柔らかな印象の第2主題が見事に絡み合い、華麗なソナタ形式で構成されています。

1984年に書き上げられたこの楽曲は、複雑なリズム構造と急速なパッセージを含み、ピアニストに高い技術を要求しますが、ジャズの軽快さと自由さも感じられる魅力的な1曲です。

本作は、クラシック音楽の技巧とジャズのリズム感を兼ね備えており、発表会で演奏すれば観客を魅了できるでしょう。

演奏には相当な練習時間が必要ですが、華やかで聴き映えのする作品を披露したい上級者の方にぴったりです。

「虹のリズム」より 真夜中の火祭平吉毅州

真夜中の火祭 ピアノ 平吉毅州【発表会おすすめ】ピアニスト 近藤由貴/The Midnight Fire Festival Piano, Yuki Kondo
「虹のリズム」より 真夜中の火祭平吉毅州

力強いリズムと華麗なメロディーが織りなす情熱的な小品は、アルバム『虹のリズム』収録の意欲作です。

8分の6拍子と4分の3拍子が交互に現れる「ヘミオラ」と呼ばれるリズム手法により、スペイン音楽やフラメンコを思わせる野性的な躍動感を生み出しています。

本作は2024年のピティナ・ピアノコンペティションC級の課題曲に選ばれ、多くの若手ピアニストたちが魅了されています。

右手と左手のエキサイティングなやり取りや、スラー、スタッカート、アクセントなどの繊細な表現が織りなす世界観は、演奏者の技量を存分に引き出してくれます。

挑戦的でありながら、3分以内で演奏できる小品として、発表会やコンクールのレパートリーにぴったりの1曲です。

お菓子の世界 第14曲 「鬼あられ」湯山昭

湯山昭/お菓子の世界 第14曲 「鬼あられ」 pf.須藤英子
お菓子の世界 第14曲 「鬼あられ」湯山昭

きらきらと硬質なピアノの響きが印象的なアルバム『お菓子の世界』に収録された小品です。

1973年に制作されたこの楽曲は、1分25秒という短い時間の中に、和と洋の要素を見事に融合させた独創的な世界を描き出しています。

イ短調の4分の4拍子で始まり、不協和音とスタッカートを巧みに操ることで、硬くて跳ねるような音の表現を実現。

3声のパートや複雑なリズム、テーマの変奏など、演奏の難しさと魅力を兼ね備えています。

発表会やコンクールで演奏されることも多く、表現力を試される作品として愛されています。

プログラムの締めくくりに効果的な一曲として、クラシック音楽の新しい魅力を求める方におすすめです。

ピアノのためのソナチネ尾高尚忠

Hisatada Otaka – Sonatine for piano (1940) 尾高尚忠 ピアノのためのソナチネ (安川加壽子)
ピアノのためのソナチネ尾高尚忠

日本を代表する作曲家として知られる尾高尚忠さん。

彼はウィーンでピアノや音楽理論、作曲を学び、卒業後は指揮者としてウィーン交響楽団やベルリン・フィルハーモニー管弦楽団といった名門楽団で活躍。

帰国後、NHK交響楽団の前身である新交響楽団でクラシック作品とともに自作の管弦楽曲を演奏し、指揮者、作曲家としてデビューして以降、オーケストラ作品や室内楽作品、ピアノ独奏曲などの創作活動を精力的に展開しました。

『ピアノのためのソナチネ』は、ドイツロマン主義と日本音楽の要素を融合させた作風に定評のある彼独自の世界観を存分に味わえる作品として、現代音楽、特に日本で生まれた現代作品に興味のある方にオススメの1曲です。

3つのピアノ曲 Op.11Arnold Schönberg

Schoenberg: Drei Klavierstücke, Op. 11 (Pollini)
3つのピアノ曲 Op.11Arnold Schönberg

アルノルト・シェーンベルクさんは、20世紀初頭の革新的な作曲家のひとりです。

彼の『3つのピアノ曲 Op.11』は、調性を完全に放棄し、斬新な音楽表現を追求した作品です。

この曲の特徴である楽想の絶え間ない変化や急激なダイナミクスの変化は、20世紀音楽の発展への重要な一歩を示しています。

この曲集は、音楽大学の教材としても用いられるなど、後の無調、十二音技法などの先駆けとなった意義深い作品です。

彼の先駆的な試みは、柔軟な発想力と創造性に富むリスナーにとって魅力的な体験となるでしょう。

ピアノソナタHenri Dutilleux

Henri Dutilleux – Sonate pour piano (1948)
ピアノソナタHenri Dutilleux

フランスの作曲家、アンリ・デュティユーさんは、20世紀後半を代表する作曲家のひとり。

彼の音楽は、ドビュッシーやラヴェルの影響を受けつつ、ジャズのエッセンスも取り入れた独自のモダニズムスタイルを確立しました。

1948年に発表された『ピアノソナタ』は、デュティユーが自らの音楽的アイデンティティを示した記念碑的な作品といえるでしょう。

本作は、形式的な厳格さと和声の探究を特徴としており、印象主義とソビエト音楽が融合した独特の音楽世界を作り上げています。

彼の妻であるピアニストのジュネヴィエーヴ・ジョワに献呈されたこの作品は、ピアノという楽器の可能性を追求した意欲作であり、現代音楽の傑作として高く評価されています。