RAG MusicEDM
おすすめのEDM
search

【混沌の電子音楽】ドリルンベースの名曲まとめ

1990年代の電子音楽シーンに詳しい方なら、いわゆる「ドルリンベース」という音楽ジャンルをご存じでしょう。

英語では「Drill ‘n’ bass」と記載する電子音楽で音楽的な定義は難しいのですが、ドラムンベース以上に複雑なリズム・パターンやプログラミングを用いながらも、熱を帯びたグルーヴとは違う混沌とした雰囲気が特徴的です。

ブレイクコアやグリッチといったジャンルへ影響を及ぼしながらも、純然たるドリルンベースの作品自体は多くはありません。

今回の記事では、まずは押さえてほしいドリルンベースの名曲をピックアップして紹介しています。

興味のある方はぜひご覧ください!

【混沌の電子音楽】ドリルンベースの名曲まとめ(1〜10)

Military JazzPlug

Plug (Luke Vibert) – Military Jazz
Military JazzPlug

イギリスのミュージシャン兼プロデューサー、ルーク・ヴァイバートさんのソロプロジェクト、プラグ。

ルーク・ヴァイバートさんは、まさにドリルンベースの開拓者と言われており、エイフェックス・ツインなど他のミュージシャンにも大きな影響を与えました。

そんなPlug名義の楽曲『Military Jazz』は、これぞドリルンベースという高速ドラムが楽しめる楽曲です。

ルーク・ヴァイバートさんはプラグの他にも、Wagon ChristやViber、tAmen Andrews、Kerrier Districtなどさまざまな名義で作品をリリース。

現在もヒップホップやアシッド・ハウスなど、ジャンルの枠を超えて活躍しています。

KimiBogdan Raczynski

リチャード・D・ジェームスさんとグラント・ウィルソン・クラリッジさんが主宰するレーベル「Rephlex Records」所属、ポーランド系アメリカ人のボグダン・ラチンスキーさんも、ドリルンベースの文脈の中で紹介しておきたいアーティストです。

1999年に『Boku Mo Wakaran』というタイトルのアルバムでデビューを果たしているのですが、この奇妙なタイトルはラチンスキーさんが一時期日本の美術学校に通っていたという経緯から付けられたもののようですね。

そんなラチンスキーさんが同年に発表した『Samurai Math Beats』に収録されている、やはり日本語のタイトルが付けられた楽曲『Kimi』を取り上げましょう。

子どものようなボーカルエフェクトがかけられた謎の歌や口笛が牧歌的な雰囲気を醸し出す中で、突然入り込んでくる好き放題の電子音やブレイクビーツが奇妙なおもしろさを作り上げています。

アルバム全体もラチンスキーさんの持つ独創的すぎるセンスがこれでもかと込められたものですから、ぜひアルバム全体をチェックしてほしいです。

Come To DaddyAphex Twin

Aphex Twin – Come To Daddy (Director’s Cut)
Come To DaddyAphex Twin

エイフェックス・ツインは、アイルランド生まれのイギリスのミュージシャン、リチャード・D・ジェームスさんによるソロプロジェクトです。

ドリルンベースやドラムンベースだけでなく、アンビエントやエレクトロニカ、アシッド・ハウスなど幅広い作風で知られています。

そんなエイフェックス・ツインが1997年にリリースした『Come To Daddy』は、高速なビートと攻撃的なサウンドが大きな魅力です。

さらに注目したいのが、廃墟にリチャード・D・ジェームスさんの顔をした子供たちが現れるホラーのようなミュージックビデオ!

こちらは映像作家のクリス・カニンガムさんによるもので、そのほかにも『Windowlicker』などの楽曲でもミュージックビデオを手掛けていますので、この動画が気に入った方はそちらもチェックしてみてくださいね。

【混沌の電子音楽】ドリルンベースの名曲まとめ(11〜20)

Angry DolphinPlaid

1990年代初頭から活躍しているプラッドは、ロンドン出身のエレクトロニックミュージック・デュオです。

2020年代の今も活動を続けるいわば大ベテランなのですが、2006年に公開されたアニメーション映画『鉄コン筋クリート』の音楽を手掛けた、と言えば分かる方もいらっしゃるかもしれませんね。

そんな彼らのサウンドはテクノを軸としながらも実に多彩なもので必ずしもドリルンベースの代表的なアーティストというわけではないのですが、ドリルンベースのひな形のようなサウンドを鳴らしている楽曲を今回は紹介します。

こちらの『Angry Dolphin』は1995年にリリースされたEP作品『Android』に収録されている楽曲で、細かいブレイクビーツの組み立て方やリズムのアプローチが同時代のドラムンベースとは違ったスタイルを持ち合わせているのですね。

本人たちが意識的にドラムンベースとの違いを打ち出したかどうかは不明ですが、中盤のどこか切ないメロディが鳴らされるパートも含めて、1995年の段階でこのような楽曲が生まれていたことは改めてチェックしていただきたいです。

FlutterAutechre

ショーン・ブースさんとロブ・ブラウンさんの2人によるイギリスのテクノユニット、オウテカ。

彼らはエレクトロ・ファンクやヒップホップ、アシッド・ハウスなどから影響を受けた、実験的・先鋭的な作風で知られています。

エレクトロニカの名門レーベル、ワープ・レコーズから1994年にリリースした2枚目のスタジオアルバム『Amber』に収録されている『Flutter』も、哲学的ともいえる複雑なサウンドが楽しめる楽曲です。

また、オウテカは、ロックバンドのレディオヘッドなど他のジャンルのミュージシャンにも大きな影響を与えています。

Extreme Possibilities (Wagon Christ Mix)2 Player

2 Player – Extreme Possibilities (Wagon Christ Mix)
Extreme Possibilities (Wagon Christ Mix)2 Player

イントロから前半にかけてはミドルテンポのシンプルなドラムスを軸として落ち着いた雰囲気で展開していくのですが、中盤から奔放な電子音や細切れの声のサンプリングに乱れ打ちのようなエレクトロ・ビートが鳴らされ、かと思ったらまた静寂に戻り……といったように目まぐるしく楽曲が変化していく様が実におもしろい。

こちらの2 Playerというユニットは詳細もあまり分かっておらず不明な点も多いのですが、どうやら現在は映画音楽家として知られているダニエル・ペンバートンさんが若き日に関わっていたプロジェクトのようですね。

彼らが1995年にリリースした12インチ・シングル『Extreme Possibilities』は名門Ninja Tuneよりリリース、ドルリンベース的にはあのルーク・ヴァイバートさんがワゴン・クライスト名義でリミックスしている面に注目してください。

冒頭でも述べましたように、ドリルンベースとしての要素をたっぷりと含んだサウンドとなっており、ドリルンベースの始まりのような音として改めて知っておいてほしい作品だと言えそうです。

Ghetto Body BuddyVenetian Snares

1990年代の初頭から10代の若さで音楽活動を開始、カナダが誇るブレイクコア~IDMのカリスマとして著名なヴェネチアン・スネアズさん。

本稿で紹介している楽曲『Ghetto Body Buddy』は純粋なドリルンベースというわけではないですが、90年代の終わりにブームが過ぎ去ったドリルンベースのその後、といった形で聴いてみるのもおもしろいですから、ぜひチェックしてみてほしいですね。

ブラックなユーモアすら感じさせる強烈なブレイクビーツに圧倒させられてしまいますが、こちらの楽曲が収録されている2002年のアルバム『The Chocolate Wheelchair Album』自体がジャンルも時代も関係なく、さまざまな楽曲からサンプリングしたマッシュアップ的な手法で作られた作品なのです。

本作の混沌とした作風を気に入られた方は、引用元を調べつつアルバム丸ごと聴いてみましょう!