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【混沌の電子音楽】ドリルンベースの名曲まとめ

1990年代の電子音楽シーンに詳しい方なら、いわゆる「ドルリンベース」という音楽ジャンルをご存じでしょう。

英語では「Drill ‘n’ bass」と記載する電子音楽で音楽的な定義は難しいのですが、ドラムンベース以上に複雑なリズム・パターンやプログラミングを用いながらも、熱を帯びたグルーヴとは違う混沌とした雰囲気が特徴的です。

ブレイクコアやグリッチといったジャンルへ影響を及ぼしながらも、純然たるドリルンベースの作品自体は多くはありません。

今回の記事では、まずは押さえてほしいドリルンベースの名曲をピックアップして紹介しています。

興味のある方はぜひご覧ください!

【混沌の電子音楽】ドリルンベースの名曲まとめ

Military JazzPlug

Plug (Luke Vibert) – Military Jazz
Military JazzPlug

イギリスのミュージシャン兼プロデューサー、ルーク・ヴァイバートさんのソロプロジェクト、プラグ。

ルーク・ヴァイバートさんは、まさにドリルンベースの開拓者と言われており、エイフェックス・ツインなど他のミュージシャンにも大きな影響を与えました。

そんなPlug名義の楽曲『Military Jazz』は、これぞドリルンベースという高速ドラムが楽しめる楽曲です。

ルーク・ヴァイバートさんはプラグの他にも、Wagon ChristやViber、tAmen Andrews、Kerrier Districtなどさまざまな名義で作品をリリース。

現在もヒップホップやアシッド・ハウスなど、ジャンルの枠を超えて活躍しています。

Chomp SambaAmon Tobin

ブラジル出身のミュージシャン、アモン・トビンさんは1990年代より名門レーベル「Ninja Tune」の看板アーティストの1人として活躍、エレクトロニック・ミュージックのみならず映画音楽や現代音楽など、多くの分野で素晴らしい音楽を世に送り続けている孤高のアーティストです。

彼の初期作品にはドリルンベース的な要素が見受けられ、多くの音楽メディアから称賛された名盤の誉れ高い1997年リリースの『Bricolage』は、ドラムンベースやジャングル、トリップホップにジャズの要素も加わった独創的な作品であり、ドリルンベース的な解釈もできそうな作風なのですね。

今回取り上げている楽曲『Chomp Samba』はシングルとしてもリリースされた名曲で、ジャズとブレイクビーツが織り成す混沌の世界観は、特に初めて体験される方であれば驚かれるかもしれませんね。

Brace Yourself Jasonμ-Ziq

エイフェックス・ツインやスクエアプッシャー、プラグと並んでドルリンベースを語る上で欠かせない存在が、イギリス出身のテクノ・ミュージシャン、マイク・パラディナスさんです。

マイクさんの最も有名なアーティスト名義「μ-Ziq」としてリリースした諸作品の中でも、1997年に発表された『Lunatic Harness』はドリルンベースにおいても重要な意味を持つ作品なのですね。

2022年には25周年記念盤がリリースされた名盤の誉れ高いアルバムであり、ドリルンベースはあくまで一要素でしかないことは作品を通して聴けばすぐに分かるでしょう。

後にEPとしてもリリースされた、変則的なブレイクビーツと素朴な美しさを持つメロディにハッとさせられる1曲目の『Brace Yourself Jason』は王道のドリルンベースのスタイルを持った名曲ですから、まずはこの曲を聴いていただいて、気に入った方はぜひアルバムにも手を伸ばしてみてください!

Hangable Auto BulbAFX

エイフェックス・ツインことリチャード・D・ジェームスさんは多くの名義で作品をリリースしていることは周知の事実ですが、AFX名義で1995年に発表されたEP『Hangable Auto Bulb』は初期ドリルンベースの名作としても著名な作品です。

アンビエント・テクノやIDMと呼ばれるジャンルを作り上げ、独創的なテクノ・ミュージックを展開していたリチャードさんが高速のブレイクビーツを自身の音楽に導入した初めての作品であり、本作で提示された音楽スタイルによってドリルンベースが定義付けられたといっても過言ではないでしょう。

表題曲で聴くことのできる浮遊感と全く踊れない不規則なブレイクビーツは、初めて聴くリスナーをどこか違う世界へと連れて行ってしまうような作用を持ち合わせています。

なお、本作のタイトルはリチャードさんの最初期の作品『Analogue Bubblebath』のアナグラムとなっています。

KimiBogdan Raczynski

リチャード・D・ジェームスさんとグラント・ウィルソン・クラリッジさんが主宰するレーベル「Rephlex Records」所属、ポーランド系アメリカ人のボグダン・ラチンスキーさんも、ドリルンベースの文脈の中で紹介しておきたいアーティストです。

1999年に『Boku Mo Wakaran』というタイトルのアルバムでデビューを果たしているのですが、この奇妙なタイトルはラチンスキーさんが一時期日本の美術学校に通っていたという経緯から付けられたもののようですね。

そんなラチンスキーさんが同年に発表した『Samurai Math Beats』に収録されている、やはり日本語のタイトルが付けられた楽曲『Kimi』を取り上げましょう。

子どものようなボーカルエフェクトがかけられた謎の歌や口笛が牧歌的な雰囲気を醸し出す中で、突然入り込んでくる好き放題の電子音やブレイクビーツが奇妙なおもしろさを作り上げています。

アルバム全体もラチンスキーさんの持つ独創的すぎるセンスがこれでもかと込められたものですから、ぜひアルバム全体をチェックしてほしいです。