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【混沌の電子音楽】ドリルンベースの名曲まとめ

1990年代の電子音楽シーンに詳しい方なら、いわゆる「ドルリンベース」という音楽ジャンルをご存じでしょう。

英語では「Drill ‘n’ bass」と記載する電子音楽で音楽的な定義は難しいのですが、ドラムンベース以上に複雑なリズム・パターンやプログラミングを用いながらも、熱を帯びたグルーヴとは違う混沌とした雰囲気が特徴的です。

ブレイクコアやグリッチといったジャンルへ影響を及ぼしながらも、純然たるドリルンベースの作品自体は多くはありません。

今回の記事では、まずは押さえてほしいドリルンベースの名曲をピックアップして紹介しています。

興味のある方はぜひご覧ください!

【混沌の電子音楽】ドリルンベースの名曲まとめ

FlutterAutechre

ショーン・ブースさんとロブ・ブラウンさんの2人によるイギリスのテクノユニット、オウテカ。

彼らはエレクトロ・ファンクやヒップホップ、アシッド・ハウスなどから影響を受けた、実験的・先鋭的な作風で知られています。

エレクトロニカの名門レーベル、ワープ・レコーズから1994年にリリースした2枚目のスタジオアルバム『Amber』に収録されている『Flutter』も、哲学的ともいえる複雑なサウンドが楽しめる楽曲です。

また、オウテカは、ロックバンドのレディオヘッドなど他のジャンルのミュージシャンにも大きな影響を与えています。

Dreadlock KoolP.J.P.

純然たるドリルンベースというわけではないのですが、どのような音楽がドリルンベースとして発展していったのかを知る上でチェックしてほしい楽曲がこちらの『Dreadlock Kool』です。

1994年にドイツでリリースされたコンピレーション盤『Rough And Fast』に収録された楽曲で、アーティストはP.J.P.。

実はこのP.J.P.というアーティストは、あのアタリ・ティーンエイジ・ライオットのフロントマンであるアレック・エンパイアさんの別名義なのですね。

ハードコアなデジタル・ビートで一世を風靡したアレックさんのまた違った面を味わえるという意味でも貴重なのですが、ジャングルやドラムンベースをコンセプトとした作品ながら、実際に聴いてみるとドリルンベースと共通するリズム・パターンやスタイルが確認できるのです。

いわばドリルンベースのプロトタイプ的なサウンドとして聴くと、さまざまな発見がありそうですね!

Black Lawn FinaleThe Flashbulb

アメリカ出身のアーティスト、ベン・リー・ジョーダンさんは主に「The Flashbulb」という名義で知られる電子音楽家です。

マルチ・インストゥルメンタリストであり、映像作家としての顔も持つ多才なジョーダンさんですが、ザ・フラッシュバルブとしての彼の音楽性はドリルンベースやその発展形と言えるブレイクコアを主体としたサウンドなのですね。

そんなザ・フラッシュバルブとして2004年に発表したアルバム『Red Extensions of Me』に収録されている『Black Lawn Finale』は、エイフェックス・ツイン直系と言える音世界を2000年代の完成でアップデートしたような印象を受ける楽曲です。

細かく刻まれたエレクトロ・ビートの応酬の中で鳴り響くシンプルなメロディはどこかノスタルジックで切なく、ジョーダンさんの確かなトラックメイカーとしての、ソングライティング・センスを感じさせますね。

ドリルンベースやブレイクコアといったジャンルに苦手意識を持たれている方でも、かなり聴きやすい部類に入るのではないでしょうか。

PalidAnimals on Wheels

アニマルズ・オン・ホイールズは、イギリスはケンブリッジを拠点とするアーティスト、アンドリュー・コールマンさんによるソロ・プロジェクトです。

1990年代後半にいくつかの作品をリリース、2012年よりオンライン上での活動に軸を置いて主にSoundCloud上で楽曲をリリースしているようですね。

そんなコールマンさんが1997年に初めてリリースしたアルバム『Designs And Mistakes』は名門Ninja Tuneよりリリースされており、非常に興味深い音楽を展開しているのですね。

実は国内盤もリリースされており、帯には「ドリルンベース」という文言も書かれていることから、当時そのような形で日本で紹介されたことにも言及しておきましょう。

アブストラクトなシンセ、変則的なブレイクビーツ、スクエアプッシャーとも共振するジャズの要素が緻密に構築された音世界の魅力は、本稿で取り上げた楽曲『Palid』を聴くだけでも伝わるはずです。

CutPlug

Plug (Luke Vibert) – Cut
CutPlug

プラグは、イギリスのミュージシャン兼プロデューサー、ルーク・ヴァイバートさんによる活動名義です。

そんなプラグによる楽曲「Cut」は1996年にリリースされたスタジオアルバム「Drum ‘n’ Bass for Papa」に収録されており、直球ど真ん中のドリルンベース・ドラムンベース的なサウンドを楽しめます。

ちなみに、このアルバムは、音楽誌「NME」の同年のベストアルバム33位に選ばれるなど、非常に高い評価を受けました。

ルーク・ヴァイバートさんはプラグの他にもAmen Andrews、Kerrier District、Spac Hand Lukeなど、様々な名義で活動していますので、気になった人はそちらもチェックしてみてくださいね!

Ghetto Body BuddyVenetian Snares

1990年代の初頭から10代の若さで音楽活動を開始、カナダが誇るブレイクコア~IDMのカリスマとして著名なヴェネチアン・スネアズさん。

本稿で紹介している楽曲『Ghetto Body Buddy』は純粋なドリルンベースというわけではないですが、90年代の終わりにブームが過ぎ去ったドリルンベースのその後、といった形で聴いてみるのもおもしろいですから、ぜひチェックしてみてほしいですね。

ブラックなユーモアすら感じさせる強烈なブレイクビーツに圧倒させられてしまいますが、こちらの楽曲が収録されている2002年のアルバム『The Chocolate Wheelchair Album』自体がジャンルも時代も関係なく、さまざまな楽曲からサンプリングしたマッシュアップ的な手法で作られた作品なのです。

本作の混沌とした作風を気に入られた方は、引用元を調べつつアルバム丸ごと聴いてみましょう!