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【混沌の電子音楽】ドリルンベースの名曲まとめ

1990年代の電子音楽シーンに詳しい方なら、いわゆる「ドルリンベース」という音楽ジャンルをご存じでしょう。

英語では「Drill ‘n’ bass」と記載する電子音楽で音楽的な定義は難しいのですが、ドラムンベース以上に複雑なリズム・パターンやプログラミングを用いながらも、熱を帯びたグルーヴとは違う混沌とした雰囲気が特徴的です。

ブレイクコアやグリッチといったジャンルへ影響を及ぼしながらも、純然たるドリルンベースの作品自体は多くはありません。

今回の記事では、まずは押さえてほしいドリルンベースの名曲をピックアップして紹介しています。

興味のある方はぜひご覧ください!

【混沌の電子音楽】ドリルンベースの名曲まとめ(11〜20)

Angry DolphinPlaid

1990年代初頭から活躍しているプラッドは、ロンドン出身のエレクトロニックミュージック・デュオです。

2020年代の今も活動を続けるいわば大ベテランなのですが、2006年に公開されたアニメーション映画『鉄コン筋クリート』の音楽を手掛けた、と言えば分かる方もいらっしゃるかもしれませんね。

そんな彼らのサウンドはテクノを軸としながらも実に多彩なもので必ずしもドリルンベースの代表的なアーティストというわけではないのですが、ドリルンベースのひな形のようなサウンドを鳴らしている楽曲を今回は紹介します。

こちらの『Angry Dolphin』は1995年にリリースされたEP作品『Android』に収録されている楽曲で、細かいブレイクビーツの組み立て方やリズムのアプローチが同時代のドラムンベースとは違ったスタイルを持ち合わせているのですね。

本人たちが意識的にドラムンベースとの違いを打ち出したかどうかは不明ですが、中盤のどこか切ないメロディが鳴らされるパートも含めて、1995年の段階でこのような楽曲が生まれていたことは改めてチェックしていただきたいです。

CutPlug

Plug (Luke Vibert) – Cut
CutPlug

プラグは、イギリスのミュージシャン兼プロデューサー、ルーク・ヴァイバートさんによる活動名義です。

そんなプラグによる楽曲「Cut」は1996年にリリースされたスタジオアルバム「Drum ‘n’ Bass for Papa」に収録されており、直球ど真ん中のドリルンベース・ドラムンベース的なサウンドを楽しめます。

ちなみに、このアルバムは、音楽誌「NME」の同年のベストアルバム33位に選ばれるなど、非常に高い評価を受けました。

ルーク・ヴァイバートさんはプラグの他にもAmen Andrews、Kerrier District、Spac Hand Lukeなど、様々な名義で活動していますので、気になった人はそちらもチェックしてみてくださいね!

Black Lawn FinaleThe Flashbulb

アメリカ出身のアーティスト、ベン・リー・ジョーダンさんは主に「The Flashbulb」という名義で知られる電子音楽家です。

マルチ・インストゥルメンタリストであり、映像作家としての顔も持つ多才なジョーダンさんですが、ザ・フラッシュバルブとしての彼の音楽性はドリルンベースやその発展形と言えるブレイクコアを主体としたサウンドなのですね。

そんなザ・フラッシュバルブとして2004年に発表したアルバム『Red Extensions of Me』に収録されている『Black Lawn Finale』は、エイフェックス・ツイン直系と言える音世界を2000年代の完成でアップデートしたような印象を受ける楽曲です。

細かく刻まれたエレクトロ・ビートの応酬の中で鳴り響くシンプルなメロディはどこかノスタルジックで切なく、ジョーダンさんの確かなトラックメイカーとしての、ソングライティング・センスを感じさせますね。

ドリルンベースやブレイクコアといったジャンルに苦手意識を持たれている方でも、かなり聴きやすい部類に入るのではないでしょうか。

Ghetto Body BuddyVenetian Snares

1990年代の初頭から10代の若さで音楽活動を開始、カナダが誇るブレイクコア~IDMのカリスマとして著名なヴェネチアン・スネアズさん。

本稿で紹介している楽曲『Ghetto Body Buddy』は純粋なドリルンベースというわけではないですが、90年代の終わりにブームが過ぎ去ったドリルンベースのその後、といった形で聴いてみるのもおもしろいですから、ぜひチェックしてみてほしいですね。

ブラックなユーモアすら感じさせる強烈なブレイクビーツに圧倒させられてしまいますが、こちらの楽曲が収録されている2002年のアルバム『The Chocolate Wheelchair Album』自体がジャンルも時代も関係なく、さまざまな楽曲からサンプリングしたマッシュアップ的な手法で作られた作品なのです。

本作の混沌とした作風を気に入られた方は、引用元を調べつつアルバム丸ごと聴いてみましょう!

Viper FlatsWitchman

イギリス・バーミンガム出身のミュージシャン、ジョン・ルームさんの活動名義であるウィッチマン。

彼の楽曲『Viper Flats』は1998年リリースのスタジオアルバム『Explorimenting Beats』に収録されており、ただ速いだけではない、重層的なドラムサウンドが魅力です。

また、ウィッチマンは様々なドラマや映画などに楽曲を提供していることで知られており、日本でも人気の高い『コールドケース』『CSI:マイアミ』『CSI:ニューヨーク』などのドラマで彼の楽曲を楽しむことができますよ。

Meinheldμ-Ziq

ドリルンベースの代表的なアーティストの1人としてのミュージックさんの音楽は主に90年代の作品を聴いていただくのが一番ではあるのですが、2000年代以降の作品もぜひ紹介させていただきたいです。

2003年に発表されたアルバム『Bilious Paths』は00年代以降に発展を見せたブレイクコアと共振するようなサウンドを展開しており、オリジネイターとして自ら生み出したサウンドをより進化させていこう、というミュージックさんの信念を感じさせるような作風なのですね。

その『Bilious Paths』に収録されている楽曲『Meinheld』は、2000年代のドリルンベースとして聴いてほしい名曲です。

革新的かつほのかな狂気が揺れ動くブレイクビーツの応酬は、90年代のミュージックさんのスタイルがお好きな方も気に入るはず。

おわりに

冒頭でも触れたように、ドリルンベースという自体は局地的なムーブメントであって、当事者達はそのスタイルに固執することなく音楽性の幅を広げていますから、純然たるジャンルとしてのドリルンベースの名盤や名曲は限られています。

エイフェックス・ツインやスクエアプッシャーといった、ジャンルの創始者による作品の中でドリルンベースに該当するタイトルをまずはチェックしていただいて、その後で深掘りしてみることをオススメします。