【闇の美学】ゴシックロックのすすめ~代表的なバンド紹介
「ゴシック」とは12世紀ごろに誕生した建築様式の1つなのですが、皆さまは音楽ジャンルとしての「ゴシックロック」はご存じでしょうか。
基本的にダークなテーマを掲げて、文学や映画に哲学などからもインスピレーションを得た音楽を鳴らす70年代後半から80年代に登場した主にイギリスのバンドたちによるもので、独創的なサウンドを鳴らすバンドも多く、後のオルタナティブロック勢や日本ではヴィジュアル系のバンドにも多大なる影響を及ぼしています。
「ゴシックメタル」というジャンルも存在しますが、今回の記事はいわゆるポストパンクのサブジャンルとしての「ゴシックロック」のバンドたちを中心として、代表的なグループを紹介します!
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【闇の美学】ゴシックロックのすすめ~代表的なバンド紹介(11〜20)
Wax and WaneCocteau Twins

コクトー・ツインズをゴシックロックの文脈で紹介すると、このバンドのドリームポップやシューゲイザーといった要素で聴いている方であれば違和感を覚えるかもしれません。
1979年にデビューを果たし、独創的なギタリストでありプロデューサーとしても活躍しているロビン・ガスリーさんと、唯一無二の幻惑的な歌声を持つシンガーのエリザベス・フレイザーさんといった特異な個性を持つミュージシャンが集まったコクトー・ツインズは、冒頭で述べたように後のドリームポップ、シューゲイザーなどのジャンルに多大なる影響を及ぼした名作を発表した名グループです。
名門レーベル4ADのカラーを決定付けた存在でもあり、彼らが作り上げた音世界は現在のアーティストたちも憧れてやまないほどなのです。
そんなコクトー・ツインズですが、もともとはポストパンク直系のサウンドを鳴らしており、1982年のデビュー作『Garlands』のリズムマシーンによる単調なリズム、楽曲を先導するベースライン、フランジャーを多用したネオサイケ的なギター、当時18歳だったというエリザベスさんの妖しくも瑞々しいボーカル……といった要素から生まれる楽曲は、音楽性の変化という意味でも転機となったサードアルバム『Garlands』以降の彼女たちしか知らない方が聴いたら驚かれるかもしれません。
エリザベスさんはスージー・アンド・ザ・バンシーズのスージーさんの大ファンだったそうでバンド自体も影響を受けていたようですし、ゴシックロックとしてのコクトー・ツインズを知りたい方はデビューアルバムや初期のEP作品を聴いてみてください。
DesireGene Loves Jezebel

1980年代のポジティブパンク~ニューウェーブ、ゴシックロック勢の中でもその麗しいルックスで日本でも注目されたウェールズ出身のジーン・ラヴズ・ジザベル。
美形の双子、マイケルさんとジェイさんというアシュトン兄弟を中心として1980年に結成されたバンドで、2017年には新作をリリースするなど息の長い活動を続けているバンドなのですが、残念ながら兄弟同士の権利関係などの争いで現在は兄弟が揃ってのバンド活動は事実上不可能となってしまっているようです。
2人がフロントで活躍していた初期の作品群はどれもゴシックロックやポストパンクの歴史の中では高い評価を得ており、ポストパンク直系の硬質なギターと浮遊する音像、妖艶なメロディを美形が歌い上げるデカダンな世界観という完ぺきなスタイルは、今もって多くの耽美的なゴスファンを魅了することでしょう。
日本のヴィジュアル系へ与えた影響も大いにありそうですし、ヴィジュアル系の流れでゴシックロックに興味を持ったという方は、アシュトン兄弟が在籍していた初期の4枚をぜひ手に取ってみてください!
Walking On Your HandsRed Lorry Yellow Lorry

ゴシックロック的に英国のリーズと言えばシスターズ・オブ・マーシーを生んだ土地ですが、同じくリーズ出身のレッド・ローリー・イエロー・ローリーも、ゴシックロックやポジティブパンクのジャンルで注目されたグループです。
あまりゴシックな雰囲気を感じ取れないバンド名ですが、英語の早口言葉がその由来となっているそうですよ。
そんな彼らは1981年に結成、ジョイ・ディヴィジョンや初期のキュアー、キリング・ジョークといったポストパンク直系のサウンドを鳴らして注目を集めます。
1985年にリリースされたデビューアルバム『Talk About the Weather』はバンドの最高傑作とも言われており、うなりを上げるベースラインと無機質なリズムマシーンが生み出す独特のグルーヴ、ネオサイケ的な要素も感じさせるギターワーク、妖しく艶のある低い声質のボーカル、といった要素は好きな人であればたまらないものがあるでしょう。
後期の彼らは生のドラムスも取り入れてロック的なダイナミズムを手にしますが、ストレートなロックサウンドとならないところが彼らのようなバンドの宿命と言えるかもしれません。
ベスト盤もリリースされていますから、まずはそこから彼らの音世界に触れてみるのもいいでしょう。
Promised LandSkeletal Family

Skeletal Familyというバンド名で、英国ロックに詳しい方であればピンとくるかもしれませんね。
英国が生んだ世界的なアーティスト、デヴィッド・ボウイさんの名盤『Diamond Dogs』に収録されている楽曲『Chant of the Ever Circling Skeletal Family』からその名前を拝借して1982年に結成されたSkeletal Familyは、女性ボーカリストのアン・マリーさんを擁しており、スージー・アンド・ザ・バンシーズの次に来るバンドとして注目を集めていました。
いかにもポストパンクらしいよく動くベースライン、疾走感のあるドラムス、ソリッドなギターリフ、そしてマリーさんのヴォーカルといった要素で構成されるサウンドは、間違いなくゴシックロックやポストパンクが好きならグッとくるものがありますね。
強烈な個性や妖しさには欠けますが、曲によってはサックスを取り入れるなどの工夫がなかなかおもしろいです。
1984年にはデビューアルバム『Burning Oil』をリリース、翌年の1985年にはセカンドアルバム『Futile Combat』をリリースと順調に活動を続けますが、残念ながらフロントウーマンのマリーさんが脱退してしまいます。
その後は新たなボーカルを引き入れるも解散、2000年代に入ってからは再結成を果たしており、新作もリリースしています。
興味を持たれた方は、バンドの代表曲でもある名曲『Promised Land』をぜひ聴いてみてください!
Nick The StripperThe Birthday Party

ザ・バースデイ・パーティーは、ミュージシャンとしての活動のみならず個性派の俳優としても活躍するオーストラリア出身のニック・ケイヴさんがボーカリストとして在籍、ミック・ハーヴェイさんやローランド・S・ハワードさんといった独創的なミュージシャンを輩出した伝説的なポストパンクバンドです。
1977年の結成時はザ・ボーイズ・ネクスト・ドアという名前で活動を開始、1979年にはデビューアルバムとなった『Door, Door』をリリースしてアンダーグラウンドのシーンでその名前をとどろかせます。
この時点では実験的な面もありながらも若さゆえの荒削りなポストパンクといった趣で、ロマンチックでメロディアスな『Shivers』のような楽曲も収録されていますね。
改名後はオーストラリアからロンドンへと移住、強烈なパフォーマンスと退廃的で難解なサウンドを展開するもバンドはロンドンのシーンに幻滅したそうで、その後はオーストラリアに戻って最終的には西ドイツのベルリンへ拠点を移しますが翌年に解散してしまいました。
数年程度の短い活動歴の中で、ザ・バースデイ・パーティーとして発表した3枚のアルバムはどれも冷たい狂気と知性、破壊的な衝動が時にフリーキーに、時にブルージーな表現されたまさに「ニューウェーブ」な音を鳴らしており、ゴシックロックの分野においても多大なる影響を及ぼした作品たちとして評価されているのです。
SeverinaThe Mission

ゴシックロックの大家、シスターズ・オブ・マーシーの名盤デビュー作『First and Last and Always』の誕生に貢献するも、その後バンドを脱退したギタリストのウェイン・ハッセイさんとグレッグ・アダムスさんが新たに結成したグループがザ・ミッションです。
当然ながらゴシックロックに興味のある方であれば必ずやチェックすべきバンドであり、ゴシックロックの話題の中で必ず挙げられる有名なグループの1つなのですね。
1986年の活動開始から二度に渡る解散を経て、2020年代の現在も活動中の彼らは特に全盛期と言える初期三作は商業的にも成功を収めており、その後も定期的に作品をリリースしてファンを喜ばせています。
その時代によって作風の変化は感じられますが、バンドの本質的な魅力である「ゴシック」さは常に健在というのも頼もしい限り。
とはいえ、これから彼らのアルバムを聴こうという方であれば、前出した初期の3枚からチェックすることをおすすめします!
英国伝統のゴシックロックの醍醐味が詰まった作品群ですし、比較的メロディも聴きやすいこともあってゴシックロックの初心者であってもすんなり入り込めるのではないでしょうか。
【闇の美学】ゴシックロックのすすめ~代表的なバンド紹介(21〜30)
LeavesThe Gathering

オランダのロックバンド、ザ・ギャザリング。
トリップホップ、アンビエント、ゴシックロックなどさまざまなジャンルを得意としているバンドです。
そんな彼女たちの楽曲のなかでも、特にオススメしたいダークでかっこいい作品が、こちらの『Leaves』。
本作は初期の音楽性として知られるゴシックロックの特色が際立つ作品です。
ダークでかっこいいのはもちろんのこと、色気も感じさせるボーカルが圧巻の一言。
ぜひチェックしてみてください。
おわりに
今回は1970年代末期から1980年代にかけてデビューした、いわばゴシックロックの先駆けや第二世代辺りまでのバンドを取り上げて紹介しました。
1990年代以降にも純然たる「ゴシックロック」を鳴らすバンドはアンダーグランドで登場していますし、興味のある方はぜひ深掘りしていただいて、ゴシックな闇の世界のへと沈み込んでくださいね。