【印象派】色彩豊かなピアノの名曲を厳選~ドビュッシー・ラヴェル~
19世紀後半にフランス・パリで起きた芸術運動「印象派」。
見たものを忠実に再現する写実主義がよしとされていた時代から、より自由な表現方法を求める時代への変化は、クラシック音楽史にも多大な影響を与えました。
そして、この印象派を代表する作曲家として後世に名を残したのが、クロード・ドビュッシーとモーリス・ラヴェル。
今回は、この2人の偉大な作曲家と、印象派の影響を受けたとされている19世紀の作曲家をピックアップし、光や色彩感を重要視した印象派らしさを感じさせる名曲をご紹介していきます!
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【印象派】色彩豊かなピアノの名曲を厳選~ドビュッシー・ラヴェル~(1〜10)
クープランの墓 第2曲 フーガMaurice Ravel

第一次世界大戦で犠牲となった友人への追悼の思いが込められた、モーリス・ラヴェルの組曲『Le Tombeau de Couperin』。
その第2曲にあたる本作は、1919年4月に初演され、ジョアン・クルッピ少尉にささげられました。
この楽曲はラヴェルが手掛けた唯一のフーガで、3つの声部が対話するように静かに重なり合います。
悲しみだけでなく、今は亡き友人との穏やかな思い出を語っているかのようですよね。
古典的な形式美の中に、ラヴェル特有の揺らめくような響きが溶け込み、不思議な浮遊感に包まれる作品です。
組曲全体はバレエとしても上演されました。
各声部の旋律を大切に歌わせながら、全体の透明感を保つのがポイント!
バロック様式と印象派の繊細な表現を一度に学べる、魅力的な1曲です。
高雅で感傷的なワルツ 第2ワルツ,Assez lent(十分に遅く)ト短調Maurice Ravel

心の奥深くを覗き込むような、内省的な雰囲気が魅力の作品で、モーリス・ラヴェルが手掛けた組曲『Valses nobles et sentimentales』に含まれています。
本作は1911年に、作曲者を伏せたままプライベートな演奏会で披露されたという逸話があります。
ゆったりと流れる時間の中に、感傷的でありながらも高貴な旋律が浮かび上がり、聴く人の心に静かに寄り添うかのようです。
伝統的なワルツのリズムに隠された、少々意外な響きが、言葉にならない複雑な感情を表現しているみたいですね。
繊細な音色の変化や、息の長いフレージングを学びたい方にぴったりな一曲。
神秘的な雰囲気を壊さないよう、一つ一つの音に想いを込めて、呼吸するように演奏するのがポイントです!
ロマンス Op.24-9Jean Sibelius

ジャン・シベリウスは、フィンランドを代表する作曲家。
ロマン派後期から初期近代にかけて活躍し、7つの交響曲をはじめとする音楽作品は世界中で愛されています。
シベリウスの『ロマンス Op.24-9』は、1901年に作曲されたピアノ小品集『10の小品 Op.24』の中の1曲。
穏やかでロマンティックな旋律が特徴的な作品で、シベリウスのピアノ作品の中でも特に人気があります。
この美しい旋律は、まるでクリスマスの贈り物のようにあたたかく、豊かな響きに満ちています。
北欧の作曲家らしい叙情的な表現力と、19世紀のロマン主義を感じさせるその音楽性は、多くのピアニストを魅了してきました。
静かな夜長に、大切な人と一緒に聴きたくなるような、心癒やされる名曲です。
【印象派】色彩豊かなピアノの名曲を厳選~ドビュッシー・ラヴェル~(11〜20)
波のアラベスク三善晃

三善晃は、フランス近代音楽、そして印象派の作曲家や作品の影響を強く受けた日本の作曲家です。
特に合唱曲においては、その書法に顕著な変化を遂げ、後進の作曲家に大きな影響を与えました。
『波のアラベスク』は、三善晃の作品集『海の日記帳』の一部であり、子供向けのピアノ曲として作曲されました。
遠くから押し寄せる波の動きや、クライマックスでは前に進むような感じ、最終的には波が収まっていく様子を音楽で表現したこの曲の演奏では、音楽を通じて海の情景を描き出すことが求められます。
『波のアラベスク』は、演奏者の技術的なスキルだけでなく、音楽を通じた表現力を深めるための素晴らしい教材となるでしょう。
グロテスクなセレナードMaurice Ravel

モーリス・ラヴェルが18歳前後だった1893年頃に作曲した、非常に個性的で情熱的な作品です。
のちにラヴェル本人が「グロテスク」という言葉を付け加えたという逸話が残る本作は、題名が示す通り、荒々しく挑発的な響きの中に、ハッとするほど甘美な旋律が織り込まれています。
この楽曲の魅力は、中央に現れる情緒的な部分との鮮やかな対比にあり、まるで不器用で一途な愛の告白を聴いているような気持ちにさせられる1曲です。
ラヴェルの優美なイメージとは一味違う、若さあふれる大胆な一面に触れてみたい方にぴったり。
激しさと甘さをドラマティックに描き分けるのが、演奏する上での大きなポイントになるでしょう。
組曲『鏡』 第2曲-悲しげな鳥たちMaurice Ravel

芸術家仲間であったピアニストのリカルド・ヴィニェにささげられた、全5曲からなる組曲『Miroirs』。
その第2曲にあたる本作は、1906年1月にヴィニェの演奏で初めて披露されました。
モーリス・ラヴェルが描いた「夏の暑い日、暗い森で迷子になった鳥たち」という情景を題材としており、もの悲しいさえずりが静寂のなかで響き渡る、幻想的な世界に引き込まれるような一曲です。
本作は、繊細なタッチで多彩な音色を表現したい方にぴったり。
ペダルで響きを巧みにコントロールし、情景を豊かに描く練習にもなるので、ラヴェルの絵画的な音楽にじっくりと向き合ってみてくださいね。
メヌエット嬰ハ短調Maurice Ravel

親しい作曲仲間への練習課題として1904年頃に書かれたとされる、わずか1分ほどの短い作品です。
古典的なメヌエットの形式の中に、ラヴェルらしい洗練された響きと、どこか内省的な雰囲気が漂います。
華やかさよりも、抑制された気品を感じさせるこの楽曲は、胸の内に秘めた繊細な感情をそのまま音にしたかのような、物憂げで美しい1曲。
本作は、ラヴェルの持つ独特の美意識に気軽に触れてみたいという方にぴったりです。
無駄な装飾を排した簡潔な構成だからこそ、一つ一つの音を丁寧に、そして優雅な舞踏のステップをイメージしながら演奏するのがポイント。
淡い雰囲気のなかで、心の機微を表現してみましょう。