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【印象派】色彩豊かなピアノの名曲を厳選~ドビュッシー・ラヴェル~

19世紀後半にフランス・パリで起きた芸術運動「印象派」。

見たものを忠実に再現する写実主義がよしとされていた時代から、より自由な表現方法を求める時代への変化は、クラシック音楽史にも多大な影響を与えました。

そして、この印象派を代表する作曲家として後世に名を残したのが、クロード・ドビュッシーとモーリス・ラヴェル。

今回は、この2人の偉大な作曲家と、印象派の影響を受けたとされている19世紀の作曲家をピックアップし、光や色彩感を重要視した印象派らしさを感じさせる名曲をご紹介していきます!

【印象派】色彩豊かなピアノの名曲を厳選~ドビュッシー・ラヴェル~(21〜30)

高雅で感傷的なワルツ 第3ワルツ.Modéré ト長調Maurice Ravel

シューベルトのワルツに倣って作られた、モーリス・ラヴェルの組曲『Valses nobles et sentimentales』。

1911年にピアノ作品として世に出て、翌年にはバレエ音楽としても上演されました。

全八曲からなるこの組曲の三番目のワルツは、穏やかで整然とした中に、ふと物憂げな表情がのぞく美しい1曲です。

この楽曲は「高雅さ」と「感傷」という二つの心が、絶妙なバランスで表現されています。

流れるような三拍子に乗せた、少々複雑で透明感のある和音は、まるで淡い光と影が織りなす心の機微のよう。

本作は、技巧を誇示するのではなく、楽譜に込められた細かなニュアンスを丁寧に紡ぎ出すのがポイントです。

上品な雰囲気を出せるよう、角のないやわらかい音で演奏しましょう。

高雅で感傷的なワルツ 第4ワルツ,Assez animé(十分に活発に)Maurice Ravel

モーリス・ラヴェルがシューベルトへの敬意を込めた組曲『Valses nobles et sentimentales』の中には、伝統的なワルツにモダンな感性を融合させた魅力的な作品が多々あり、この一曲も躍動感と洒落っ気が際立つ楽曲です。

1911年5月の初演では作曲者名を伏せて演奏され、聴衆が作者を推理したという逸話もユニークですね。

オーケストラ版は、1820年代のパリの恋愛模様を描いたバレエ『Adélaïde, ou le langage des fleurs』として上演されました。

花の言葉に託された恋の駆け引きを思い浮かべると、「この響きはただ優雅なだけじゃない」というポイントを感じ取れるはず!

右手の技巧的な動きで密な和音を軽やかに奏でるのがポイント。

古典の枠を超えた新しい表現を探している方にぜひ触れていただきたい作品です。

高雅で感傷的なワルツ 第5ワルツ,Presque lent ホ長調Maurice Ravel

Valses nobles et sentimentales (version for piano) : V. Presque lent, dans un sentiment intime
高雅で感傷的なワルツ 第5ワルツ,Presque lent ホ長調Maurice Ravel

組曲『Valses nobles et sentimentales』に含まれる、ひときわ内省的な一曲です。

1911年5月に匿名の新作発表会で初演された際、多くの批評家が作者をモーリス・ラヴェルだと見抜いたという逸話も残っています。

この楽曲には「親密な感情にて」と記されており、心の内側でささやかれる対話のような、とてもプライベートな雰囲気に満ちています。

寄せては返す波のようなメロディは、ため息のようでもあり、秘めた想いのようでもあり、聴く人の心に静かに寄り添います。

繊細なタッチや表現力を深めたい方にぴったりです。

感傷的で美しい世界観を大切に、角のないやわらかい音で丁寧に奏でましょう。

高雅で感傷的なワルツ 第6ワルツ,Vif(活発に)Maurice Ravel

シューベルトのワルツに倣ってモーリス・ラヴェルが作曲した、組曲の中の一曲です。

くるくると表情を変える万華鏡のように、活発で少しいたずらっぽい雰囲気に満ちています。

1911年5月の初演では作曲者名を伏せて演奏され、その斬新さから多くの聴衆が作者を当てられなかったそうです。

この楽曲は後に、バレエ『Adélaïde ou le langage des fleurs』の音楽としても使われました。

本作は、少々スリリングでユーモラスな舞踏会を描いたかのよう。

軽やかなスタッカートと滑らかなレガートの対比を意識しながら、リズムの面白さを表現するのがポイント!

短いながらも弾きごたえがあり、表現の幅を広げたい方にぴったりの一曲です。

メヌエット嬰ハ短調Maurice Ravel

Maurice Ravel – Minuet in C-sharp minor (audio + sheet music)
メヌエット嬰ハ短調Maurice Ravel

親しい作曲仲間への練習課題として1904年頃に書かれたとされる、わずか1分ほどの短い作品です。

古典的なメヌエットの形式の中に、ラヴェルらしい洗練された響きと、どこか内省的な雰囲気が漂います。

華やかさよりも、抑制された気品を感じさせるこの楽曲は、胸の内に秘めた繊細な感情をそのまま音にしたかのような、物憂げで美しい1曲。

本作は、ラヴェルの持つ独特の美意識に気軽に触れてみたいという方にぴったりです。

無駄な装飾を排した簡潔な構成だからこそ、一つ一つの音を丁寧に、そして優雅な舞踏のステップをイメージしながら演奏するのがポイント。

淡い雰囲気のなかで、心の機微を表現してみましょう。

パレードMaurice Ravel

Maurice Ravel – La Parade [w/ score]
パレードMaurice Ravel

壮大な物語の始まりを告げるような、力強くドラマティックなサウンドが聴く人の心を揺さぶる一曲。

広島県で教壇に立ちながら、吹奏楽作品を数多く手掛ける堀内俊男さんの作品です。

静かなパートでの繊細な音の対話から、全合奏が一体となって突き進むクライマックスへの展開は圧巻で、まるで伝説の序章を音楽で体験しているかのような没入感が味わえます。

この楽曲は2006年、全日本吹奏楽コンクールの課題曲として書かれ、参考演奏がアルバム『全日本吹奏楽コンクール課題曲参考演奏集2005‑2008』に収められています。

個々の技術だけでなくバンド全体の表現力が問われる本作は、仲間と一つの壮大な物語を紡ぎたい時にこそ演奏してほしい名曲です。

組曲『鏡』 第4曲-道化師の朝の歌Maurice Ravel

Ravel – Miroirs No. 4, “Alborada del Gracioso” Sheet Music + Audio
組曲『鏡』 第4曲-道化師の朝の歌Maurice Ravel

芸術家グループ「アパッシュ」の仲間たちに捧げられた組曲『Miroirs』。

その第4曲は、スペインの朝を舞台に、道化師の姿が目に浮かぶような変化に富んだ作品です。

ギターの響きを思わせる乾いたリズムと情熱的な旋律が交差し、道化師の陽気さと、その裏に隠された哀愁を見事に描き出しています。

この楽曲は後に管弦楽にも編曲され、1919年にロンドンで上演されたバレエで使われたそうです。

難易度としては決して易しくはありませんが、技巧的なパッセージの中に歌心があふれる瞬間がちりばめられています。

表情が豊かなスペイン音楽の世界に浸りたい方や、技巧を通して表現の幅を広げたい方にぴったりです。

激しい部分と物悲しい中間部の対比を際立たせ、物語を語るように演奏してみましょう。