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【印象派】色彩豊かなピアノの名曲を厳選~ドビュッシー・ラヴェル~

19世紀後半にフランス・パリで起きた芸術運動「印象派」。

見たものを忠実に再現する写実主義がよしとされていた時代から、より自由な表現方法を求める時代への変化は、クラシック音楽史にも多大な影響を与えました。

そして、この印象派を代表する作曲家として後世に名を残したのが、クロード・ドビュッシーとモーリス・ラヴェル。

今回は、この2人の偉大な作曲家と、印象派の影響を受けたとされている19世紀の作曲家をピックアップし、光や色彩感を重要視した印象派らしさを感じさせる名曲をご紹介していきます!

【印象派】色彩豊かなピアノの名曲を厳選~ドビュッシー・ラヴェル~(21〜30)

映像 第1集 水の反映Claude Debussy

2010入賞者記念 小塩 真優/ドビュッシー:映像 第1集より 「水の反映」
映像 第1集 水の反映Claude Debussy

美しく揺らめく水面に反射する光のきらめき……絵画的なイメージを想起させる美しい楽曲ですね。

水をテーマとしたクラシックのピアノ曲としては、直接的な影響を受けたフランツ・リストの『エステ荘の噴水』、そしてモーリス・ラヴェルの『水の戯れ』と並んで有名な曲として知られるクロード・ドビュッシーの『水の反映』。

ピアノ曲集『映像 第1集』として発表された楽曲で、水の動きそのものに着目した世界観が、作者の繊細な感性によって見事に描き出されています。

古典的な作法から外れた自由な作曲方法で知られるドビュッシーの曲ですから、がちがちのクラシック曲は苦手……という方もぜひチェックしてみてください!

ピアノソナタ 第2番 嬰ト短調 Op.19「 幻想ソナタ」Aleksandr Skryabin

第38回入賞者記念コンサート Jr.G級[銀賞] 太田糸音/スクリャービン:ピアノ・ソナタ 第2番 嬰ト短調 Op.19「 幻想ソナタ」
ピアノソナタ 第2番 嬰ト短調 Op.19「 幻想ソナタ」Aleksandr Skryabin

アレクサンドル・スクリャービンは、19世紀後半から20世紀初頭にかけてのロシアを代表する作曲家兼ピアニストです。

彼の音楽は、当初はショパンに影響を受けたロマン派スタイルから、次第に独自の印象主義的・神秘主義的スタイルへと進化していきました。

『幻想ソナタ』の通称で知られる『ピアノソナタ第2番 嬰ト短調 Op.19』は、1897年から1898年にかけて作曲され、スクリャービンのピアノソナタの中でもとりわけ人気の高い傑作です。

第1楽章は静かな南国の夜の海岸を、第2楽章は嵐に荒れる大海原を描いており、特に第2楽章は非常に技巧的で聴衆を圧倒します。

聴いていると、スクリャービン自身が初めて見た海の壮大さと色彩の変化に心を奪われた様子が手に取るようにわかります。

若き日の忘れがたい体験が、豊かな感性によって見事に音楽に昇華されたこの曲は、ロマン派からモダンへと移行する過渡期の名曲として、今なお多くの人々を魅了し続けています。

ロマンス Op.24-9Jean Sibelius

Jean Sibelius : Romance Op.24 No.9/シベリウス : ロマンス Op.24 第9番
ロマンス Op.24-9Jean Sibelius

ジャン・シベリウスは、フィンランドを代表する作曲家。

ロマン派後期から初期近代にかけて活躍し、7つの交響曲をはじめとする音楽作品は世界中で愛されています。

シベリウスの『ロマンス Op.24-9』は、1901年に作曲されたピアノ小品集『10の小品 Op.24』の中の1曲。

穏やかでロマンティックな旋律が特徴的な作品で、シベリウスのピアノ作品の中でも特に人気があります。

この美しい旋律は、まるでクリスマスの贈り物のようにあたたかく、豊かな響きに満ちています。

北欧の作曲家らしい叙情的な表現力と、19世紀のロマン主義を感じさせるその音楽性は、多くのピアニストを魅了してきました。

静かな夜長に、大切な人と一緒に聴きたくなるような、心癒やされる名曲です。

小組曲:第1曲「小舟にて」Claude Debussy

ドビュッシー: 小組曲:第1曲[小舟にて][ナクソス・クラシック・キュレーション #癒し]/Debussy: Petite Suite I. En bateau
小組曲:第1曲「小舟にて」Claude Debussy

暑い夏、心に一服の清涼剤となるような、クロード・ドビュッシーのピアノ連弾作品をご紹介しますね。

1889年2月にドビュッシーと出版社代表によって初めて二人で演奏されたこの作品は、4つの小品から成る組曲の冒頭を飾ります。

まるで水面をゆるやかに進む小舟を思わせる、穏やかで美しい旋律がとっても魅力的です。

歌詞こそありませんが、ベルレーヌの詩にインスピレーションを得ているそうで、月光の下で揺蕩う舟の情景や、遠い時代の優雅な雰囲気が心に広がるようです。

揺らめくピアノの音色が、聴く人を心地よい涼しさで包み込んでくれますね!

本作は管弦楽編曲版も広く知られ、一層豊かな色彩を感じられますし、館内BGMなどで耳にすることもあるかもしれません。

暑さで少しお疲れの時や、静かに心を落ち着けたい時にぜひ聴いてみてください。

ドビュッシーが「重すぎず短すぎない」サロン向けに考えたと言うように、気軽に優雅な気分に浸れることでしょう!

組曲「鏡」より「洋上の小舟」Maurice Ravel

暑い日に聴きたくなる、モーリス・ラヴェルの涼やかな一曲はいかがでしょうか。

1906年にパリで出版されたピアノ組曲『Miroirs』の第3曲で、画家ポール・ソルドへ献呈された作品です。

広い海原を小舟がゆったり漂う情景が目に浮かび、聴くだけで心が洗われる気分になりますね。

本作の魅力は、きらめくアルペジオによる水の表現。

光を受けて揺れる水面や深い海の静けさを感じさせ、ピアノ一台とは思えないほど表情が豊かです。

140小節で36回も拍子が変わるのも、絶え間ない波の動きを巧みに捉えているからでしょう。

美しい音色で涼みたい方、印象派音楽がお好きな方に、きっと気に入っていただけるはず。

組曲『Miroirs』の他の曲とあわせて楽しむのも良いかもしれませんね。

夜のガスパール 第1曲「オンディーヌ」Maurice Ravel

ラヴェル:夜のガスパール Ravel : Gaspard de la nuit / 亀井 聖矢
夜のガスパール 第1曲「オンディーヌ」Maurice Ravel

モーリス・ラヴェルは、スイスバスク系の血を引くフランスの作曲家。

19世紀後半のパリで起きた芸術運動「印象派」の時代に、自由な表現を求めて活躍しました。

ラヴェルの代表作『夜のガスパール』は、アロイジウス・ベルトランの同名の詩集を題材にしたピアノ独奏のための組曲。

第1曲『オンディーヌ』では、水の精オンディーヌが人間の男性に恋をするも拒絶され、悲しみと怒りの中に姿を消す様子が描かれています。

幻想的で妖しい雰囲気の中に、水のきらめきや精霊の笑い声まで聴こえてくるようなラヴェルならではの繊細な音の表現が魅力です。

Claude Debussy

ドビュッシー「夢」羽田健太郎
夢Claude Debussy

1890年にフランスの作曲家クロード・ドビュッシーが作曲したこの楽曲の魅力は、穏やかで幻想的な響きにあります。

A-B-A三部形式で構成され、分散和音による美しい伴奏の上に歌うような旋律が流れていきます。

中間部ではコラール風の和声が現れ、ドラマチックな表情を見せた後、再び静寂へと戻る構成です。

本作は調性が曖昧で、フェードアウトするような柔らかな終結が夢見心地の余韻を残します。

暑い夏の日に心の安らぎを求める方や、印象派音楽の色彩が豊かな響きを楽しみたい方におすすめです。

約4分という演奏時間で気軽に聴けるため、リラックスしたいひと時にぴったりの作品といえるでしょう。