【印象派】色彩豊かなピアノの名曲を厳選~ドビュッシー・ラヴェル~
19世紀後半にフランス・パリで起きた芸術運動「印象派」。
見たものを忠実に再現する写実主義がよしとされていた時代から、より自由な表現方法を求める時代への変化は、クラシック音楽史にも多大な影響を与えました。
そして、この印象派を代表する作曲家として後世に名を残したのが、クロード・ドビュッシーとモーリス・ラヴェル。
今回は、この2人の偉大な作曲家と、印象派の影響を受けたとされている19世紀の作曲家をピックアップし、光や色彩感を重要視した印象派らしさを感じさせる名曲をご紹介していきます!
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【印象派】色彩豊かなピアノの名曲を厳選~ドビュッシー・ラヴェル~(21〜30)
物語 第8曲「水晶の籠」Jacques Ibert

フランスの作曲家ジャック・イベールは、新古典主義スタイルの音楽で知られ、ウィットに富んだ才気あふれる作品を多く残しています。
1919年にローマ賞を受賞したことを機に、彼の音楽家としての地位は不動のものとなりました。
この頃に書かれたピアノ曲集『物語』は、地中海やアジアの港を巡る旅から着想を得た色彩豊かな作品です。
『物語』の中でも特に人気が高い第8曲『水晶の籠』は、透明で壊れやすい美しさを感じさせるタイトル通り、繊細で幻想的な響きが魅力。
私たちの想像力をかきたて、心の奥底に閉じ込めていた大切な思い出を優しく解き放ってくれるような1曲です。
音楽を通して旅をする感覚を味わえる本作は、ピアノが奏でる多彩な表情を堪能したい方にぜひオススメしたい作品です。
ジムノペディ 第1番Erik Satie

ドビュッシーやラヴェルに大きな影響を与えた偉大な作曲家、エリック・サティ。
こちらの『ジムノペディ 第1番』はサティの作品でも特に有名な楽曲です。
この作品を演奏する際難しいと感じやすいのが、左手の跳躍!
ゆったりとしたテンポですが、この跳躍でつまずく方が多いんです。
また、色彩感にあふれた和音は、暗譜がなかなか大変!
この曲に取り組むことで、ピアノの上達につながるさまざまなテクニックを身につけられるでしょう。
【印象派】色彩豊かなピアノの名曲を厳選~ドビュッシー・ラヴェル~(31〜40)
亡き王女のためのパヴァーヌMaurice Ravel

テレビCMや映画の挿入歌として使用されており、モーリス・ラヴェルのピアノ作品の中で最も多く耳にする機会のある名曲『亡き王女のためのパヴァーヌ』。
パヴァーヌとは、16世紀から17世紀にかけて宮廷に普及していた舞踏の一種です。
初めて聴く人でも心地よく世界観に浸れ、印象派の美しさを感じられるこの作品は、発表会曲としても人気で、それほど高難度ではありません。
しかし、優美さと繊細さを表現するためには丁寧な練習が必要!
上品な雰囲気を出せるよう、角のないやわらかい音で演奏しましょう。
旅の思い出 Op.71 第5曲「ティエラの門」Isaac Albéniz

スペインの作曲家、ピアニストであるイサーク・アルベニスは、スペイン民族音楽の影響を受けた独特な世界観の作品で知られています。
『旅の思い出 Op.71』は1886年から1887年にかけて作曲されたピアノ曲集で、その中の1曲『ティエラの門』は、ボレロのリズムを取り入れた特徴的な楽曲です。
アルベニスはこの作品を通じて、スペイン各地の風景や地域固有の音楽様式を描こうとしました。
特に『ティエラの門』では、カディス市にある同名の城門周辺の雰囲気が音楽で表現されています。
情熱的な風土や鮮やかな文化が反映された曲調は、スペインへの愛と憧れを感じさせる魅力的な作品です。
アルベニスの故郷への深い愛情に触れながら、情緒的な音楽に浸ってみるのもよいのではないでしょうか。
9つの前奏曲 Op.1Karol Szymanowski

カロル・シマノフスキは、ポーランドを代表する20世紀初頭の作曲家です。
彼は、ショパンやワーグナーなどの影響を受けつつも、革新的な和声法やポリリズムの使用によって独自の音楽言語を築き上げました。
若き日のシマノフスキの情熱的で革新的な音楽性が反映された『9つの前奏曲 Op.1』は、クリスティアン・ツィマーマンによって録音され、2022年9月にリリースされました。
この作品は、シマノフスキが音楽的才能を示した初期の画期的な作品であり、複雑なリズム、クロマチックな和声、豊かなテクスチャによって聴き手を魅了します。
言葉を使わずに音楽そのもので感情やイメージを伝えるこの前奏曲集は、クラシック音楽になじみのある方はもちろん、これからピアノ曲の魅力を発見したい方にもおすすめの1曲です。
ピアノソナタ 変ホ短調Paul Dukas

パリで1865年に生まれたポール・デュカスは、パリ音楽院で学び、フランクの伝統とドビュッシーの革新的スタイルをつなぐ音楽を作り出した作曲家です。
彼の代表作である『ピアノソナタ 変ホ短調』は、1900年前後に作曲・出版され、1901年にエドゥアール・リスラーによって熱狂的に初演されました。
デュカスの厳しい自己評価から生まれたこのソナタは、4つの楽章がそれぞれ異なる性格を持ちながらも、全体としての統一感を保っています。
ベートーヴェン的な「暗から明へ」の原則がフランス的な解釈で取り入れられており、ピアノ音楽における表現の幅を大きく広げた作品です。
複雑で技術的に要求の高い大規模なソロピアノ作品でありながら、近年では優れたピアニストたちによって再評価されつつあります。
ロマン派後期の傑作として、まさに聴きごたえ、弾きごたえ抜群の1曲といえるでしょう。
前奏曲集第1集「帆/ヴェール」Claude Debussy

豊かな響きと幻想的な雰囲気を持つピアノ作品で、風にたなびく帆やヴェールの揺らめきを連想させる美しい楽曲です。
1910年に発表された本作は、全音音階を用いた独特の和声が特徴で、冒頭の柔らかな3度の平行和音から始まり、穏やかな余韻で締めくくられます。
自由な形式と斬新な和声進行により、伝統的な調性から解き放たれた浮遊感のある音の世界が広がります。
ゆったりとしたテンポで、技巧的な要素が少なく、シンプルな構成ながら豊かな表現力を持つ本作は、物語性のある音楽を求める方や、印象派音楽の魅力に触れてみたい方におすすめです。
約3分30秒という演奏時間も取り組みがしやすく、クロード・ドビュッシーの世界観を存分に味わえる1曲となっています。