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オシャレなヒップホップ!洋楽JAZZY HIP HOPの名盤まとめ

音楽好きの中でも「ヒップホップというかラップは苦手……」といったように、何となくのイメージでそんな風に考えていらっしゃる方、実は多いのではないでしょうか。

好き嫌いはもちろんあるにせよ、入り口を変えてみれば意外とはまってしまうかもしれませんよ。

そんな期待を込めて、今回の記事は海外の「ジャジーヒップホップ」をテーマとした内容です!

文字通りジャズに影響を受けたヒップホップ、海外では一般的に「ジャズ・ラップ」と呼ばれるジャンルで、1990年代に花開いたヒップホップのサブジャンルなのですね。

ヒップホップが苦手な方でも聴きやすい、オシャレなトラックやグルーヴに心も踊る名盤たちをぜひお楽しみください!

オシャレなヒップホップ!洋楽JAZZY HIP HOPの名盤まとめ(1〜10)

Cosmogramma

Do the Astral PlaneFlying Lotus

フライング・ロータスさんは、ジャズの巨匠ジョン・コルトレーンの縁者として音楽的な家系で育った才能豊かなアーティストです。

彼の3枚目のアルバム『Cosmogramma』は、2010年にリリースされ、エレクトロニカとジャズの融合という彼の独特なスタイルが存分に発揮された作品です。

トム・ヨークさんやサンダーキャットさんなど、豪華ゲストの参加も話題を呼びました。

批評家からも高い評価を受け、ダンス/エレクトロニカ部門でインディペンデント・ミュージック・アワードを受賞しています。

ジャンルの垣根を越えた革新的なサウンドは、新しい音楽体験を求める方におすすめです。

93 ‘til Infinity

93 ‘til InfinitySouls Of Mischief

1991年、アメリカはカリフォルニア州オークランドにて結成された4人組ヒップホップ・グループのソウルズ・オブ・ミスチーフ。

2000年までに4枚のアルバムをリリースするもしばしの沈黙、2009年に久しぶりに新作『Montezuma’s Revenge』をリリースした時には、ヒップホップ好きの間では大きな話題を集めましたよね。

そんな彼らの代表作と言えば、何と高校生の若さでメジャーにてリリースしたデビュー・アルバム『93 ‘til Infinity』でしょう!

フュージョン系のジャズ・ドラマー、ビリー・コブハムさんの『Heather』を45回転でサンプリングという革新的な方法論を用いたことでも知られている表題曲は、文句なしのヒップホップ・クラシックとして愛され続けている名曲です。

当然ではあるのですが、10代ならではのMCたちの幼さの残るラップが、どすの効いた王道の黒人ヒップホップとはまた違った魅力を感じ取れて新鮮ですよね。

90年代前半の西海岸ヒップホップといえばGファンクやギャングスタ・ラップが全盛期という時期であり、そういった中でジャジーでグル―ヴィかつ洗練とアングラ感を漂わせる「時代の空気」が詰まったような本作は決して大ヒットした作品というわけではないのですが、だからこそムーブメントに左右されない輝きを放ち続け、その後のシーンにも大きな影響を与えたのです。

Daily Operation

Ex Girl to the Next GirlGang Starr

グループ名もメンバーのルックスもコワモテなのですが、視野の広い観点で淡々としたラップで語られるリリックと、革新的なトラックでヒップホップの新たな形を提示した伝説のデュオ、ギャングスタ―。

MCのグールーさんが2010年に亡くなってしまい、再結成は不可能となってしまいましたが、彼らが残した作品の素晴らしさは後続のアーティストたちに大きな影響を与え続けています。

そんな彼らは1985年に結成、2003年に解散した後の2019年に発表したラスト・アルバムを含めて計7枚のアルバムをリリースしていますが、本稿では名盤の誉れ高い1992年のサード・アルバム『Daily Operation』を紹介しましょう。

ヒップホップのレジェンド・クラスのプロデューサーであり、ジャズやファンクにソウルなどさまざまなジャンルの要素を取り入れた魔法のようなビートを作り出すDJプレミアさんの手腕が存分に発揮されており、サンプリング・ネタを細かく切り刻み、再構築していくという「チョップ」と呼ばれる技法で魅せるサウンドの妙があまりにもクールでカッコいいですね。

もちろん、グールーさんの抑制を効かせたフロウは確かな存在感を放ちながら、決して出しゃばりすぎない独自の美学を感じさせます。

同時代のジャズ・ラップと比べてもその独自性は際立っており、単にジャジーなヒップホップとは一線を画すギャングスタ―流儀のヒップホップは、一度は体験すべき音世界と言えましょう!

オシャレなヒップホップ!洋楽JAZZY HIP HOPの名盤まとめ(11〜20)

Shades Of Blue

Slim’s ReturnMadlib

仮にあなたが重度のジャズ・ファンでかつトラックメイカーとして活動していたとして、ジャズの歴史における最重要レーベルの1つ「ブルーノート」が所有する音源を自由に使っていいですよと言われたら、喜びよりもそのプレッシャーに圧し潰されてしまうと考えたとしてもおかしくはないですよね。

そんな途方もないチャンスを実際に手にした上で、見事なアルバムを作り上げるという偉業を成し遂げたのがアメリカはカリフォルニア州出身のプロデューサー、マッドリブさん。

西海岸のアンダーグランドなヒップホップ界隈では知られた存在であったマッドリブさんは、さまざまな名義を使い分けてジャンルをまたいだ作品をリリースする多作家でもありますが、本稿で紹介する『Shades Of Blue』は2003年にブルーノートからリリースされ、ヒップホップ史に残る名盤として語り継がれている作品です。

本作でマッドリブさんの名前を覚えた、という方も多いかもしれません。

ジャケットからしてブルーノートの諸作品を意識したアートワークというのも素晴らしいのですが、往年のジャズ・カタログに対する敬意を感じさせながらも、ヒップホップ世代による独自のセンスで料理したサウンドはまさに唯一無二。

元ネタを知っている方であれば、この曲がこんな風に変化するのかといった驚きも楽しめますよね。

もともとマッドリブさんはジャズに対する深い愛情と膨大な知識を持ったアーティストであり、ジョン・ファディスさんという著名なジャズ・トランペッターを叔父に持つという出自の持ち主で身近にジャズが鳴っていたからこそ、ジャズとヒップホップの架け橋のような存在となり得たのだと言えましょう。

Madvillainy

All CapsMadvillain

鬼才マッドリブさんとMFドゥームさんがタッグを組んだマッドヴィレイン名義で、2004年にリリースされた唯一のアルバム『Madvillainy』は、00年代におけるアンダーグラウンド・ヒップホップの金字塔として今もなお語り継がれている名盤中の名盤です。

残念ながら2020年の10月にMFドゥームさんが亡くなってしまい、再結成はかなわぬ夢となってしまいましたが、本作の素晴らしさは永遠に色あせることはないでしょう。

イギリス系アメリカ人でマスク姿が特徴的なMFドゥームさん、そしてマッドリブさんは両者ともにアンダーグラウンドのシーンで活躍していた存在でしたが、本作『Madvillainy』はヒップホップを積極的に取り上げないメディアからも絶賛を浴びて、ローリングストーン誌の「500 Greatest Albums Of All Time」で365位に選ばれるなど、内外で高い評価を受けているのですね。

決して商業的に大きな成功を収めたわけではないのですが、革新的なマッドリブさんによるトラック、唯一無二の声を持つMFドゥームさんのラップに練り上げられたリリックというシンプルな構成で作り上げられたサウンドは、シンプルであるがゆえにサウンドの持つ本質的な魅力が味わえるのですね。

もちろんジャジーなテイストも大いに含まれたトラックはジャズ・ヒップホップとしての楽しめるのですが、ラッパーのみならずレディオヘッドのトム・ヨークさんなどロック系のアーティストにも多大なる影響を与えた本作は、ぜひ多くの開かれた耳を持つ音楽ファンに聴いてほしいです。

New Territories

I Don’t Do It ToEric Lau

Eric Lau (feat. Tawiah): I Don’t Do It To
I Don't Do It ToEric Lau

エリック・ラウさんは、ロンドンを拠点に活躍する音楽プロデューサー兼DJです。

彼の音楽は、重厚なビートと柔らかいメロディが特徴的。

デビューアルバム『New Territories』は、2008年にUbiquity Recordsからリリースされ、R&BやソウルをベースにしたJAZZY HIP HOPサウンドが詰まった全14曲の作品です。

多彩なゲストボーカリストを迎え、ライブ演奏とデジタルプロダクションを融合させた洗練された音作りが魅力的。

香港にルーツを持つエリックさんの背景が、このアルバムに独特の味わいを与えています。

ヒップホップが苦手な方にもおすすめの、心地よくオシャレな一枚です。

To Pimp a Butterfly

King KuntaKendrick Lamar

2020年代において自他ともに認める最高のラッパーであり、作品をリリースするたびに時代を動かすほどの衝撃を与え続ける天才、ケンドリック・ラマーさん。

2022年には5年ぶりのアルバムとなる2枚組の大作『Mr. Morale & The Big Steppers』をリリース、そのあふれんばかりの才能を改めて世に示したラマーさんですが、そんな当代きってのヒップホップ詩人の評価を決定付けたアルバムといえば、やはり2015年にリリースされたサード・アルバム『To Pimp A Butterfly』でしょう。

メジャー作品としては2枚目となる本作のすごさを短い文章で語るようなことは不可能ですが、アメリカはもちろん各国でチャート初登場1位といった商業的な成功、第58回グラミー賞の最優秀ラップ・アルバムの受賞といった批評家筋の評価はもとより、収録曲の『Alight』が後の「ブラック・ライブズ・マター」運動におけるアンセムとなったことなども踏まえて、社会に与えた影響は非常に大きいのです。

今回の記事に沿った観点で本作を紹介するのであれば、このアルバムはロバート・グラスパーさんやテラス・マーティンさんといった新世代のジャズ・アーティストが参加しており、2010年代におけるジャズとヒップホップの新たな形を明確に提示してみせた作品なのですね。

名匠スパイク・リー監督のジャズをテーマとした映画『モ’・ベター・ブルース』にインスパイアされたというエピソードもありますから、深掘りしたい方はそちらの映画もぜひチェックしてみてください。