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オシャレなヒップホップ!洋楽JAZZY HIP HOPの名盤まとめ

音楽好きの中でも「ヒップホップというかラップは苦手……」といったように、何となくのイメージでそんな風に考えていらっしゃる方、実は多いのではないでしょうか。

好き嫌いはもちろんあるにせよ、入り口を変えてみれば意外とはまってしまうかもしれませんよ。

そんな期待を込めて、今回の記事は海外の「ジャジーヒップホップ」をテーマとした内容です!

文字通りジャズに影響を受けたヒップホップ、海外では一般的に「ジャズ・ラップ」と呼ばれるジャンルで、1990年代に花開いたヒップホップのサブジャンルなのですね。

ヒップホップが苦手な方でも聴きやすい、オシャレなトラックやグルーヴに心も踊る名盤たちをぜひお楽しみください!

オシャレなヒップホップ!洋楽JAZZY HIP HOPの名盤まとめ(1〜20)

Donuts

Don’t CryJ Dilla

J・ディラさんは、ヒップホップに革命をもたらしたプロデューサーです。

彼の遺作『Donuts』は、2006年2月7日、彼の32歳の誕生日にリリースされました。

わずか3日後に他界したJ・ディラさんの音楽的才能が詰まった、インストゥルメンタル・ヒップホップの傑作です。

独特なリズム感とサンプリング技術が光る31曲が収録され、多くのアーティストに影響を与えています。

ジャズやソウルの要素を取り入れた洗練されたサウンドは、ヒップホップが苦手な方にもおすすめ。

音楽の深い味わいを求める方に、是非聴いていただきたい一枚です。

Shades Of Blue

Slim’s ReturnMadlib

仮にあなたが重度のジャズ・ファンでかつトラックメイカーとして活動していたとして、ジャズの歴史における最重要レーベルの1つ「ブルーノート」が所有する音源を自由に使っていいですよと言われたら、喜びよりもそのプレッシャーに圧し潰されてしまうと考えたとしてもおかしくはないですよね。

そんな途方もないチャンスを実際に手にした上で、見事なアルバムを作り上げるという偉業を成し遂げたのがアメリカはカリフォルニア州出身のプロデューサー、マッドリブさん。

西海岸のアンダーグランドなヒップホップ界隈では知られた存在であったマッドリブさんは、さまざまな名義を使い分けてジャンルをまたいだ作品をリリースする多作家でもありますが、本稿で紹介する『Shades Of Blue』は2003年にブルーノートからリリースされ、ヒップホップ史に残る名盤として語り継がれている作品です。

本作でマッドリブさんの名前を覚えた、という方も多いかもしれません。

ジャケットからしてブルーノートの諸作品を意識したアートワークというのも素晴らしいのですが、往年のジャズ・カタログに対する敬意を感じさせながらも、ヒップホップ世代による独自のセンスで料理したサウンドはまさに唯一無二。

元ネタを知っている方であれば、この曲がこんな風に変化するのかといった驚きも楽しめますよね。

もともとマッドリブさんはジャズに対する深い愛情と膨大な知識を持ったアーティストであり、ジョン・ファディスさんという著名なジャズ・トランペッターを叔父に持つという出自の持ち主で身近にジャズが鳴っていたからこそ、ジャズとヒップホップの架け橋のような存在となり得たのだと言えましょう。

The Low End Theory

Jazz (We’ve Got) Buggin’ OutA Tribe Called Quest

A Tribe Called Quest – Jazz (We’ve Got) Buggin’ Out (Official HD Video)
Jazz (We've Got) Buggin' OutA Tribe Called Quest

ジャズとヒップホップの融合を成し得たグループとして欠かすことのできない存在といえば、ニューヨーク出身のア・トライブ・コールド・クエストです。

「ATCQ」という通称でも知られている彼らは、ジャングル・ブラザーズやデ・ラ・ソウルらとともに「ネイティブ・タン」の一員であり、ハードコアなスタイルが主流であった1980年代のヒップホップに新たな風を巻き起こしたのですね。

そんなATCQは早くからジャズの要素を用いたヒップホップを提示、当初は理解を得られない面もあったそうですが、格段に洗練された1991年の傑作セカンド・アルバム『The Low End Theory』でその革新的な音楽性が一気に花開き、商業的にも批評的にも成功を収めました。

ローリングストーン誌が選ぶオールタイムベストアルバム500で153位にランクインしていることからも分かるように、後の音楽シーンに大きな影響を与えた本作の魅力は、サンプリングの妙であったり高名なジャズ・ベーシストであるロン・カーターさんゲストに迎えての生楽器ならではの黒いグルーヴといったようにさまざまではありますが、彼らのディスコグラフィの中でも特にジャズ色が濃厚で、ヒップホップ・リスナー以外の音楽好きにもアピールできる間口の広さは強調しておきたいところです。

改めて聴くとシンプルで無駄を削ぎ落とした音像が渋くもあり、夜が似合うクールなサウンドにほれぼれしてしまいますね!

To Pimp a Butterfly

King KuntaKendrick Lamar

2020年代において自他ともに認める最高のラッパーであり、作品をリリースするたびに時代を動かすほどの衝撃を与え続ける天才、ケンドリック・ラマーさん。

2022年には5年ぶりのアルバムとなる2枚組の大作『Mr. Morale & The Big Steppers』をリリース、そのあふれんばかりの才能を改めて世に示したラマーさんですが、そんな当代きってのヒップホップ詩人の評価を決定付けたアルバムといえば、やはり2015年にリリースされたサード・アルバム『To Pimp A Butterfly』でしょう。

メジャー作品としては2枚目となる本作のすごさを短い文章で語るようなことは不可能ですが、アメリカはもちろん各国でチャート初登場1位といった商業的な成功、第58回グラミー賞の最優秀ラップ・アルバムの受賞といった批評家筋の評価はもとより、収録曲の『Alight』が後の「ブラック・ライブズ・マター」運動におけるアンセムとなったことなども踏まえて、社会に与えた影響は非常に大きいのです。

今回の記事に沿った観点で本作を紹介するのであれば、このアルバムはロバート・グラスパーさんやテラス・マーティンさんといった新世代のジャズ・アーティストが参加しており、2010年代におけるジャズとヒップホップの新たな形を明確に提示してみせた作品なのですね。

名匠スパイク・リー監督のジャズをテーマとした映画『モ’・ベター・ブルース』にインスパイアされたというエピソードもありますから、深掘りしたい方はそちらの映画もぜひチェックしてみてください。

Madvillainy

All CapsMadvillain

鬼才マッドリブさんとMFドゥームさんがタッグを組んだマッドヴィレイン名義で、2004年にリリースされた唯一のアルバム『Madvillainy』は、00年代におけるアンダーグラウンド・ヒップホップの金字塔として今もなお語り継がれている名盤中の名盤です。

残念ながら2020年の10月にMFドゥームさんが亡くなってしまい、再結成はかなわぬ夢となってしまいましたが、本作の素晴らしさは永遠に色あせることはないでしょう。

イギリス系アメリカ人でマスク姿が特徴的なMFドゥームさん、そしてマッドリブさんは両者ともにアンダーグラウンドのシーンで活躍していた存在でしたが、本作『Madvillainy』はヒップホップを積極的に取り上げないメディアからも絶賛を浴びて、ローリングストーン誌の「500 Greatest Albums Of All Time」で365位に選ばれるなど、内外で高い評価を受けているのですね。

決して商業的に大きな成功を収めたわけではないのですが、革新的なマッドリブさんによるトラック、唯一無二の声を持つMFドゥームさんのラップに練り上げられたリリックというシンプルな構成で作り上げられたサウンドは、シンプルであるがゆえにサウンドの持つ本質的な魅力が味わえるのですね。

もちろんジャジーなテイストも大いに含まれたトラックはジャズ・ヒップホップとしての楽しめるのですが、ラッパーのみならずレディオヘッドのトム・ヨークさんなどロック系のアーティストにも多大なる影響を与えた本作は、ぜひ多くの開かれた耳を持つ音楽ファンに聴いてほしいです。

Organized Konfusion

Fudge PudgeOrganized Konfusion

Organized Konfusion – Fudge Pudge (Video)
Fudge PudgeOrganized Konfusion

1987年にニューヨークはクイーンズにて、ファロア・モンチさんとプリンス・ポーさんによって結成されたオルタナティブ・ヒップホップ・デュオのオーガナイズド・コンフージョン。

メジャーのシーンで大ヒットしたというようなタイプではなく、東海岸のアンダーグラウンドなヒップホップ勢の中では知られた存在として熱狂的なファンも多いユニットなのですね。

スキルフルな2人のMCによる見事なラップ、ジャズやファンクを軸としたトラックで作り上げた独自の音世界は現在も高い評価を受けています。

彼らが残した3枚のオリジナル・アルバムはどれも名盤ですが、本稿では1991年にリリースされた記念すべきデビュー・アルバム『Organized Konfusion』を取り上げましょう。

BPM速めのテンポの中で、うねるようなベース・ラインと美しいピアノのフレーズが印象的な『Fudge Pudge』を聴いただけで、もうノックアウト必至!

こちらの楽曲はDiggin’ in the Crates Crewの一員であるO.C.さんの初レコーディング曲と言われているのだとか。

ザ・クルセイダーズの『Merry Go Round』をサンプリングした『Walk Into The Sun』辺りも抜群のかっこ良さですね。

示唆に富んだリリックはさまざまなテーマを扱っており、2人の多才ぶりを感じ取れることでしょう。