【洋楽】ヒップホップ史に残る名盤!押さえておきたい基本の1枚
ヒップホップの歴史は長く、その影響力は他のジャンルはもちろんカルチャーやファッションにいたるまで及ぶものです。
ここ日本でも、素晴らしいアーティストが商業的に成功を収めている実績も多く見られますが、まだまだある種のイメージで敬遠している方も多いのではないでしょうか。
今回の記事では、今や海外においてはポピュラー音楽の中心といっても過言ではないヒップホップの、その時代時代におけるエポックメイキング的な作品を中心とした名盤を集めてみました。
進化し続けるヒップホップという音楽を、この機会にぜひ味わってみてください!
【洋楽】ヒップホップ史に残る名盤!押さえておきたい基本の1枚(1〜10)
AccordionNEW!Madvillain

モノクロ写真にオレンジの四角という謎めいたジャケットからも、独特な空気が漂っていますよね。
仮面のラッパーであるエムエフ・ドゥームさんと、奇才プロデューサーのマッドリブさんによるマッドヴィレインは、アンダーグラウンド界でカルト的な人気を誇る伝説的デュオです。
2004年にリリースされた唯一のアルバム『Madvillainy』は、ジャズやアニメの音声をコラージュした独特なビートと、複雑怪奇なライムが絡み合う傑作!
一般的な定石を無視した短く断片的な楽曲群は、聴く者を不思議な中毒性へと誘います。
防空壕を改造したスタジオで制作され、多くのメディアで絶賛されるなど、評価は揺るぎないものとなっています。
一風変わった音楽体験を求める方にはぜひとも聴いてほしい1枚です。
Shook Ones, Pt. IINEW!Mobb Deep

ニューヨークのクイーンズブリッジ団地から現れ、ストリートの現実を冷徹に描いた伝説的なデュオがモブ・ディープです。
彼らが1995年にリリース、ヒップホップ史における東海岸ハードコアの金字塔として崇められるセカンド・アルバムが『The Infamous』です。
デビュー作の失敗を経て制作された本作は、ハヴォックさんが生み出す陰鬱でざらついたビートと、故プロディジーさんの淡々としたフロウが織りなす緊張感がすさまじい。
ナズさんやウータン・クランのメンバーも参加し、当時のニューヨークの空気を真空パックしたような完成度なのですね。
映画『8 Mile』でも引用された名曲『Shook Ones Pt. II』を含む本作は、プラチナ認定も受けています。
ダークで重厚な世界観に浸りたい方は、ぜひ聴いてみてください!
N.Y. State of MindNas

ヒップホップと聞いて、なんとなくマッチョで悪そうなイメージだけを持たれている方は2020年代の今も多いかもしれません。
ストリートの現実や自身のハードな人生、社会的なメッセージなどを独創的な詩情を兼ね備えたリリックでラップする「神の子」ことナズさんの大傑作ファースト・アルバム『Illmatic』を聴けば、そのイメージはきっと変わるはず。
幼少期のナズさん本人の写真が使われたアートワークも印象的な本作は1994年にリリースされ、当時は西海岸のGファンク勢の盛り上がりに押されていたヒップホップ界において、ニューヨークから現れた若き天才的なMCの誕生はシーンに大きな衝撃を与えました。
当時20歳そこそこ、という年齢とは思えないほどの落ち着きと洞察力は、ナズさんの突出した才能を物がるものでしょう。
DJプレミアさん、ピート・ロックさん、ラージ・プロフェッサーさんというレジェンド級のプロデューサーが参加したことでも知られていますが、ラップの客演は1人だけで基本的にはナズさんのラップだけで構成されている、というのも重要な点ですね。
本作に影響を受けたと語るラッパーは多く、アルバムを題材としたドキュメンタリー映画が2014年に公開され、2017年にはハーバード大学の図書庫に永遠に保管されることが決定されるなど、その影響力は多岐に渡ります。
Last Donut of the NightNEW!J Dilla

多くの著名なアーティストから「天才」と称賛され、没後もなお絶大な影響力を誇るデトロイト出身のジェイ・ディラさん。
カニエ・ウェストさんらもリスペクトを公言するなど、まさに「プロデューサーの中のプロデューサー」といえる存在ですよね。
そんな彼が難病との闘いのさなか、病室で作り上げ2006年の誕生日にリリースしたのが『Donuts』です。
発売のわずか3日後にジェイ・ディラさんは亡くなってしまいますが、本作に悲壮感はなく、ソウルやファンクなどのレコードを切り貼りして再構築した、ユーモアと愛にあふれるビートが詰まっています。
言葉のないインスト作品でありながら、まるで人生そのものを鳴らしているかのような響きは、ジャンルを超えて多くの音楽ファンの心を揺さぶることでしょう。
Woman (feat. Cleo Sol)NEW!Little Simz

2020年代のUKシーンを象徴する存在といえば、間違いなくリトル・シムズさんでしょう。
ロンドン出身、ナイジェリアにルーツを持つ彼女は、俳優としても活動する多才な表現者です。
そんな彼女が2021年に放った4作目のアルバム『Sometimes I Might Be Introvert』は、ヒップホップの枠をこえて音楽史に刻まれるべき壮大な傑作です。
映画のようなオーケストラやアフロビートを取り入れたサウンド、内省と社会的なメッセージが交錯する構成……これらがインディペンデントな体制で作られたという事実が驚きですよね。
マーキュリー賞を受賞し、批評家から絶賛された本作。
自己との対話を描いた物語は、ジャンルを問わず多くの音楽ファンの心に響くはずですので、ぜひ体感してみてください!
SICKO MODE (ft. Drake)NEW!Travis Scott

2010年代以降のヒップホップ・シーンにおいて、オートチューンを駆使した独特なスタイルで絶大な人気を誇るトラヴィス・スコットさん。
ファッション業界でも影響力を持つ彼が、2018年にリリースした3作目のアルバム『Astroworld』を紹介します。
タイトルの由来は、地元ヒューストンにかつて実在し、閉園してしまった遊園地から。
失われた遊び場を音楽で再構築するというコンセプトのもと、ジェットコースターのように展開が変わるビートやサイケデリックな音像は、聴く者を非日常へと連れ出してくれます。
グラミー賞ノミネートも納得の完成度で、ドレイクさんら豪華ゲストも参加。
まるでテーマパークにいるような高揚感を味わえる本作は、トラップの入り口としても自信を持ってオススメできる名盤ですよ!
AlrightKendrick Lamar

2010年代以降のヒップホップ・シーンにおいて、最も重要な存在の1人といえば間違いなくケンドリック・ラマーさんでしょう。
1987年生まれ、カリフォルニアはコンプトン出身のケンドリックさんはその圧倒的なラップのスキルと音楽センス、アメリカの現実を的確に描写するリリックが高く評価され、西海岸出身の大物ラッパーたちから「西海岸の新王者」と呼ばれながらも、自身はギャングスタ的な世界とはまるで無縁の存在、という絶妙な立ち位置でその一挙一動が注目されるアーティストである、というのは誰もが認める事実でしょう。
作品の芸術的価値と商業性を見事に両立させ続けるケンドリックさんが2015年にリリースしたメジャー第二弾アルバム『To Pimp a Butterfly』は、2010年代のヒップホップ界における最重要作品というだけでなく、ジャンルをこえたポピュラーミュージック史における金字塔としてその名を残す傑作です。
生楽器の多用によるジャジーでソウルフルなグルーブ、見事なプロダクションから生まれた楽曲の中で的確に配置された豪華なゲスト・ミュージシャンたちの名演、多彩なフロウで魅せるケンドリックさんのボーカルから繰り出される素晴らしいリリックの数々……全16曲、78分をこえる大作であり、グラミー史上2番目に多い11部門にノミネート、5部門を受賞という栄誉も当然といえる内容となっております。






