【洋楽】ヒップホップ史に残る名盤!押さえておきたい基本の1枚
ヒップホップの歴史は長く、その影響力は他のジャンルはもちろんカルチャーやファッションにいたるまで及ぶものです。
ここ日本でも、素晴らしいアーティストが商業的に成功を収めている実績も多く見られますが、まだまだある種のイメージで敬遠している方も多いのではないでしょうか。
今回の記事では、今や海外においてはポピュラー音楽の中心といっても過言ではないヒップホップの、その時代時代におけるエポックメイキング的な作品を中心とした名盤を集めてみました。
進化し続けるヒップホップという音楽を、この機会にぜひ味わってみてください!
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【洋楽】ヒップホップ史に残る名盤!押さえておきたい基本の1枚(1〜20)
No Sleep Till BrooklynBeastie Boys

音楽シーンのみならず、ファッションや社会的な活動までさまざまな分野へ多大なる影響を及ぼし、最も売れた白人ラップ・グループとして2020年代の今も多くのアーティストから尊敬されるのが、ニューヨーク発のビースティ・ボーイズです。
ロックとヒップホップの境界線を壊した自由な音楽性、90年代的なサブカルチャーの象徴でもある、DIYの精神で立ち上げた自身のレーベル「グランドロイヤル」の先進性、社会的な意義を込めた大規模なフェス「チベタン・フリーダム・コンサート」の開催など、その偉業は数え切れません。
彼らが残した作品はどれも名盤ばかりですが、今回は記念すべき1986年のデビュー・アルバム『Licensed to Ill』を取り上げましょう。
まだまだ若くやんちゃだった彼らならではの過激なリリックや皮肉たっぷりのMVなどは、今の価値観で見ればやや不謹慎と思われるかもしれません。
そのような問題はささいなことで、名曲『(You Gotta) Fight For Your Right (To Party!)』をはじめとするハードロック的なトラックの上で激しくラップするスタイルや、スレイヤーのケリー・キングさんをフィーチャーした『No Sleep Till Brooklyn』など、Run-D.M.C.の影響下にあるとはいえ、細かい理屈も何もかもをなぎ倒すその圧倒的なパワーは、今もなお衝撃的ですよね。
大量のサンプリングなどの手腕も含めて、あらためて本作の素晴らしい魅力を若い方々にも知っていただきたいですね。
RosesOutKast

アンドレ・3000さんとビッグ・ボーイさんから成るアウトキャストは、今やヒップホップのみならずポップスやロックといったジャンルでも当たり前のように使われるトラップ・サウンドを生み出したとされる、いわゆる「サザン・ヒップホップ」の先駆的な存在です。
アメリカ南部を中心とするヒップホップであり、西海岸と東海岸が全盛期の時代に最初に南部出身のラップ・グループとして全米進出に成功したのがアウトキャストなのですね。
彼らのサウンドはヒップホップの文脈にとらわれず、臆することなく革新的な音楽を生み出すスタイルが高く評価され、商業的にも大きな成功を収めています。
そんな異色の存在とも言えるアウトキャストの2人が、それぞれの実質的なソロ・アルバムを2枚組としてリリースした通算5枚目のアルバム『Speakerboxxx/The Love Below』は、まさに既存のルールにとらわれない彼ららしい作品であり、世界中で大ヒットを記録した作品です。
それぞれの個性が存分に発揮され、タイプもコンセプトも違う2枚のアルバムを同一のグループ名義で1つの作品としてリリースするということ自体、普通のミュージシャンならばやろうとは思わないですよね。
当時は街中で流れていた『Hey Ya!』など、多くのヒット曲も生まれた本作は、ヒップホップ・ファンだけでなくオルタナティブ・ロックなどの音楽ファンをも熱狂させたのです。
YonkersTyler, The Creator

2010年代のオルタナティブ・ヒップホップ・シーンの幕開けを告げる、代表的な1枚と言っても過言ではないでしょう。
2010年代初頭に頭角を現した新世代グループ、オッド・フューチャーの創設メンバーであり、2020年代を過ぎた今もリリースする作品は常に高い評価を受け、商業的にも成功を収めるなどトップ・アーティストとして活躍するタイラー・ザ・クリエイターさんによる本格的なソロ・デビュー作『Goblin』です。
当時はインターネット上の耳の早い音楽ファンを中心として、オッド・フューチャーという若く才能のあるグループの存在が注目を集めつつあった時期で、タイラーさんのアルバムが名門XL Recordingsからリリースされることが判明した時は、ヒップホップ好きのみならずインディー・ロックを愛聴しているリスナーの間でも大いに話題となりました。
リリース時はまだ20歳を迎えたばかりのタイラーさんの鬼才ぶりが存分に発揮された本作は、先行シングルとして発表された『Yonkers』の過激な内容のMVも強烈なインパクトを与えましたね。
もちろん、単なる話題性だけでなく重々しくも浮遊感のあるトラックと低音のラップが織り成す奇怪な音世界は、彼の才能を如実に示すものでしょう。
リリースから10年が過ぎた20年代、あらためて本作の魅力を味わってほしいですね。
In Da Club50 Cent

名曲『In Da Club』のMVに映し出された、筋骨たくましいタフなボディを誇示しながらトレーニングする50セントさんの姿は、衝撃の一言でした。
デビューに至るまでのハードすぎる人生経験も踏まえて、まさに2000年代初頭という時代に新たな「本物のギャングスタ」が登場した瞬間でもありました。
エミネムさんとドクター・ドレ―さんという最強の布陣がバックアップを務め、2003年にエミネムさん主宰のレーベル「シェイディ・レコーズ」よりリリースされたデビュー・アルバム『Get Rich or Die Tryin’』は余裕の全米チャート1位、アメリカだけでも800万枚以上を売り上げて世界的なヒットとなった2000年代のヒップホップ・シーンを代表する傑作です。
直球すぎるタイトルに50セントさんの人生哲学のようなものを感じさせ、後に制作された自身が主演した自伝的な映画のタイトルにもなっておりますが、肝心の内容も期待以上のハードコアな内容です。
ギャングスタ・ラップの王道といえる過激なリリックを淡々とラップする50セントさんの声は、若くして人生を悟ったかのような落ち着きを感じさせ、無駄な装飾などを一切排したシリアスなトラックとの相乗効果で限りなくハードボイルド、しびれるほどかっこいいですよ!
Ready or NotThe Fugees

「オルタナティブ」な時代であった90年代は、もちろんロックに限らず多くのジャンルが新たな方法論を発見し、音楽の可能性を大幅に広げた作品が次々とリリースされました。
後にソロ・アーティストとしても記録的な成功を収めるローリン・ヒルさん、ハイチ生まれでプロデューサー兼MCのワイクリフ・ジョンさん、同じくハイチ系アメリカ人のラッパーであるプラーズさんという才能あふれる3人が在籍していたフージーズのセカンド・アルバム『THE SCORE』は、まさにオルタナティブ時代にふさわしい1枚として永遠に音楽史に刻まれた名盤中の名盤です!
生楽器を使ったアンサンブルによるレゲエ・フレーバーをまぶしたソウルフルなグルーヴの妙、意外な楽曲からの引用センス、ラップと歌モノのオーガニックな融合、ロバータ・フラックさんの楽曲『Killing Me Softly』の名カバー……こういう作品が全世界で2,000万枚以上も売れたモンスター・アルバムとなった、という事実が素晴らしいですよね。
ヒップホップ・ファンならずとも、多くの人が手にした作品なのです。
ローリン・ヒルさんの大傑作ソロ・アルバム『The Miseducation of Lauryn Hill』しか聴いたことがない、という方がもしもいれば、本作も必ず聴いてみてください!